教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

【レポート】プログラミング オンライン学習「テクノロジア魔法学校」をやってみた No.2

 2018年4月21日にサービスが開始された、ライフイズテックのプログラミングのオンライン学習教材「テクノロジア魔法学校」をやってみたレポートです。
 今回は、プログラミング学習の作りについてレポートします。実際に使ってみて、学びに役立つ仕掛けがたくさんされていることがわかりましたので、レポートしたいと思います。

リアルタイムレスポンスで、PDCAサイクルが速くまわせる

 プログラミングの学習画面では、プログラムを入力するウィンドウと、そのプログラムの結果を表示するプレビューウィンドウと、問題とヒントが表示されたウィンドウの3つの要素が1つの画面に構成された状態になっています。プログラムを入力するとすぐにプレビューで確認できるので、自分が入力したプログラムによってどう画面が変わるのか、プログラムが合っているのかどうか、どこが間違っているのかなど、PDCAサイクルを速くまわすことができるUIになっていました。
 また、正解にならない・プレビューに反映されない場合は、プログラムのどこかが間違っていることになるので、指定のプログラムと自分が書いたプログラムを見比べて間違いを探すクセがつくなと思いました。

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プログラムが間違っていて何も表示されていない
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プログラムを正しく直して、正方形が表示された様子


ナビキャラの動きで、視線誘導・説明解説にリズムを

 学習画面では、終始ナビキャラが、次に何をするか指示を出し、正解時に褒めたりするのですが、そのナビキャラの立ち位置が画面内を行き来するようになっています。どういうプログラムを書いたらいいか説明しているときは、問題・ヒントのウィンドウやプログラムを入力するウィンドウあたりに移動し、正しいプログラムが書けて正解した際はプレビューウィンドウに移動して、ユーザーが次にどこを見たらいいのか迷わないように、視線を誘導する役割も担っていました。また、そういった動きがあることで、学習中の説明が単調にならずに済んでいるように感じました。
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条件や制御で、教えたいポイントからズレないように工夫

 プログラムの入力では、ユーザーにすべてのプログラムを書かせるのではなく、テンプレートを用意し、学習させたいポイントだけプログラムを入力させる形になっていたり、指示内容に関係のないプログラム部分については、編集自体ができないようにロックをかけていたりなど、条件や制限があります。ユーザーの自由度は損なうものの、間違いを探す範囲が広くなりすぎて、どこが間違っているのかわからず嫌になってしまったり、思ってもいないところを編集して、元に戻せなくなってしまったりという心配がいらないなと思いました。

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3行目以外は、編集できない状態


1 基礎学習でステップアップ→2 基礎全終了で復習も兼ねた応用学習へ

 テクノロジア魔法学校では、メディアアート・ゲーム制作・Webデザインの3種類のプログラミングを並行して学習していきます。各カテゴリごとに、複数回のレッスンをステップアップ形式で1本道で進めていく基礎学習と、基礎学習をすべて終了させた後に学習することができる応用学習の構成になっています。応用学習では、それまでの基礎学習で学んだプログラミングを使ってより高度な作品を作ることで、復習の意図も込められています。ちなみに、テクノロジア魔法学校では基礎学習応用学習とは言っておらず、魔法学校の世界観に合わせたネーミングになっています。
 基礎学習のステップアップの中にも、新しいプログラムと共に、前に出てきたプログラムが何回か出てきたり、ヒントとして最初から表示されているプログラム自体が徐々に少なくなって非表示(「???」と表示)の部分が増えてきたりするので、少しずつヒントを見なくても指定されたプログラムを覚えて書けるような設計になっています。

第1章では意図した順番で一本化。第2章ではユーザーの興味に任せて選択式。

 第1章では、チュートリアル的な役割で、いちばん最初にパソコンの基本操作の学習を実施し、その後、メディアアート→Webデザイン→ゲーム制作の決まった順番で学習が進めることができます。扱っている言語から考えると、Webデザインだけプログラムの書き方が異なるので、学習のわかりやすさの観点からすると、メディアアートとゲームを連続して学ぶ形にするのが理想的なので、以下の順番にするのを考えます。

 ただ、第1章ではユーザーのワクワク感や「プログラムをちょっと書いただけでこんなすごいのが作れちゃった!」という成功体験を早い段階でさせることがユーザーの満足度・自信につながるので、重要になると思います。また、第1章の最後に作った作品の成功体験も、印象として残りやすく、次の章への期待にもつながるので、その章の中で1番高くあるべきです。こういった観点を考慮すると、【A案】も【B案】も、基本的なプログラムでWebデザインの作品を作るには、メディアアートやゲームのような動的な作品に比べると、キャッチーな成功体験では劣るかと思います。また、テクノロジア魔法学校の世界観として、「プログラミング=魔法」と設定しているので、メディアアートやゲームの方が魔法っぽく感じる作品を作りやすくもあります。
 簡単なプログラムだけで動的かつディズニーに関連したメディアアートを作ることができた!という成功体験を得て、Webデザインで別のプログラム言語を学び、最後にプログラムの書く量も多い・少し難しいゲームも作ることができた!という体験をしてもらうために、こういった順番で一本化にしたのではないかな、と考えました。

 第2章では、各カテゴリ1レッスン分ずつやってどういう内容をやるのか認識させた上で、好きなカテゴリから学習できる形になっていました。第2章でも、わかりやすさ・学びやすさという観点よりも、ユーザーが興味あるカテゴリやストーリーから学習できるようにしていました。

謎解きストーリー×プログラミング(魔法を唱える)で、必然性を。

 新たなコンテンツ体験ができたのが、第2章での謎解きでした。謎解きのストーリーに合わせて、学習したプログラミング(魔法を唱える)が必要な場面があり、成功するとストーリーが進行します。これまで、プログラミング学習が謎解きやストーリー進行に密接に連携はされていなかったので、ストーリーを進行させる部分と、プログラミング学習する部分と別々な感覚でしたが、こういった内容があることで、プログラミングの実践の場という感覚になり、ストーリー中にプログラミングを学習する必然性が強くなったと思いました。


(前田)

【レポート】プログラミング オンライン学習「テクノロジア魔法学校」をやってみた No.1

 2018年4月21日にサービスが開始された、ライフイズテックのプログラミングのオンライン学習教材「テクノロジア魔法学校」をやってみた(今も継続中)ので、2回に分けてレポートしたいと思います。
 1回目の今回は、学習教材としての動機付け、デジタル×アナログの役割・効果についてレポートします。

学習教材というより、ゲームをやっている感覚

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 テクノロジア魔法学校の最大の特徴は、ディズニーとのコラボレーションですが、テクノロジア自体の世界観や主人公キャラクターなどは完全オリジナルで、世界観設定・キャラデザイン・音声・BGM・アニメーションなどの作り込みのクオリティが高く、オンライン学習をやっているというより、ゲームをやっているような感覚になります。導入の作り込みがしっかりされているので、プログラミングに興味のない・勉強嫌いの子でも、ゲームをやっていたら、いつの間にかプログラミングができるようになっていた。というデザインになっているなと思いました。

 コンテンツは、第1章~第7章で大きく構成されていて、4月21日の時点では、第1章までがプレイできる状態(5月19日から第2章プレイ可)でした。第1章が終わったときにオープニングアニメが流れたのですが、流すタイミングといい、アニメのクオリティといい、BGMのPerfumeの「エレクトロ・ワールド」といい、まるでRPGの導入プレイを終えた後に流れるオープニングアニメを見ているような…アニメの次回予告を見ているような感覚になり、これからどんなことができるようになるんだろうというワクワクドキドキ感、続きの第2章の内容への期待感が煽られ、「はやく配信日が来ないかな」という気持ちにさせられました。第2章の配信日までの期間が空いていた分、コンテンツ自体の継続率に影響すると思うので、ここの演出はかなり力入れているな~と思いましたし、狙い通りやられました。
 第2章でも、アニメによる演出がポイントとなる箇所にあり、ユーザーのモチベーションやワクワク感の増幅、達成感の演出に重要な役割を担っているなと思いました。

ディズニーキャラ・世界観の効果絶大

 やはりなんと言っても、ディズニーキャラと世界観の、モチベーションへの効果が大きいです。ストーリーの中で、ディズニーのキャラクターが登場すると「おおっ!」と心躍る自分がいました。そして、ディズニーストーリーを題材とした学習を速くやってみたいと思う自分、実際の学習(プログラミングで作る作品)がストーリーとリンクしたものになっていることでのワクワク感・満足度が非常に高かったです。

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 そして、自分の中で意外な感覚になったのが、クリア後の報酬として送られてくるディズニーの絵ハガキでした。絵ハガキが届くって報酬として微妙だな…と正直思っていたのですが、実際受け取ると単純にうれしいと思いました。クリアしてから数日後に届くので、ちょっと忘れた頃に受け取ることで小さなサプライズ感もあり、再プレイの動機付け(リマインド)の効果もあるなと思いました。また、クリアするたびに違う絵柄の絵ハガキが届くので、次はどんな絵柄だろうと集める楽しみも増えました。

基盤はブラウザ。アナログは動機付け役割。

 コンテンツは、ゲームも学習もブラウザが基盤となっていますが、そこにアナログの要素が加わることで、多様な動機付けの役割を担っているなと思いました。
 まず、テクノロジア魔法学校を購入すると付いてくる魔導書には、以下のような役割があると思いました。

実物を開ける楽しみ・実感を演出

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 新しく買ったおもちゃ・ゲーム・服などを、梱包されている状態から開封するときに感じるワクワクドキドキ感は、アナログだからこそ実物を通して感じることができる感情だと思います。デジタルだけだと、ボタンを押すだけで手軽にあっという間にスタートできてしまうので、こういった実感は得にくいかと思います。

ゲーム(世界観)とのつながり・実物があることでのリアル感を演出

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 ストーリーの中で、登場キャラクターがセリフで魔導書について触れるので、ブラウザ上でストーリーは進んでいるものの、実物を介して世界観につながりを感じ、主人公になりきる・感情移入をしやすくしていたり、実物があることで、世界観をリアルなものに感じさせているのではないかなと思いました。

謎解きは実物を使って、世界観へ没頭させる

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 ストーリーを進める上で、随所に謎解きがあるのですが、これがデジタルとアナログを組み合わせた作りになっています。デジタルだけで完結させることもできる謎解きですが、あえてアナログにしていることで、実物を介して世界観とのつながりを感じさせたり、主人公と同じ状況・アイテムを持っていることで、自分事としてリアルに感じさせる効果があるように思いました。

クリア報酬である絵ハガキ入れ(コレクション)

 上記で述べた絵ハガキをストックするアルバム的な役割も担っているので、絵ハガキのコレクションをきれいに保管できたり、絵ハガキが増えることで、自分自身の成長・学習の記録にもなり、最後の章まで埋めるという目標・指針となり、モチベーション維持の役割も担っていると思いました。


また、報酬で届く絵ハガキにも、仕掛けがあります。
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 ただ、ディズニーのオリジナルイラストが描かれているだけでなく、宛名部分に謎解きがあるので、ワクワク感が増しました。宛名シールで謎解きの問題が隠されているので、シールをはがすと問題を確認することができます。現時点では、謎解きでわかった解答をどこで使うのかは不明ですが、遠隔のユーザーである学習者のモチベーションを維持・向上させる細かな仕掛けがちりばめられているなと思いました。


2回目では、プログラミング学習の作りについてレポートします。
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(前田)

教材に使えるかも?:Museum of Obsolete Objects

 「Museum of Obsolete Objects」というYouTubeチャンネルを見つけました(今はもう更新していないかも?)。「Obsolete=時代遅れの」ということで、いまや見かけなくなってしまった物を紹介しています。
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www.youtube.com

 例えば、カセットとかフロッピーディスクとか。それぞれ、今はどんなテクノロジーに代わっているのか、ということを考えるのもいいかもしれません(ほとんどがスマホになっている可能性がありますが…)
www.youtube.com

www.youtube.com


 このMuseumのなかには、FAXもピックアップされているのですが、今もまだ使っているところはあるなあ…。
www.youtube.com

(為田)

ブログが開設4年記念日

 このブログ、今日で開設して4年だそうです。メールが来て初めて気づきました。この4年間で、このブログが運んできてくれた縁はけっこう多いのです。
 先生方と新しく知り合うきっかけになったりもします。はじめましての人に「読んでます」と言われたこともあります。ブログを読んでいることでしばらくご無沙汰だった人に近況報告しなくてよかったりもします。
 FacebookTwitterなどSNSもそうですが、ネットがあって僕の仕事はとても豊かになっているな、と感じるのでした。
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 ルチアーノ・フロリディ『第四の革命 情報圏(インフォスフィア)が現実をつくりかえる』という本の中で、「オンライフ経験(onlife experience)」という概念が、情報化時代の発展の次の段階として提唱されているのをちょうど読んだところなのですが、こういうインターネット、デジタル、ICTがもたらしてくれる人との繋がりとか体験とかというものは、子どもたちに伝えられるようにしたいな、と思っているのです。そのために、学校をFuture Readyにする、教育をFuture Readyにする。引き続き、頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。
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第四の革命―情報圏(インフォスフィア)が現実をつくりかえる

第四の革命―情報圏(インフォスフィア)が現実をつくりかえる



(為田)

「未来の教室」とEdTech研究会の「第1次提言」(2018年6月25日)

 2018年6月25日に、経済産業省が、「未来の教室」とEdTech研究会の第1次提言を公表しました

 「未来の教室」とEdTech研究会は、第4次産業革命が進む世界の情勢を鑑み、日本が世界に様々なソリューションを提供する「課題“解決”先進国」となるために、今後行う実証事業(学びと社会の連携促進事業(「未来の教室」(学びの場)創出事業))の実施を見据えて開催したものです。

「未来の教室」とEdTech研究会の「第1次提言」がまとまりました (METI/経済産業省)

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 第1次提言では、「未来の教室」とEdTech研究会が行ってきた、「全4回の研究会(本体)と全5回のワークショップにおいて議論した内容を踏まえ、委員・専門委員、現役の中学生・高校性・大学生たちの考える2030年頃には「日本全国でこんな学び方が当たり前になっていてほしい」と考えるイメージについて、問題意識と理想を束ねた「ラフ・スケッチ」を描くとともに、EdTechを用いて世界各国で急速に進む教育イノベーションの動向や、日本でこうした学び方を実現するために解決が必要になる諸課題を並べ」たそうです。
 これをたたき台として、7月から「未来の教室」実証事業のプロジェクト群がスタートし、第2次提言に向けた検討がスタートするとのことです。

 経済産業省のサイトで関連資料としてリンクが貼られているのは、4つの資料です。

  1. 「未来の教室」とEdTech研究会第1次提言(PDF形式:1,003KB)
  2. 第1次提言のポイント(概要)(PDF形式:481KB)
  3. (付属資料1)「未来の教室」に向けた、思いとアイデア(ワークショップの概要)(PDF形式:2,146KB)
  4. (付属資料2)「未来の教室」とEdTech研究会第1次提言参考資料(PDF形式:5,004KB)

「未来の教室」とEdTech研究会第1次提言

 PDFで全24ページ。表紙には、「50センチ革命×越境×試行錯誤」「STEAM(S) ×個別最適化」「学びの生産性」と、3つのキーワードが書かれています。興味深かったところなど、メモとして公開していきたいと思います。

  • 「課題先進国」日本は、過去の成功パターンを頼りにできない環境で、課題の本質を見極め、様々な分野の個人・組織の力を集めて試行錯誤を繰り返し、状況を変化させられるだろうか。そのような力を持つ「チェンジ・メイカー」を日本の教育は育てることができているか?
  • データと AI(人工知能)を軸にして進む第4次産業革命は、多くの「与えられた仕事をこなす」労働から人間を解放する。そんな中、リアルな生活課題や社会課題を解決するプロジェクト(経験)で試行錯誤し、必要な知(教科)を系統立てて最大限効率的に身につけ、プロジェクトの成功に向けて邁進する、そんな生きた知的作業と行動と表現=「創造的な課題発見・解決力」を育む教育機会が十分にあるか?
  • EdTechのインパクトは、「教育現場でICTを活用する」といった次元ではない。「学び方」そのものを変えるはず。
  • EdTechは「学習者の特性・適性・興味・関心」を見いだし、学習者の「WILL(志)」を引き出す助けになり、多くの人達に「学習の自由化」(個別最適化された学び方を世界中から幅広く選べる)や「学術の民主化」(幼い頃から誰もが探究できる)という恩恵を与える。
  • EdTechによって、「教科(系統)主義と経験主義の壁」、「民間教育と公教育の壁」、「教育と社会の壁」が溶けていく 。「未来の教室」とEdTech研究会では、いかにして 2020 年代の新・学習指導要領の実践をより豊かなものにするか、そして「その先」にある 2030 年頃には「日本中の当たり前」であってほしい姿を先回りして考え、「民間教育と公教育の壁」を越え、「教育と社会の壁」を越えて今からトライアルすべきことを議論してきた。
  • 世界を変える発明やイノベーションも、目を見張るような現場のカイゼンも、気の利いた新サービスも、すべては小さな気付きを最初の一歩に変える「50センチ革命」から始まる。そして、複雑性・相互依存性の増す社会課題や生活課題を解決するイノベーションは、膨大なデータと AI による解析を味方につけ、問題を俯瞰して構造を把握し、様々な専門性・組織・業種・地域・国境の壁を「越境」し、分野横断の知や技能を集めた「試行錯誤」を繰り返す中で生まれることになる。
    • 「50センチ革命」を起こす力は、自己肯定感や自己効力感、圧倒的な当事者意識、他者への共感力、課題の発見力、(勝算や成否を恐れず)最初の一歩を踏み出す力などで構成されよう。
    • 「越境」するには、自らの思考の軸になる専門性のほか異分野の視点や知見を理解する力(本来の基礎学力)、多様性の受容力、タテ割りや対立を溶かす対話力、巻き込む力などが必要となろう。
    • 「試行錯誤」で結果を出すには、遊び心、創造性、正解なき中での思考力、リフレクション(省察)、失敗からの回復力などが欠かせないであろう。
  • 「浅く広く基礎を固めてはじめて、応用ができる」という考え方
    • 多くの児童・生徒は、自ら興味のあること知りたいことに出会う機会に乏しい中で、「何のために勉強するのか」はよくわからないままに好きな教科も嫌いな教科も教科書を読み進め、「いつかどこかで役に立つ」と言われながら、「まずは浅く広く基礎を固めることが大事」という考え方で勉強を繰り返す。しかし、将来自分が向き合うリアルな社会課題や生活課題という「応用問題」に最初から出会い、当事者意識を持って探究する中で、必要に駆られて初等・中等・高等教育の関係する様々な教科・学問分野に興味が湧き、深めていくスタイルの学び方もありうるのではないか。

第1次提言のポイント(概要)

 上記の第1次提言全体を読んだあとにポイントを読むと非常にわかりやすいと思います。
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 学習者が学び方をデザインする「学びの社会システム」のところに書かれている、学力、学年、時間数などの概念が希釈化され、学びの自由度が増す、というのは、C.M.ライゲルース・J.R.カノップ『情報時代の学校をデザインする 学習者中心の教育に変える6つのアイデア』のなかでも述べられていたことだと思います。
blog.ict-in-education.jp

(付属資料1)「未来の教室」に向けた、思いとアイデア(ワークショップの概要)

 「未来の教室」とEdTech研究会の付属ワークショップ(全5回)で集められた、教育関係者と中高生・大学生のコメントを読むことができます。さまざまなコメントが読めるのがおもしろい。
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(付属資料2)「未来の教室」とEdTech研究会第1次提言参考資料

 付属資料2では、諸外国の教育の事例、委員・ゲストスピーカーからの研究会提出資料の抜粋、「学びと社会の連携促進事業」について、を読むことができます。個人的には2つめの委員・ゲストスピーカーからの研究会提出資料が非常に興味深かったです。
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まとめ

 先日、私塾界リーダーズフォーラム2018で、浅野さんのプレゼンのレポートを書いたときに、「未来から逆算する経済産業省、いまの学校システムから積み上げ思考の文部科学省」というような対比を紹介しました。
blog.ict-in-education.jp

 どちらが正しいという話ではなく、どちらの視点も必要なのだと思います。そのうちの、経済産業省側からの、視点をぐっと高めてくれるような資料だと思います。テクノロジーでここまでできる、ということがこの提言には示されていて、これは「学校を、教室を、授業を、こうして変えられる可能性がある」ということを学校/先生方向けに知ってもらうきっかけにもなるのだと思います。

 Z会がまとめた「2018年6月文部科学省・経済産業省からの報告書・提言まとめ~これからの学びってどうなるの?~」も非常に勉強になりました。いろいろな人が、学習指導要領ともあわせて、読んで、考えていく、ということができればいいと思います。
www.zkai.co.jp

 すべての学校が一気にEdTechを導入して変わっていく、というのはなかなか考えにくく、未来から逆算をしていく学校と、いまの学校システムから積み上げてアップデート(「アドオンで変えていく」という言い方をされる先生もいます)していく学校と、両方が繋がるように、仕事をしていきたいと思っています。

(為田)

授業で使えるかも?:BBC Sound Effects

 イギリスのBBCが新たにサイト「BBC Sound Effects」を立ち上げました。「Sound Effects」とありますが、さまざまな音源データを利用することができるようです。
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 サイトにアクセスしてみると、ずらりと音源データが並んでいます。その数、1万6000以上。再生ボタンを押すだけでそのまま音源データが再生されます。また、ダウンロードすることもできます。

 素材はRemArcライセンスで提供されています。著作権BBCが所有。個人利用や教育利用、そして研究用途においては自由に利用できます(商用利用の場合は別途連絡が必要)。

 検索ボックスで、「computer」と入れてみると、昔のコンピュータの音や、レーザープリンタの音など、さまざまな音が表示されます。
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 また、左上のところにある「Select Category」を選ぶと、カテゴリーを選ぶこともできます。カテゴリーを「America」にして探した、「City market - Santiago, Chile」という音源も聞いてみました。人の会話とか咳とかも入っていて、うまく写真と合わせると、臨場感ある感じになるのではないかと思います。

 授業の中で、ちょっと音を聞かせたい、というふうなときに使える音源があるかもしれません。また、歴史に関する動画を作るときの音源として使うとかも可能かもしれませんね。

(為田)
 

授業で使えるかも?:AIが美容院に予約の電話(Google Duplex)

 Google I/O 2018のなかで紹介された、Google アシスタントの新機能「Google Duplex」。実際に美容院に予約の電話を入れるというデモなのですが、これ、すごいです。最初にGoogleに、「OK Google、10時から12時の間に理容室の予約を入れておいて」と言えば、あとは勝手に、全部にやってくれちゃいます。
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 通話内容が信じられないくらい人間らしくて、とにかくGoogleのAIの凄さを思い知らされました。
 動画でAIと美容院のやりとりを聞いていると、AIと人間の違いがわからない…。AIが相づちまでうっているところでは、会場から笑いが起こっています。コミュニケーションを円滑にする、相づちまでうてるのか…。
www.youtube.com

 これだけのことがAIでできるようになることについて、ワクワクするのか、ドキドキするのか。こうしたことをAIができるようになったときに、それを使いこなせる人になるためにはどうすればいいのか。そうした子どもたちを育てるために、学校は何を教えるべきなのか、ということも考えなければならないと思います。

(為田)