教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするために、現場目線での情報発信をしていきたいと思います。

「新しい「学び」のPerspectiveセミナー ~ICTを活用した学級経営~」 イベントレポート まとめ(2019年6月20日)

 2019年6月20日に、NTTコミュニケーションズ本社で開催された、「新しい「学び」のPerspectiveセミナー ~ICTを活用した学級経営~」に参加してきました。講師として、前・小金井市立前原小学校 校長で、2019年4月から合同会社MAZDA Incredible Labを立ち上げた、松田孝 代表が、自身がされてきた学校経営のなかから、まなびポケットとChromebookを活用した活動と教育ICTを活用した学級経営についてプレゼンテーションをされました。
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 全4回のレポートをまとめました。まだお読みでない方は、この機会にぜひどうぞ。

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(為田)

「音楽教室 3.0」という考え方×デジタルで音楽→学校の音楽の授業は変わるか?

 「未来授業」というラジオ番組のPodcastで、『そうだ!音楽教室に行こう』の著者である大内孝夫さんが出演されていました。
www.tfm.co.jp

 4回目の授業で、「音楽教室 3.0」という話が出ていました。大内さんは、以下のように、音楽教室が1.0から3.0へ変わっていく様子を紹介していました。

バイエルで個人練習をするのが、「音楽教室 1.0」。音楽教室でグループレッスンをするのが、「音楽教室 2.0」。さまざまな楽しみ方が出てきている現在は、「音楽教室3.0」。
習う楽器も多様になってきている。ピアノだけでなく、ドラムやサックスなども習える。習い方、楽しみ方も多様になってきている。好きな音楽を、好きなときに、好きなだけ楽しめるようにもなってきている。

人生100年時代“最強の習い事” そうだ! 音楽教室に行こう

人生100年時代“最強の習い事” そうだ! 音楽教室に行こう

 本の方はまだ読んでいないのですが、音楽の習い方や楽しみ方が多様になっているというところには、デジタル化は大きく影響していると思っています。習うのは、教室に行かなくてもYouTubeで習えるようになったり。その他にも、遠く離れた人と合奏ができたり。サブスクリプションで音楽が聴けるようになったり、AIが自分が好きそうな曲を選んでくれたり。

◆ ◆ ◆

 音楽の楽しみ方が変わってきているのだな、と感じて、2017年に参加した古河市教育ICTフォーラムでのMASAKing(鈴來正樹)さんが見せてくれた「プログラミング教育+音楽」のワークショップを思い出しました。
 ワークショップの後に話したときに、MASAKingさんが言ってくれた「例えば、リコーダーが苦手で音楽自体を嫌いになりかけている子が、ハンドソニックをきっかけにして改めて音楽に興味を持つこともあります。楽器の技術習得にかかる時間を短縮して、とにかくまずは音楽を楽しむ。それが学びを深めていくきっかけになり、そこで得た感動体験が音楽のみならず、他教科の学びと繋がっていく。音楽の力は無限大です」という言葉は、「教育×デジタル」を考えるのに大きな影響を与えてくれています。
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 1つのやり方でなくて、もっともっと自由な学び方や楽しみ方、創造の仕方、生き方、それらの選択肢を広げるために、デジタルはもっと使えそうだ、と思いました。

(為田)

福生市立福生第七小学校 公開EdTech研修会 イベントレポート No.2(2019年8月2日)

 2019年8月2日に、福生市福生第七小学校で公開EdTech研修会が開催されました。福生第七小学校では、2019年度の校内研究主題を「EdTech(教育×IT)を活用して、21世紀を生き抜く確かな学力を育む」として、研究授業を重ねてきています。

 会場の体育館の前方と後方にスクリーンを設置し、2ヶ所で模擬授業が同時にスタートするようにしました。

模擬授業:国語(低学年) 情報活用能力 w/カメラアプリ

 為田が担当した、国語(低学年)の模擬授業では、一人1台のiPadを使って、「この近くを探検して、夏を見つけてみましょう」というテーマを設定しました。iPadのカメラを使って、静止画や動画を撮影してきてもらうのですが、実際に撮影に行ってもらう前に、「写真」「動画」「絵・文章」「実物」の4つの方法を紹介し、それぞれにどういう長所があるかをみんなで話し合いました。ここで紹介した4つの方法が、情報を伝えるメディアとなります。「どのメディアを使う」と「どんなことが伝わりやすいのか」を考えてもらうことで、情報活用能力を育むという意図で模擬授業を設計しました。こうして、メディアの違いを意識した上で、実際に体育館の外へ飛び出して、夏を探してきてもらいました。
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 外へ出て撮影してきてもらったものを、近くの人たちと見せ合って、説明をしていきます。満開のひまわりや、麦わら帽子、子どもたちが持って帰らなかった朝顔の鉢など、さまざまな写真が撮影されていました。
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 こうして、「自分はこういうのを見つけてきたよ」というのを紹介し合う、という活動は、子どもたちがやってもとても楽しいものです。参加者の皆さんが、模擬授業の趣旨を理解し、積極的に参加してくれました。
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 その後で、何人かの人にみんなの前で発表をしてもらいました。写真もありましたが、その他には「やはり実物がいいと思う」と、バッタを捕まえてきた人もいました。こうした発想は子どもにありそうですし、とてもよかったと思います。iPadがあるからといって、実物に触れてはいけないということでは当然ありません。
 また、個人的にとてもいいな、と思ったのは、水飲み場でバシャバシャと水を頭にかけるところを撮影した動画でした。これも、写真では伝わらない臨場感がありました。こうして、「この方が伝わるんじゃないか」と考えるためには、メディアを複数選べるようにして子どもたちに触ってもらうのがいいと思います。
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 また、一人の参加者の方が、かき氷の写真を紹介していたので、「どこにあったんですか?」と訊くと、「検索しました」とのことでした。こうしてリアルな世界にないものを、検索して教室に持ち込むこともできます。こういうときに、どういう返しをするのか、ということも、先生方には必要になってくる、と思いました。
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 No.3に続きます。
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(為田)

授業で使えるかも?:どう打ってもカップに入るゴルフボールは、日産の自動運転技術で実現

 テレビのワイドショーでやっていた、どんなパットを打っても必ず入るゴルフボール。4歳の少年がバンバン、パットを決めていく映像が映っていて、「どんな仕組みなのだろう?」と思っていたのですが、日産自動車が「プロパイロット2.0」の技術を、わかりやすく伝えるために作ったものだそうです。動画がありますので、ぜひ見てみるといいと思います。
www.youtube.com

 実際にボールがぐぐぐっと曲がるところとかがおもしろいです。
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 カーナビゲーションのシステムを使っていて、パットした場所をスタート地点として、カップをゴール地点とし、位置を測定しながら動かしているのでした。
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 調べてみると、CNET Japanでも記事が掲載されていました。この記事中にある言葉がとてもいいと思いました。

エンタメ性の高い動画の中に、自動運転を感じてもらうことで、正しい知識を広め、安全な自動運転で事故のないカーライフを楽しんでもらいたい(日産自動車 日本マーケティング本部ブランド&メディア戦略部の松村眞依子氏)


日産がゴルフボールに込めた安全への思い--自動運転技術をエンタメ動画でわかりやすく - CNET Japan

japan.cnet.com

 日産自動車のこのシリーズの動画には、座っていると勝手に行列が進んでいく「プロパイロットチェア」や、自動駐車技術を搭載したスリッパの動画などもあります。
youtu.be

youtu.be

 テクノロジーを身近に感じるためにもいいと思いますし、IoTやプログラミング教育などの入り口としても使える動画ではないかな、と思いました。

(為田)

福生市立福生第七小学校 公開EdTech研修会 イベントレポート No.1(2019年8月2日)

 2019年8月2日に、福生市福生第七小学校で公開EdTech研修会が開催されました。福生第七小学校では、2019年度の校内研究主題を「EdTech(教育×IT)を活用して、21世紀を生き抜く確かな学力を育む」として、研究授業を重ねてきています。
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 今回の公開EdTech研修会では、校内の先生方だけでなく、市内他校の先生方、福生市ならびに近隣自治体の教育委員会の方々、保護者の方々、地域の方々にも参加してもらう意図で開催されました。参加者は73名。その内訳としては、教員35名(うち、福生第七小学校が17名)、教育委員会16名、保護者の方 7名、地域の方 6名、企業 9名でした。福生第七小学校はコミュニティ・スクールなので、地域の方に来ていただくというのも意識をしていました。
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 参加者には、受付のところで一人1台のiPadを配布しました。ここで借りたiPadを、公開EdTech研修会の最後まで、自分のiPadとして持ち歩き、模擬授業と基調講演のなかで使ってもらいました。こうしてiPadを自分の道具として使ってもらう体験も、公開EdTech研修会の一部として設計されました。

オープニング

 オープニングでは、福生第七小学校の佐藤正明校長先生が、スペシャルゲストのPepperと一緒にプレゼンテーションを行いました。Pepperは、音声によるトリガーによって佐藤校長先生と会話するようにプログラムされていました。また、会場に来ていた川越孝洋 福生市教育長とも会話をしました。
 こうして、実際にPepperを見てもらい、どんな会話だったらできるのか、どんな動きをしているのか、知ってもらうのはとても大切なことだと思います。デモンストレーション後に、Pepperにどんなプログラムが準備されていたのか、と種明かしをするワークショップがあってもいいかもしれないと思いました。
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 今回の公開EdTech研修会は、コードタクト、みんなのコード、ソフトバンク凸版印刷など、さまざまな立場で教育の情報化に関わっている企業が協力をしていました。弊社フューチャーインスティテュートとしても、これまで校内研修会などをサポートしてきましたが、今回は、全体の司会進行と6つある模擬授業のうちの4つを、為田と佐藤で担当しました。模擬授業のラインナップは以下のとおりです。

  • 算数(中学年)
    • アダプティブラーニング w/やるKey
    • 授業者 佐藤靖泰(フューチャーインスティテュート株式会社)
  • 国語(低学年)
    • 情報活用能力 w/カメラアプリ
    • 授業者 為田裕行(フューチャーインスティテュート株式会社)
  • 算数(高学年)
  • 社会(中学年)
    • 協働学習・アクティブラーニング w/schoolTakt
  • 総合的な学習の時間(高学年)
    • プログラミング w/ドローン
    • 授業者 佐藤靖泰(フューチャーインスティテュート株式会社)
  • 英語(高学年)
    • コミュニケーション w/Clips
    • 授業者 為田裕行(フューチャーインスティテュート株式会社)

 今後、それぞれの模擬授業の様子について、レポートしていきたいと思います。

 No.2に続きます。
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(為田)

近未来の学校教育体験セミナー「アダプティブ・ラーニングは算数/数学の教え方をどう変えるのか?」 イベントレポート No.7 (2019年8月24日)

 2019年8月24日に、仙台のNTTドコモ東北支社にて、近未来の学校教育体験セミナー「アダプティブ・ラーニングは算数/数学の教え方をどう変えるのか?」を開催しました。レポートのまとめに、参加者アンケートから主なものを紹介したいと思います。
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 参加者15名から回答をいただきました。

 まずは「イベントについて満足いただけたかどうか」についてですが、「満足している」「まあ満足している」との回答でした。
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 「今日得られた情報が、役に立ちそうだと思うか」についても、「役に立ちそう」と「まあ役に立ちそう」で93.3%となりました。
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 アダプティブ・ラーニングの3つのサービス、やるKeyとQubenaとLibryを対バン形式で体験してもらった今回のイベントで、興味があったものを教えてもらいました。リフレクションで活用したスクールタクトも含めて、いずれのサービスも興味を持ってもらえたようです。
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◆ ◆ ◆

 「イベントに参加して、良かったと思うことを教えてください」という設問に対しての回答です。複数のサービスを比較しながら体験できたことを評価してくれている人が多かったようです。

  • 新しい繋がりを持てた。日頃の悩みを共有できた。
  • 深い話、職場ではあまりしないようなディープな部分を聞けたことです。これぐらい様々に意識を持っている人が職場に多くなればなぁと思います。
  • Libryに初めて触ることができたのがありがたかった
  • 実際に体験することができたので、教室で使うなら…とイメージできたこと。
  • いろいろな立場の方がいらっしゃったので、それぞれの考えをリフレクションで知ることが出来たこと。
  • 最先端のシステムを体験し,理解することができました。
  • 実際にアプリを使ってみて,授業デザインを具体的に想像できたことです。
  • オンライン学習に興味がありいろいろ調べていたが、同時に比較することができたので大変参考になりました。
  • アダプティブラーニングの比較ができて良かった。
  • 3つのアプリを比較検討できたこと。担当の方のお話を直接聞けたこと。
  • アダプティブラーニングを実現するソフトを、実際に動かすことが出来たことと、三つのアプリの違いを感じ考えたことです。
  • これまでの授業観を考え直すきっかけになりました。授業時間をより効率的に使い、個々の能力に応じた学習支援の方法についての示唆を得ることができました。
  • アダプティブ教材の比較ができたこと。同じ単元で問題の質やレコメンドの動きがどう違うか検証できるとさらに面白いけどそういう訳にはいかないかな・・・
  • 実際に体験して、どんな問題につながるのか知ることができました。また、新たな繋がりもできました。


 最後に、登壇者、主催者へのコメントを自由に書いてもらった欄も、抜粋して紹介します。今後のためのフィードバックとさせていただきます。

  • 準備から後片付けまでありがとうございます。イベント内容を活かせるように働きかけていきたいと思います。
  • 様々な教材に触れることができて良かったです。
    その反面で実はもう1点、気になった点があります。たとえば高校の場合はLibryのようなものが主体になるかなぁと思っています。しかし、それぞれの教材に紐付けられているアプリが教材メーカーごとに異なり「英語はこの教材だからアプリA」「数学はこの教材だからアプリB」などとなっていくとかなり煩雑な気がします。だからといってアプリに合わせて教材を調整するのもそれはどうかと・・・(教材に紐付ける教科書の選定になりますし、そんな理由では教科書採択が通るとも思えませんし)。また、教材によっては解説動画があるものも存在するので教材の好みも分かれそうです。
    長くなってしまいましたが、できればiPadを使用させる側としてはアプリをできるだけ一元化させたい。アプリ開発側間の教材共有などの相互協力はできないものかと、昨日帰路につきながら思っていたところです。
  • 誤答をより細かくパターン分けできるようになると嬉しい。(単位漏れのケアレスミスに対応したコンテンツを出すなど)
  • これからの教育にデジタルは欠かせないものであると思います!教員も自分から積極的に学んでいく必要があると思うので、体験できる場をたくさん設けていただきたいです。
  • これからも有益な情報をお願いします。
  • 次回は,実際の授業の様子や子どもたちのアンケート結果や感想を教えていただき,メリット・デメリットを検討しながら,いいものに変えていけると良いと思います。
  • これからも、その他の教材の紹介をお願いいたします。
  • 貴重な機会を設けていただいてありがとうございました。
  • メーカーの方のお話、長いです。要点を押さえてズバリ伝えてほしい。
  • 説明が丁寧で分かりやすかったです。実際に体験することを通して、現場での扱いについても具体化して説明していただけました。ありがとうございます。

今後への繋がりもできました

 「参加者同士で新しい繋がりもできた」という方もいらっしゃって、事務局としては大変うれしいです。近未来の学校教育体験セミナーは、Facebookページで発信をしていますので、今後のイベント情報などを知るために、ぜひFacebookページを「いいね」してチェックしていただければと思います。
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近未来の学校教育体験セミナー事務局 - ホーム | Facebook

(為田)

近未来の学校教育体験セミナー「アダプティブ・ラーニングは算数/数学の教え方をどう変えるのか?」 イベントレポート No.6 (2019年8月24日)

 2019年8月24日に、仙台のNTTドコモ東北支社にて、近未来の学校教育体験セミナー「アダプティブ・ラーニングは算数/数学の教え方をどう変えるのか?」を開催しました。アダプティブ・ラーニングの3サービスを順に体験してもらった後で、リフレクションの時間をとりました。「アダプティブ・ラーニングに感じた可能性」と「アダプティブ・ラーニングで気になったこと」の2つのテーマを設定して、参加者にスクールタクトにログインしてもらい、それぞれのテーマで書いてもらいました。
 今回は、テーマ「アダプティブ・ラーニングで気になったこと」をレポートします。
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 参加者の皆さんにたくさんのコメントを書いてもらったのですが、すべてのコメントについて会場で取り上げることができなかったので、ここではより多くのコメントを紹介していきたいと思います。

導入の問題

 まず、気になることとして多く挙がっていたのは、導入の問題です。予算の問題、環境の問題、機器整備の問題などについてコメントが多くされていました。

  • 学校で取り組むのには、予算的な問題が大きい、、、
  • バイスの準備状況によっての地域間格差
  • 導入コスト。BYODに頼らざるを得ない現状。オフラインでもOK?
  • LTE端末でない場合、家庭環境に依存する。今ある校内ネット環境だと、開くまで時間がかかりそう。
  • パソコン、タブレットスマホ、どれも全員が持っている、という前提か。
  • 教科書会社の違いとコスト
  • 一人1台の環境が前提なので、現時点で本校の環境では十分な活用ができないが、担当学級あるいは、学年で単元のまとめなどで使ってみたい。
  • 予算確保
  • どの環境下で行うのか。自宅学習として行う場合に「月末にパケ死によって勉強できない」などということは起こらないか。自宅学習を行う環境を各家庭に委ねることで格差が生じれば本末転倒。

どうやって学ぶのかという問題

 どのように授業のなかに取り入れるのかということについても、多くコメントされていました。やるKeyも、Qubenaも、Libryもいずれも教材であると僕は思っています。その教材をどう使うか、ということを考えるときに、授業中なのか授業外なのか、先生はどういった形で関わるのか、そうしたことを考える必要があると思います。

  • 授業にどのような形で取り入れるのかは工夫が必要
  • 学力の変容(統計的に)
  • これらのアプリで、それまでの「わからない」が、わかるようになる子と、それでもわからない子がでる。
  • 到達ベースへ繋げられるか。
  • 小学生だったら、算数が好きな子どもはガンガン進むんだろうな。問題演習という感じだったらいいかも。
  • 高校生の少し高度な問題だと、(Libryの)写真撮影で提出はありだと思う。ノートで複数ページだと写真が多くなるってことですか?
  • 今回の体験では基礎の問題を扱いましたが、文章題など少し応用の問題には対応できるのでしょうか?
  • 設定の仕方によるのだと思いますが、ノルマが設定されていて(単線型)、それをこなす形になってしまうと、負担感が生じるでしょう。また、補充だけでなく、発展問題の種類をいくつか用意しておくと、そうしたこともなくなるかと。ゴールがいくつもある設定だといいと思います。

先生の問題

 アダプティブ・ラーニングで個別最適化された学びが実現されるとき、先生の役割も変わっていきます。どのように変わるのかを考えるために、それぞれのサービスに触れてみて、その仕組みを知り、授業設計やカリキュラム・マネジメントをすることが必要になるでしょう。

  • テクノロジーを活用した授業を苦手とする教員への対応
  • 生徒の思考活動把握をAIに依存しすぎると、若手教員の授業力が向上しない。
  • 「これを使っていつまでもドリルをさせておけば、子どもたちの基礎学力が向上する」と思い込んでしまう教員は出ないか?
  • 一斉授業を否定することが拡大しないか?
  • ドリル学習がメインになると、数学教育の本質が失われてしまう(生徒がICTに依存しすぎる可能性があるので、教員の適切な指導が必要になる)
  • 教員の役割が変化していく。teachingだけでなく、coachingの役割が大切になる。どんなに技術が進歩しても生徒の学びへのモチベーションを与える教員の役割は必要。
  • 活用のしかたには配慮と工夫が必要。知識・技能と思考・表現を別なものとして完全に切り離すのはキケン。
  • 思考のプロセス(手続きではなく)を解析できるような日はくるか…。
  • 各会社によって、アダプティブの仕組みが異なること。最近は、業者さんの説明で「AIで」と簡単に言ってしまう傾向が多いような気がします。しかし、「なぜその復習問題が提案されたのか」をある程度教師が説明できないと、生徒の信頼を失いかねない。その意味で、本日の各業者さんの説明は非常にありがたいと感じました。

要望など

 その他、要望などを書かれている方もいましたので、紹介します。

  • 最初はやはり先生からの働きかけによって学習が始まるのだと思うが、いずれはシステムにログインした時点で、生徒におすすめが表示されて、生徒が自分の目標に受かって学習していけるようなシステムになってほしい。
  • モチベーションをどう保つかが学習を継続するカギだと思うのですが、3社とももう一つ楽しくない…Libryはノートの表紙を生徒の好きなデザインにできるとか、遊びの要素も入れるとよいのでは?
  • 同じ間違いでも、無答・単位モレ・押し間違いが疑われるものが区別されて、異なる誘導が行われるとより指導に活かせそう。
  • 小学生なら、キャラがほしい。反対にキャラが気になる子もいるが。

質疑応答で取り上げたものの一部を紹介

 会場で、やるKeyの一ノ宮さん、Qubenaの穐谷さん、Libryの橋口さんも交えて、質問してみたものもありますので紹介します。

  • 計算問題をphotomath等のアプリで解き、スクリーンショットでその答えを送信するなどの意味のない問題が生じないか?

 こういう「チート行為」は、別にデジタルだから起こることではないと思っています。photomathを使って答えを書き写しても、結果的に数学ができるようになるわけではありません。結局、教材としてアダプティブ・ラーニングをどう使い、授業として何をもって評価するかという話だと思っています。

  • すべて手書き入力できる教材と一部のものがあるが、これは技術的な問題なのか、両方の形が必要なのか、みなさんの意見を聞きたい。

 手書きがいいのか、選択式がいいのか、というのは技術的な問題もまだ大きく存在していると思います。ただ、ここではLibryのCEO後藤さんが以前におっしゃっていた、「高校数学くらいになると、回答も複雑になり、それを適切にレコメンドするために問題形式を変えたりしなければならない。そうなると、回答形式のために問題の質を落とすことになり、そもそも本末転倒だ」という言葉を、僕から紹介させてもらいました。
 適切なレコメンドを出すために回答方式を工夫しているだけでなく、学びの活動が今とまったく違うものになりすぎないように工夫している部分もあります。このバランスを考えるためにも、「どうやってアダプティブな出題を実現しているのか」について知ってほしいと思っています。

  • レコメンドがどのくらい実際機能しているのか?(裏でどんな判断をアプリがして、どう出してきているのかを可視化できるモードがあるとわかりやすい)
  • レコメンドに子どもはどのくらい従ってるの?(ログから「無視した率」とかわかるとおもしろい)
  • 間違いを怖がる子どもへの対応(自宅でタブレットのドリルをやらせているが、「間違いたくない」気持ちが強いようで)

 この、「間違えたくない」という気持ちは、多くの学習者が持っている用に思います。1問でも間違えたらやり直したりする児童生徒もよく見かけます。ですが、アダプティブ・ラーニングの教材は、たくさん間違えてこそ、適切な問題が出題されるようになります。であれば、「間違えることは、習熟するための正しいプロセスだ」ということを、先生が授業の雰囲気として作ることが必要だと思います。授業の文化を作ることは、システムではできず、先生がいてこそ実現することだと僕は思っています。

まとめ

 最後に、コメントのなかに応援メッセージがあったので、紹介したいと思います。

  • 気になったことではなく、開発に対してのお礼の気持ち…従来、我々教員が行っていた、問題プロセスの分析、それの授業への組み込み、問題集としてのまとめ等を、一つのアプリとしてまとめてくださったこと。すごいです。これが、社会の認知を得られることを願うし、普及の一助を担いたいです。

 こうして、アダプティブ・ラーニングの教材を、今までの伝統的な学校教育の側に位置づけて話をしてくださっているのが大変うれしいです。算数/数学の授業をより良くするための武器として、アダプティブ・ラーニングの教材が役立つように、業界として切磋琢磨していければいいと思っています。

 No.7に続きます。
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(為田)