教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

Teacher持ち込みレコメン #04 アプリ「Prspctv」(東京都立石神井特別支援学校 海老沢穣先生より)

 東京都立石神井特別支援学校 海老沢穣先生からの持ち込みレコメンを紹介します。オススメいただいたのは、アプリ「Prspctv」です。「iPadプロジェクションマッピングをやってみたい先生に」と言う海老沢先生。

Prspctv

Prspctv

  • MINORU AIKAWA
  • ユーティリティ
  • ¥480
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 海老沢先生からいただいたオススメメッセージを紹介します。

教室などで簡単にプロジェクションマッピングが作れます!写真だけでなく動画を取り込めるところがオススメです。実際の授業では、アプリ「VISUAMUSIO」と組み合わせてプロジェクションマッピングを行いました。あらかじめ撮影した生徒の動画をカメラロールから「Prspctv」に取り込み、ついたてやブロック、壁などに合わせて図形を調整し、マッピングします。ポリゴン(Polygon)はいくつでも追加でき、それぞれ大きさや形を変えることができます。取り込んだ動画は自動でループして再生されます。1台のiPadとプロジェクターがあれば、部屋を一気に不思議な空間に変えてしまうことができます。

↓海老沢先生から写真をご提供いただきました。
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 写真や動画を取り込んで、教室の壁などにプロジェクションマッピングを行うことができます。複数の写真を配置することも可能だそうです。
www.youtube.com

◆ ◆ ◆

 「Teacher持ち込みレコメン」の第4回は、プロジェクションマッピングを簡単にできるアプリ「Prspctv」の紹介でした。投影する画像や動画を作成するところからスタートして、文化祭など行事のときにプロジェクションマッピングをしてみるのもいいかもしれないと思いました。
 次回のレコメンも、お楽しみに!

「Teacher 持ち込みレコメン」は、先生の生の言葉で、「他の先生方へオススメ(レコメンド)したい」と思う、本、サイト、アプリなどを登録していただき、ブログのエントリーとして発信して共有化していくコンテンツです。ご協力いただける方は、注意事項をお読みいただき、登録フォームよりご投稿をお願いします。

(為田)

「未来の学び」のビジョンと課題 セミナーレポート No.4(2017年6月5日)

 2017年6月5日に、“「未来の学び」のビジョンと課題”に参加させていただきました。このセミナーは、ICT CONNECT 21主催、未来の学びコンソーシアム後援のセミナーで、省庁・教育委員会の皆様、自治体職員の皆様、校長・副校長・教頭および教師の皆様、大学の先生等、教育関係者(私企業を除く)限定セミナーでした。
 以下は、あくまで為田の個人的な解釈としてのセミナーレポートとなります。ご了承ください。

 続いてのレポートは、Google Cloud カスタマーエンジニアの水江伸久氏の講演です。講演のタイトルは、「クラウドセキュリティについて」でした。クラウドのセキュリティについては、技術革新のスピードに劣らないセキュリティ体制の構築が課題となっていて、こうした課題にGoogle Cloudは対応できるようになっているそうです。Googleのユーザーは10億人を超えているそうで、セキュリティの優先順位は高いそうです。
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 Googleのセキュリティへの取り組みについて、水江氏は説明してくれました。

  • Googleのセキュリティへの取り組み
    • 従来のセキュリティは、城壁部分を固くしていて、その中は脆弱だったりする。
    • Googleの考え方は違う。すべての階層にセキュリティを実装している。
    • Googleのセキュリティ選任部門は、Googleの優秀なスタッフが配属される部門。
  • Chromebookは端末セキュリティの課題を解決
    • ローカル(Chromebookの端末)に、データを持たせない。そのため、できることが限られている。

 続いて、クラウドについてよくある不安と正しい理解についても、わかりやすくまとめて説明がありました。

  • Googleはお客様のデータを見ており広告に利用している。
    • Googleに委託したデータの所有権はGoogleではなく、お客様に属する。
    • データを広告目的に使うことはない。
    • データの保存場所を意識する必要はない。
    • Googleクラウドサービスの契約書にも明記。
  • Googleクラウドはインターネット経由でアクセスするためリスクが高い。
    • クラウドのセキュリティにおいて重要なポイントはサーバー、通信経路、端末の3カ所のセキュリティ。
    • Googleはこの3カ所を対策することで、情報漏えいのリスクを最小化。
  • Googleのデータセンターの場所は公開されていない。
    • Googleのすべてのデータセンターの所在地(国名、都市名)をWebで一般公開。
    • 利用場所によって接続速度やパフォーマンスに影響が出ないように設計。
    • 計画メンテナンスによる停止はなし。
  • Googleのサービスは米国の愛国者法で差し押さえられる可能性がある。
    • 第三者からの請求に対応する責任はお客様が負担。

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 昨今、情報漏えいの約8割は内部犯によるものだそうです。Googleには、o 長年データと向き合ってきた技術の蓄積もあります。最近は、機械学習の成果により、Gmailで迷惑メールを受信する可能性は、0.1%以下になってきているそうです。たしかに、Gmailで迷惑メールを受信することも少なくなったように思います。
 教室で使うアプリや機材の方をメインにこれまで見ることが多かったですが、セキュリティというバックボーンにある技術ももちろん大事だな、と思わされました。

 最後の質疑応答の時間に、「Google Cloud上にあるデータは誰のものか?」という質問が出ました。それに対する答えは、「学校がGoogle Cloudを使う場合、Cloudにあるデータについては、学校のものであり、Googleのものではない。これは、SLA(Service Level Agreement)で対応できるものです」ということでした。
 こうした学校ならではの懸念点などが質問できる点も、このセミナーの良い点だったのではないかと思います。
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 No.5に続きます。
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(為田)

「未来の学び」のビジョンと課題 セミナーレポート No.3(2017年6月5日)

 2017年6月5日に、“「未来の学び」のビジョンと課題”に参加させていただきました。このセミナーは、ICT CONNECT 21主催、未来の学びコンソーシアム後援のセミナーで、省庁・教育委員会の皆様、自治体職員の皆様、校長・副校長・教頭および教師の皆様、大学の先生等、教育関係者(私企業を除く)限定セミナーでした。
 以下は、あくまで為田の個人的な解釈としてのセミナーレポートとなります。ご了承ください。

 今回レポートするのは、Googleアメリカ本社コンピュータサイエンス教育戦略責任者のChris Stephenson 氏の講演です。講演のタイトルは、「コンピュータサイエンス教育の重要性:将来に役立つスキルの提供」でした。
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 最初に、テクノロジーが社会の中で果たす役割についてと、そこから導かれる「Googleコンピュータサイエンス教育のゴール」についての説明がありました。メモを公開しつつ、為田のコメントを書いていきます。

  • 「私達の生活をより良くするためには、テクノロジーの重要な問題に取り組む人材がもっと必要だ」(ラリー・ペイジ Google I/O 2013)
  • 「テクノロジーがあってこそ、世界はより良くなっていく」と言っていきたい。
  • 世界を取り巻く環境
    • コンピュータのパワーと知識が、仕事と私生活のあらゆる面の発展と革新の基礎となっている。
    • すべての産業や分野で、コンピュータのスキルが必要とされている。
    • 世界の国々は、この新知識と革新が動かす経済に備えて準備を整えている。
    • 日本の長い優秀な歴史が、質を損なわず変化できる国であることを証明している。
  • 生徒に「Education is pathway to success」と示したい。
  • 将来を見据えて
    • コンピュータが浸透した現代社会において、より賢い生活者になるには、学生時代にコンピュータの基礎をよく理解しておく必要がある。
    • 未来も視野に入れた教育が必要であり、学生たちが世界の重要な問題を解決するためのツールをデザインし構築するためにはサポートが必要。
  • Googleコンピュータサイエンス教育のゴール(Google's Goals Computer Science education)
    • 全ての学生にチャンスを提供する
    • 平等なアクセスを構築する
    • 滞在的な労働力を増やす
    • 世界経済を発展させる

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 そして、Googleコンピュータサイエンス教育のゴールに向けて、何をしていくのかの説明がありました。メモを公開しつつ、為田のコメントを書いていきます。

  • 成長への最適な道の発見
    • 学生たちが、社会に貢献できる新しいテクノロジーを生み出すための強固な道筋を作ることが重要である。
    • その道筋は、国の利益や価値、文化に沿ったものでなければならない。
  • Googleの支援の仕方
    • コンピュータサイエンスの全体像に関する知識を構築する
      • 全体像が複雑(コンピュータサイエンスのステージや意味が異なる)
      • エコシステムを動かす人の知識を構築(内部及び外部)
    • 教育者に力添えする
    • 学生たちを動機づけして、惹きつける。
  • 技術革新リーダーとしての日本
  • 教育に関する私達の理解
    • 日本は長年にわたり、高い教育レベルを維持している。
    • 政府は、すべて子どもが小学校で「コーディング」を学ぶことの重要性を認識している。
    • 日本社会は主要な責任を学校に任せ、そこから多くのものが得られることを期待している。
    • 教員は学生のモチベーションを上げるために重要な役割を担っている。
  • 課題となっているサステナブルな変化の達成
    • 世界中で、インフラ整備が課題となっている
    • 高齢化が進む中、コンピュータサイエンスが、少ない労働力での経済維持に貢献できる
    • テクノロジーは急速に変化し、ついていくことが困難である
    • ローカライゼーションの重要性 日本語のコンテンツの欠如
    • 最良の支援は何かを知るために、教育者の知識や専門技術を、Googleは頼りにしている。

 最後に書かれている、「最良の支援は何かを知るために、教育者の知識や専門技術を、Googleは頼りにしている」という部分は、非常に重要だと思います。現在、日本の学校でよく使われていて効果をあげているシステムやアプリや機材などは、教育者(=先生)の知識や専門技術にリスペクトし、話をし、授業を見学し、どのような機能が必要であるかをとても良く考えています。こうしたことを考えずに、学校の支援をできるはずはありません。

 続いて、「術語を理解する」と題して、コンピュータサイエンス(CS)とコンピュテーショナルシンキング(CT)についての説明がされました。「しばしば誤解されているが、コンピュータサイエンス(CS)とコンピュテーショナルシンキング(CT)は違う」として、

  • コンピュータサイエンス(CS):
    • コンピュータとアルゴリズムのプロセスの研究をはじめ、その原理やハードウェアおよびソフトウェアの設計、そのアプリケーション、社会への影響などの研究も含まれる。
    • プログラミングやコーディングを超えた大きな概念
      • プログラミングは「コンピュータがあるタスクを実行して問題を解決できるように、いろいろな命令のセット(プログラム)を開発、実装するプロセス」。
      • コーディングとは、「プログラムを特定のプログラミング言語で記述する行為」。
    • 以下のいずれでもない: デジタルリテラシー、コンピュータアプリケーション、ネットサーフィン、ネットの安全性、ロボティックスとエレクトロニクス、デバイスの使い方、グラフィックデザイン、ワードプロセッシング、ハードウェアのスキル(マウス、キーボードなど)
  • コンピュテーショナルシンキング(CT):

 「プログラミング教育」と「コンピュータサイエンス」の違いなど、改めてこうして生理がされて、わかりやすくなりました。こうした定義もしっかりと踏まえて、「プログラミング教育の必修化」へ向かっていくべきだと思います。
 例えば、コンピュータサイエンス教育は、多くの国で進んでいるのですが、今回の講演の中では、アイルランドコンピュータサイエンス教育の例が紹介されました。

  • 政府がコンピュテーショナルシンキング(CT)を小学校の算数のカリキュラムの一部として導入。2018年までにはコンピュータサイエンス(CS)を教科とすることを決め、その目標に向かって非常に迅速に動いている。
  • 規準の策定を準備している段階であり、政府の実行委員会が結成されている。
  • Googleアイルランドでの活動
    • Googleは、教員養成プログラムにおいて協力し、教員向けCS専門家育成のエコシステム構築を支援している。
    • 生徒たちをコンピュータサイエンス(CS)に触れさせる、草の根活動への投資をしている。
    • Googleコンピュータサイエンス(CS)教育専門家が、学習標準を策定する委員会とカリキュラム策定委員会に参加している。

 さまざまな動きが世界ではされていることがよくわかりました。国によって状況が違うので、それぞれの国によって、どれが適しているかを提示する必要があるという保留はありましたが、プログラムとリソースも紹介されました。以下に紹介されたリストをメモします。

 まとめとして、Chris Stephenson 氏は、「日本がやろうとしていることが、いかに複雑かはわかる。良きパートナーとなる形で協力したい」「Googleは専門家ではない。日本の教育の専門家である皆さんに教えてもらいたい。そして、われわれがどんなことをお手伝いすることができるかを提示できる」とおっしゃっていました。
 Googleが、日本の教育において、どのような役割を果たしていくのか、非常に楽しみです。こうした基礎的な術語の解説や、世界での事例の共有などに、日本の事例もフィードバックすることで、より質が高い教育ができるようになると思いました。

 No.4に続きます。
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(為田)

『アクティブラーニング 「深い学び」を支える学級はコーチングでつくる』

 京都教育大学附属桃山小学校の若松俊介先生から、著書『アクティブラーニング 「深い学び」を支える学級はコーチングでつくる』を献本していただきました。ありがとうございます。

「深い学び」を支える学級はコーチングでつくる

「深い学び」を支える学級はコーチングでつくる

 若松先生の授業は、これまでに何度か見学させていただいていて、このブログでも紹介をしています。1枚、為田が撮影したとても印象的な写真があって、その写真から見える授業の様子をレポートした文章を、転載します。

 6年2組の授業では、「桃小ピカピカプロジェクト」の中間報告会を行っていました。現在の「学校の課題」について考えて、学校をより良くするために、グループでどの学年に何を伝えるかを消え、伝えるものを制作しています。制作したものをみんなで見て、ふりかえりを行い、さらに作品を再構成していく、という授業でした。

 発表するグループが、ムービーを見せて、プレゼンテーションをします。司会をするグループがホワイトボードのところにいて、議論をリードして、教室全体で意見を集めていきます。
 下の写真で、教室のいちばんうしろに座って、全体を見守っているのが、担任の若松俊介先生です。じっと教室全体を見て、議論の進行は、司会をしているグループの子たちに任せていました。議論の途中で、若松先生が2つの案を比較して、「どっちがいいと思う?」と訊くと、司会をしていた児童たちが「それ、ずっと訊きたくて我慢してたのに!」と怒る場面がありました。若松先生がしたいと思っていた発問を、議論をリードする子どもたちも同じように持っていて、しかもそのタイミングを図っていた、というのは、担任の先生として心強いだろうな、と思いました。


(参考:京都教育大学附属桃山小学校 教育実践研究発表会 レポート No.2 (2016年11月25日) - 教育ICTリサーチ ブログ

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 どうやったらこんなふうな教室になるのだろう?こんなに自分だったら我慢できるだろうか…と思ったことを覚えています。若松先生に授業の後で、「この写真、よくないですか?」と見せたら、とても気に入ってくれたのを覚えています。すごく、若松先生のクラスっぽい写真です!

 今回の著書をお送りいただく時に、若松先生はこの写真に触れて、以下のように書いてくださいました。

為田さんに撮っていただいた私が後ろに座っている写真は宝物です。
ああやって任せられるようになるまでの過程を書かせていただきました。

 まさに、こうして授業を任せられるようになる過程が書かれている本だと思います。本の中で、コーチングのメソッドを通じて、若松先生の学級経営の意図を解説してもらっているようでした。
 こうして「子どもたちに任せられる」=「アクティブラーニングが成立する」学級を作るために、3つのステップが紹介されています。

  1. 子どもに気づきを与えるコーチングステップ1
  2. 子どものトラブルを活かすコーチングステプ2
  3. 教師が消えるコーチングステップ3

 最後のステップ3の「教師が消える」は、まさにいちばんうしろに先生は座って、司会も発問もぜんぶ子どもたちに任せている、若松先生のあの授業そのままだな、と思いました。本当にそんな感じの教室でした。司会をつとめていた子どもたちに、「それ、ずっと訊きたくて我慢してたのに!」って、若松先生が怒られていましたから(笑)

 メソッドを知ることと、実際にクラスで行ってきたことをふり返ってきた、リフレクションしてきた経験談も書かれています。そうした過程もわかるのは、先生方にとって若松先生が学級経営をしながら行ってきた試行錯誤を疑似体験ができていい手法だな、と思いました。


 若松先生に、どんな人、どんな先生に、この本を読んでもらいたいと思いますか?と訊いてみました。

「アクティブ・ラーニング」「深い学び」って言われてもどうすればいいのか悩んでいる人や、学級で子どもたちとのやり取りに困っている人に読んでほしいなと思います。僕自身、毎日悩みながら子どもたちと過ごしているので、悩みを共有させてもらえたら有り難いです。「僕はこうしてるよ。」」「私はこうしてるよ。」」「こうすれば子どもがいきいきするんじゃないかな。」って話が聞けるとさらに有り難いです。これからの教育を一緒に考えられればいいなと思います。

 ひさしぶりに若松先生の授業が見たくなりました。また伺わせてもらおうと思います。

(為田)

「未来の学び」のビジョンと課題 セミナーレポート No.2(2017年6月5日)

 2017年6月5日に、“「未来の学び」のビジョンと課題”に参加させていただきました。このセミナーは、ICT CONNECT 21主催、未来の学びコンソーシアム後援のセミナーで、省庁・教育委員会の皆様、自治体職員の皆様、校長・副校長・教頭および教師の皆様、大学の先生等、教育関係者(私企業を除く)限定セミナーでした。
 以下は、あくまで為田の個人的な解釈としてのセミナーレポートとなります。ご了承ください。

 最初に登壇したのは、Googleアメリカ本社教育部門代表のBram Bout氏。講演のタイトルは、「Transformation: Why, What & How(トランスフォーメーション:なぜ、何を、どのように)」でした。
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 最初に、タイトルの中の、「なぜ」と「何を」の部分について話がされました。メモを公開しつつ、為田のコメントを書いていきます。

  • なぜ
    • どこでも子どもが成功するために教育は必要だ、という認識はある。
    • 「平等で質の良い教育が、国のGDPを向上させる」というデータがある。ROI(投資対効果)としても、いい結果が出ている。
  • 何を
    • 「教育制度が仕事に必要なスキルを提供してくれると思う」(18~25歳の学生の44%の回答)
    • 雇用主の期待と学生の期待を調査したところ、「コラボレーション」「問題解決」「コミュニケーション」が重要視されていることがわかった。だが、学校でそれらを教えていないということもわかった。

 学校が社会で活躍する人材を育てるための場所であることを考えると、子どもたちを近い将来迎え入れる企業の期待に、十分に応えられていないのではないか、ということが言えると思いました。
 ここで重要視されている「コラボレーション」「問題解決」「コミュニケーション」は、テクノロジーを使うことで大きく形を変える部分でもあります。学校にテクノロジーを配備することで、「コラボレーション」「問題解決」「コミュニケーション」を子どもたちに実践する機会を増やすことも可能になると思います。

 では、そのために、「どのような教育のトランスフォーメーションが必要か=どのように教育を変えることが必要か」ということに話は進んでいきました。

  • どのような教育のトランスフォーメーションが必要か?
    • 「なぜ」と「何を」がわかった。それを実現するのは、まだ難しいという現状もわかった。
    • テクノロジーは、変革のために必要だ。だが、学校の中にテクノロジーを持ち込むのは非常に大変。
  • 新しくテクノロジーを学校に持ち込むには?
    • 新しいテクノロジーが入ってきたときの進化のプロセスはだいたい同じ。今やっていることを少し良くするくらいからスタートする。
      • Substitution(代替)
      • 小さな進歩で満足しない(Don’t just settle for small gains.)
      • テストをコンピュータで受けることも、それまでとあまり変わらない体験になる。
    • テクノロジーのインパクトをしっかり受けるという意味では、もっと大きなものを志向しなければならない。10×くらいで考えなければ。
      • 「10倍のことをする方が、10%良くするよりも簡単だよ」
      • 10倍のことをしようと思ったら、今までのものを捨てて、白紙からしなくてはならない。
    • 教育現場でのテクノロジーの活用を狙うならば、「radicalに、制約なしで考えているか」が重要。
      • Netflixなど、コンテンツも個別化しているのに、なぜ学校/教材だけが、みんなで同じものを志向しているのか?
      • 「トランスフォーメーションは力を与えてくれる」

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 最後に、トランスフォーメーションのフレームワークについての説明がありました。フレームワークとして、7つの要素が紹介されました。

  1. コミュニティ
    • より大きな人数への取り組み。
    • 保護者の協力も必要。
    • 保護者が学校に通っていたときとは違うことをしようとしている。
  2. 学び
    • カリフォルニア州にPersonal Based Learningに切り替えた学校がある。
    • 一対一の学びができるように。
  3. ファンディング&サステイナビリティ
  4. ビジョン
    • どこに向かっているか?
    • 学習のアプローチはどうやっているのか?
    • 自分の学校の文化をどのように変えていけるのか?
      • 例えば、「学習はどこでも、いつでも、どのようなペースでもできることだ」という原則=ビジョン。
      • 学習の経験は、生徒たち自身が作り出していくもの。コントロールしているのは生徒。
    • 生徒がまず学び、保護者、さらにその上の世代とも共有するというふうにする。
  5. カルチャー
    • イギリスのある学校は、「お互いに学び合う」というところに重きを置くようにした。チャイムで授業が終われば、学びが終わる、というわけではない。学校のカルチャーは重要。
  6. プロフェッショナル・ディベロップメント
  7. テクノロジー

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 最後に質疑応答の中で、Bram Bout氏が言った「Think big. Start small.」という言葉が非常に印象的です。「Start small.」ということには、例えば一人の先生の試みからスタートして、実際にやってみてアプローチを変えて、そこから再度トライする、そうしたことも「Start small.」になる、ということでした。一気に制度ができあがり、一気に設備が整う、ということがない状況を考えると、教育委員会単位での「Think big.」と、現場の先生方の「Start small.」の間に橋を架けてトランスフォーメーションへ動き出すのがいいと思います。また、それが教育委員会同士で共有されて、日本全国へ速く展開できればいいと思いました。

 No.3に続きます。

(為田)

祝・1000エントリー:読者アンケートのお願い

 いつもありがとうございます、教育ICTリサーチ主宰、為田裕行です。…と、いつもと少し違う雰囲気で書き出しました。

 実は、この記事がちょうど1000エントリーとなります。2014年6月27日に最初のエントリーを書いて、そこから3年ちょっとで1000本。1年あたり300本超ということになります。
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 学習塾の講師としてキャリアをスタートして、その後、4歳から15歳を対象にコンピュータやインターネットを教える教室を運営しました。最近では、先生方向けのICT導入研修や、教材監修などを仕事としてきている自分ならではのブログになるように気をつけているのは、以下のようなことです。

  • 機器やアプリよりも、「どんな授業になるのか」に着眼して書く。先生が授業中にどんな発問しているのかもわかるように、じっくり授業をレポートする。
  • ICTをこれから使い始める先生でも、ちょっとやってみようと思ってくれるように、小ネタも紹介する。
  • なるべく幅広く書く。教室で使われるICTについてのイメージを広げられるように心がける。


 1000エントリーは一区切りだな、と感じています。多くの方に読んでいただいて、そのおかげで多くの新しいご縁もいただいてきました。本当に皆様、ありがとうございます。
 この区切りに、一度、読者アンケートをさせていただきたいと思います。これから、どんな記事を読みたいかなど、自由にコメントいただければと思います。たくさんのコメントが集まれば、もちろん今後のエントリーに反映させていただきたいですし、またコメント集も記事として公開させていただきたいと思います。
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goo.gl

 お忙しいところすみませんが、ぜひ、ご協力をいただければ幸いです。ますます、皆さんに読んでいただけるように、また新しい先生方に読んでもらえるように、これからもがんばっていきたいと思います。

(為田)

【メディア掲載】 月刊私塾界 8月号発刊

 月刊私塾界 8月号がオフィスに届きました。今回はナガセグループの特集です。
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 8月号では、6月12日に開催された私塾界リーダーズフォーラムの様子も収録されています。為田は、第4部のパネルディスカッション「予測不能な時代に求められるスキルの育成」に、モデレーターとして登壇させていただきました。パネリストは、国際科学教育協会 代表理事・子どもの理科離れをなくす会 代表の北原達正さん、文部科学省 教育課程課 課長補佐(併)学校教育官の金城太一さん、株式会社栄光 執行役員 業務支援本部 本部長の長島雅洋さん、ICT CONNECT(みらいのまなび共創会議) 事務局次長の寺西隆行さん、株式会社イング 代表取締役の青木崇幸さんでした。

 次期学習指導要領の方向性から、ICTをどのように教育現場に入れていくのか、子どもたちに必要なスキルはどんなものか、などを話し合いました。パネリストの皆さんの仕事やバックグラウンドの多様性によって、さまざまな角度からの意見交換を来場者の皆様の前でできたのではないかと思います。
 例えば、為田からの、「学校の先生に対して民間教育ができることは何かあるでしょうか?」という質問に対して、青木さんがイングから先生を派遣したときの事例などを紹介してくれました。また、そうした動きに対して、文部科学省の金城さんが、「様々なプログラムを課外で提供してれるといいですね。都市部だけでなく、地方も含めてこういう動きが活発になればと感じます」など、実際に民間教育の立場から学校へ協力したからこその意見を聴くことができたのは良かったと思います。
 さまざまな立場からの議論が興味深く、もっともっとパネリストの皆さんにお話を伺いたかったというのが本音ですが、興味ある方は、ぜひお読みいただければと思います。
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 また、いつもの連載も掲載されています。4月から5月にかけてですので、EDIXやセサミストリートのプロジェクトであちこち行っていたころです。来月でこの連載も30回。私塾界のイベントなどでは、「連載、読んでます」とお声掛けいただくことも多く、ありがたいことだと思っております。これからもがんばります。
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(為田)