教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

書籍ご紹介:『人口減少社会の教育』

 荻原彰『人口減少社会の教育 日本が上手に縮んでいくために』を読みました。2019年には、いろいろな都市へ行く機会があり、現地を歩いて先生方と話をしました。そうすると、東京とは全然違う風景が見えたりします。「人口が減る」というのは、東京よりもずっと地域の風景を見る方がずっと実感が湧きます。「人口が減る」ということは、経済にも社会にも大きなインパクトがあることなので、そこについて学びたいと思い、ひさしぶりにひとり読書会をしました。その中から、ちょっとしたメモを残したいと思います。

人口減少社会の教育 日本が上手に縮んでいくために

人口減少社会の教育 日本が上手に縮んでいくために

  • 作者:荻原 彰
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/06/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
人口減少社会の教育

人口減少社会の教育

第1章「地域の危機」

 第1章で最初に言われているのは、「国立社会保障・人口問題研究所は、2060年には、日本の人口は2015年の3分の2になると予想している。(略)地方で人口が減少する原因は自然減に加え、社会移動、つまり都市、とりわけ東京をはじめとする大都市への人口移動である」(p.14)ということです。

 この状況を、地域はずっと抱えているのだと思います。かつては、地域には工場などが建ち、雇用もあったりもしたと思いますが、工場などはより人件費の安い国へ流れていきますし、政府の財政の様子からも、地域への投資も減ってきている状況が書かれています。

 現状で「このままではまずい」という認識があるならば、いまからいろいろと仕掛けていかなくてはならないのですが、そこを中央政府に任せず、地方が自分たちでやるべきだ、というのが荻原先生の方向性です。そのなかで、学校を「地域の課題解決の拠点」として位置づける、というのが特徴的だと感じます。

第2章「人口減少社会における地域の内発的発展とそれを支える環境」

 人口減少社会においては、地域は中央政府からある程度の距離をとって、自分たちで内発的に発展するようにデザインをしなければならない、と荻原先生は書きます。

 地域の内発的発展のカギ概念として、地域経済循環、社会的共通資本、多元的公正、エコミニマム、オルタナティブ・テクノロジーの5つが挙げられます。(p.35-36)

  1. 地域経済循環
    「解体が進んできた地域内産業連関の再構築である。地域のニーズをできるだけ地域内の産業により充足し、地域外への資金の漏れを防ぐということ」(p.37-38)
  2. 社会的共通資本
    自然環境、道路等のインフラ、教育や医療といった制度資本など、市場による適切な供給が期待できないものを公費により、すべての人々に利用できるようにする。が、市場論理により支出減少→これに対抗する別の論理が3.多元的公正と4.エコミニマム(p.45-48)
  3. 多元的公正
    経済的利益と損失のみに注目する公正論ではなく、自然(生態系)や文化も視野に入れたいわば多元的な公正を考える必要がある。(略)公正にはさまざまな次元があること、経済的公正はその一つでしかないことを認めるべき」(p.52)
  4. エコミニマム
    「医療、教育、子育て、交通といった生活の諸機能が近距離に集積され、手の届く範囲にあって、コンパクトに生活ができること、そしてそれらの機能を市民がコミュニティ全体を見通しながら共同の力で管理できる」(p.59)よう、制度・政策、生活様式を再設計する。
  5. オルタナティブ・テクノロジー
    「政治的・環境的基準を基礎とした別の形態のテクノロジー」(p.63)→原発が例として出されている。

 地域の内発的発展に関わる5つのカギ概念については、理解はできるけれど、これをすべての地域ができるかというと、容易ではないように感じます。5つのカギ概念のなかから、特にエコミニマムのところについて、教育の役割を荻原先生は評価しているようでした。

 「人口が減少してきている」ということが自分たちの生活にどのような影響を与えるかを理解し、地域内の内発的発展とはどういうことなのかということを理解し、そのうえで自分の育った地域にコミットする人材を育てていくことは、ひとつの方針となると思います。

第3章「内発的発展を支える教育」

 これまで、学校教育は中央へ優秀な人材を送り込む役割を果たしてきました。

学校教育は国家を支えるシステムとして構築され、優秀な人材を選抜して中央へ送り込む機能を果たしてきた。地域の担い手を育てることを目的とした教育は、中等職業教育で一定程度目的とされたものの、エリート養成を担う学問的中等教育と高等教育では学問を通して普遍的な知識を獲得することが価値あることとされ、地域はむしろ普遍への飛翔を妨げる桎梏として意識された。(p.114)

 学校教育=公教育が、国家を支えるシステムとして構築されているのはたしかです。そして、そうした役割はかつてと変わらず、今でも一定の重要性があると思う。ただ、それがあまりに唯一になってしまっている感じはあるかもしれません。国家を担う人材になるのも選択肢の一つであり、それと同様に地域を支える人材になるのも選択肢の一つとなることが望ましいと思います。

 地域の課題解決をプロジェクトとして目指すという活動は、学校にも入ってきています。いまも、経済産業省「未来の教室」実証事業のなかにも、こうしたプロジェクトはあります。ただ、こうしたプロジェクト型学習には、批判もずっと昔から変わらずあります。

第二次大戦直後、進歩主義教育の理念の下、児童生徒が地域の産業の実態を調べて振興計画を立てるなど地域課題を解決して新しい地域をつくろうとする取り組みがいろいろな地域で行われた。しかし、それと共にこのような取り組みへの批判も高まっていく。
代表的な批判は地域課題のような複雑で容易に探究できないものに児童生徒が取り組むのは困難であり、自然や社会について系統的に学習を積み重ねることによってはじめて社会の課題を解決できる、その学習なしに地域課題に取り組んでも浅い理解に終わり、単に地域をはい回っているだけに過ぎなくなるという「はい回る経験主義」批判であろう。(p.139)

 このあたりは、経済産業省「未来の教室」実証事業や、EdTechなどとの関連が見られる部分だと思いました。

第4章は「広がる役割とそれを支える教育の在り方」

 第4章の最初では、現在の日本社会での「貧困」について湯浅誠さんを引用しながら書かれています。

現代の貧困は単に経済的に貧しいということではない。湯浅のいう「人間関係の溜め」、つまりは人との結びつき(社会関係資本)が乏しく、孤立してしまう人が多い。経済的貧困と関係性の貧困の二重苦が現代の貧困の特徴である。二つの溜めがないために、わずかな変動でたちまち生活に窮してしまう。たとえ金銭の溜めがある人であっても何かのきっかけでそれを失えば、助けてくれる人もなく、たちまち転がり落ちていく。いわゆる「滑り台社会」(湯浅誠)である。
比較的上層の人々も含め、多くの人々が転がり落ちる不安に苛まれ、転がり落ちないために自己利益の追求に専心せざるを得なくなり、さらに人とのつながりが弱くなるという悪循環が生じることになる。(p.207)

 そのなかで、学校を地域を地域のなかに位置づけ直すということもされてきています。そのひとつとして、学校支援地域本部についての言及がされていました。

 仙台市大阪市などでの地域を巻き込んだ教育の事例が紹介されていました。そのなかのひとつ、仙台市七北田小学校は児童数700名弱の学校で、サイトを見てみると、小学校とPTAとの共同宣言が出ていたりもするようです。「地域共生科」についても、2016年の資料を見つけられました。低学年で年間50時間、3年生~6年生は年間70時間を設定している。これだけの時間をとらないとプロジェクトとしては回らないし、教科学習との結びつきも感じられないだろうな、と感じます。

コミュニティ・スクールと地域づくり:その光と影―仙台市立七北田小学校「地域共生科」の実践紹介―sakanolab.wordpress.com

 ただ地域と結びつければいいわけではなく、そこでは校長先生のリーダーシップが求められるだろうと思いますし、校長先生が思い切ったリーダーシップを発揮するためには、教育委員会側もそれを後押しする体制が必要だと思います。ただ、人口が減少してきているのがすでに事実で、何もせずに地域の人口減少に歯止めがかかるということはほぼないと思いますので、「やるしかない」のが実情だと思います。こうした取り組みについてもレポートしていきたいなと感じました。

第5章「内発的発展のための教育を支えるための仕組み」

 校長先生と教育委員会だけでなく、先生方にとっても、こうしたプロジェクトに取り組むことためには新しいスキルが求められると思います。

 地域の内発的発展のために、学校がどういうことができるのかを、先生方には考えていただければと思います。「目の前にいる子どもたちに最高の授業を」というのは先生方が大切にしていることだとは思います。Society5.0に対応する教育とかも大切だと思います。でも、「人口が減っていく」という大前提も考えて地域と学校の関わりを考える、というのも必要になると思います。
 個人的にも、人口がどんどん減ってきている自治体で研修をすることもありますので、「人口が減っていって、学校ってどうなるの?それによって地域ってどうなるの?」という問題は考えるような研修も作ってみたいと思いました。教育の情報化が進んで、ICTを活用できるようになれば、わざわざ東京などの都市圏へ出ていかずに、地域にいながらにして世界を相手にしたビジネスや活動を行うことも可能になってくると思います。そうした状況のなかで、子どもたちにどんな力を身につけてほしいのか、考えていかなければいけない時期にきていると感じます。

◆ ◆ ◆

 学校で地域の内発的発展にコミットする人を育てるのは、時間がかかります。すぐにできることではありません。少なくとも、まだもうしばらく、学校が地域からなくなっていく、という時期は続いていきます。

 ここで、現実的な解として出ている「学校を単体として完結させるのではなく、ネットワークとして学校を再編する」というのも、ICTを活用することによって可能になりつつあります。こうした部分にこそ、テクノロジーを活用すべきだと思います。このあたりは、以前に紹介したC.M.ライゲルース・J.R.カノップ『情報時代の学校をデザインする 学習者中心の教育に変える6つのアイデア』のなかの、第2章「情報時代の教育ビジョン」にある6つのコア・アイデアのなかの6つめ「組織構造とインセンティブ」のところで書かれています。こちらも合わせて参照していただければと思います。
blog.ict-in-education.jp

 地域の教育委員会や先生方とお会いすることが多いからこそ、「地域はどうあるべきか」、「教育/学校は、地域のために何ができるか」ということを考えていきたいと思いますし、地域での教育/学校の様子をどんどん発信していきたいと思っています。

(為田)

教材として使えるかも?:西武・そごうの「さ、ひっくり返そう。」広告

 2020年1月1日の日本経済新聞で西武・そごうの新聞広告を見ました。幕内最小の力士である炎鵬が、「さ、ひっくり返そう」という文字と一緒に掲載されている広告です。
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 上から下へ順に文章を読んでいくと、土俵際へ追い詰められていくときの心情が展開していきます。最後まで読み終わると、注意書きとして「ここまで読んでくださったあなたへ。文章を下から上へ、一行ずつ読んでみてください。逆転劇が始まります。」と書かれています。
 一行ずつ、下から上へ読み進めていくと、ついさっきまで読んでいた文章がぜんぜん違う形になって頭に入ってきます。このひっくり返り方が非常におもしろいと感じました。

 文章表現のおもしろさを感じる教材として使えるかもしれないと思いました。同じようにひっくり返る表現を作るにはどうすればいいのか、構造を考えてみるのもおもしろいかもしれないです。
 また、企業広告としてこうした表現は適しているのか、というディスカッションにも使える教材になりそうです。実際にSNS上でも、広告業界の人たちがそうしたディスカッションをしていました。「これで売上が上がるのか?」「企業の姿勢を伝えることができている」というふうな論点が設定できるかと思います。

 サイトに行ってみると、そこには炎鵬が出演している動画もありました。動画で見るとまた少し違った感覚を持つようにも思います。文字と動画の違いというのも感じられるかもしれません。
www.sogo-seibu.jp

www.youtube.com

関西大学初等部 授業レポート まとめ(2019年11月11日)

 2019年11月11日に、関西大学初等部を訪問し、授業を見学させていただきました。関西大学初等部は、一人1台のiPadを活用している学校で、Appleのビジョンを実践している教育機関として認定されている、Apple Distinguished Schoolです。
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 堀力斗 先生が担当されている、1年生の国語の授業とプログラミングの授業をレポートしました。
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 また、Macがずらりと並んだ職員室の様子、そのことによる便利なことについてもれぽーとしました。
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(為田)

2020年の行動指針「Help Schools/Education Become Future Ready」

 2020年となりました。「ずっと先だ」と思っていたのに、あっという間にやってきた2020年。今年もどうぞよろしくお願いいたします。年末年始の間に、ゆっくり休み、インプットする時間をとりつつ、これからのことなどを考えています。
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2019年のレビュー

 まずは昨年2019年のレビューです。行動目標をエントリーとして書いてあったので、それをもとにふりかえっていこうかな、と思います。
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  1. 授業をもっと見に行く→月に2件、授業レポートを出す
    • ほぼほぼできていたかな、と思っています。授業を見せていただいて、それをアウトプットするのにまだ時間がかかりすぎているので、そこは改善しないといけません。自分たちの強みである「授業者目線」というのは持ち続けることができているのではないかと思っています。
  2. 月に2件の授業見学→レポートは引き続きやりたいと思います。
    • 月に2件の授業見学は、ちょっと届かなかったかな、というくらいかと思います。4月から週に1日、小学校で自分が授業を担当するようになったので、どうしても時間がちょっと足りなくなっている、という事情もありますが。代わりに東北地方を中心に、自分だけではとうてい行けなかった学校に行く機会もできました。為田@東京、佐藤@仙台のフルリモートワークは、おもしろいことになってきていると思っています。
  3. コミュニティを作る
    • 「自分で緩やかなコミュニティを作る」ということについては、全然満足いく結果が出せなかったです。自律的な、自走的なコミュニティを作ることの難しさよ…。忙しい先生方に参加してもらえるコミュニティ作りは、学校というコミュニティをどうFuture Readyにするかということにも繋がりそうな気がしているので、引き続き試行錯誤していきたいと思っています。

 こうしたことが結実した部分もあり、会社としての方向は定まってきていると思った2019年でした。このブログのエントリーにもそうしたところは少し現れているかもしれないと思い、昨年末にまとめておきました。
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2020年の行動指針・行動目標

 「Help Schools/Education Become Future Ready」=「学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをする」を、弊社フューチャーインスティテュートの2020年の行動指針にします。
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 この行動指針は基本的には、2018年から掲げている「学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをする」を引き継ぐものです。自分たちらしくて、気に入っているのです。
 ただ、ひとつだけ変えたのは、英語表記「Help Schools/Education Become Future Ready」と合わせて出していくことです。どちらかと言えば、英語を第一としたいくらいです。英語で最初に来る「Help=お手伝いする」というところが、自分たちらしくて大事だと思っています。営業トークの表現に聞こえがちな「お手伝いする」ではなくて、主体を学校側において活動したいという気持ちをよく表していると思っています。

 そのうえで、どんな活動をしたいか、ということをまとめてみました。

  1. 授業(授業者+学習者)を価値の中心に置く
    • できるかぎり、さまざまな学校を訪問し、授業中心の知見を持ち続ける。
    • 自分たちでどんどんカリキュラムを書き、教室で教えてみて/教えてもらってみて、アップデートしていく。
    • このブログの強みは、授業/学校の様子をできるだけ、授業者目線で執筆されるエントリー。授業(授業者+学習者)中心の授業レポートを月に2件以上、継続的に出す。
    • 「うちの授業見に来てください!」「この先生、おもしろいです」というメール・DM・コメントは大歓迎。
  2. 学校/先生の側に立って、先生方を学校外の何かと繋ぐ
    • 学校/先生と学校外の何か(カリキュラム、EdTech、ゲストティーチャーなど)を、学校/先生の側に立って繋ぐ。
    • 学校/先生の側に立って、忙しい学校/先生のために、情報を整理したり言い換えたりする、通訳者になることを目指す。
  3. コミュニティを作る
    • 忙しい先生方に参加してもらえる、自律的・自走的なコミュニティ作りを目指す。

まとめ

 「Help Schools/Education Become Future Ready」=「学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをする」という指針のもと、2020年も頑張っていきたいと思っています。少しでも、日本の教育に貢献することができればと思っています。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

(為田)

2019年ふりかえり

 いよいよ2019年も終わりということで、ふりかえりをしたいと思います。2019年の教育ICTリサーチブログは、このエントリーで375本目です。だいたい1日1本のエントリーを書くことができました。個人的に印象に残ったエントリーを3つふりかえりたいと思います。

東京大学大学院情報学環長・教授の越塚登 先生が教えてくれた「なぜコンピューテーショナルシンキングを学ばなければならないか?」

 2019年10月27日に開催された、東京大学本郷キャンパス ダイワユビキタス学術研究館で、アジア規模でプログラミング教育のビジョンを考えるカンファレンス「Computer Science World in Asia 2019」。そこで聴いた、東京大学大学院情報学環長・教授の越塚登 先生による基調講演「What to Learn from Computer Science 計算機科学から学ぶこと」が本当に素晴らしかったです。
 越塚先生の基調講演では、「なぜコンピューテーショナルシンキングを学ばなければならないか?」を明確に5つの理由として挙げているものでした。これを聴くと、コーディングって必要じゃないか、と思うのです。自分自身の考え方を大きく変えてくれた講演でした。
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「フューチャーインスティテュート、 NTTドコモ東北支社の教育分野での活動を支援」とプレスリリース

 2019年7月4日に、弊社フューチャーインスティテュートより、プレスリリースを配信しました。NTTドコモ東北支社が行っている教育分野での活動を、授業づくりや授業サポートなどの面で支援するための契約を結びました。
 夏には、東北各県でのドコモ教育ICTセミナーに講師として伺い、さまざまな先生方とお話をさせていただきました。学校を訪問させていただいたこともあり、現場の様子を多く見ることができたことは、自分たちの大きな財産となっていると思います。
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「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月)が出ました

 2019年12月19日に文部科学省は「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月)を公開しました。膨大な量なので、それをまとめて読めるものを…ということで公開したものです。たくさんの方に読んでもらい、SNSでシェアをしていただきました。
 2020年以降、教育の情報化は一人1台に向けて進んでいきます。教育の情報化は、自分たちの活動の中心にある「Help Schools Become Future Ready / 学校が“Future Readyになる”のを手伝う」「Help Education Become Future Ready / 教育が“Future Readyになる” のを手伝う」に繋がることです。2020年は、ここに向けて、活動を続けていきたいと思っています。
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2019年、ありがとうございました。2020年もよろしくお願いします。

 他にもさまざまな研修、イベント、ワークショップなどを行いました。出会うことができた先生方、子どもたち、保護者の皆様、思い出すことはたくさんあります。また、教育/学校をアップデートするために活動をしている多くの仲間たちを見つけることもできました。本当にありがとうございました。
 2020年も、どうぞよろしくお願いいたします。

(為田)

Spotifyが2019年をまとめて可視化してくれたので、ログをビジュアライズしてくれることの良さを考えた

 音楽は2019年からSpotifyサブスクリプションに入っています(Apple Musicから乗り換え)。12月に入ってすぐに、Spotifyから「2019年をまとめたよ」というメールが送られてきて、さらに2019年をまとめたプレイリストが表示されるようになり、またさらにこれらの音楽を聴くようになりました。

 季節ごとにどんな曲を聴いていたのかを音楽とともにふりかえってくれます。
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 「洋楽」としてまとめていますが、いろいろな国のアーティストの音楽を聴いていたようです。40カ国…。こういうのは、自分では全然意識していないデータが出されていて楽しいです。
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 お気に入りの曲も並べてくれます。あ、うん。たくさん聴いていたよな、と思い出すことができる曲ばかり。 2019年は、映画「ボヘミアン・ラプソディ」の興奮冷めやらず、サントラを聴き返し、そこからレコメンドされるQueenのオリジナルアルバムを聴き返し、Queenをたくさん聴いていたのだろうと思います。
 曲単位で何度も何度も同じ曲を聴くようになったのは、Spotifyの特徴な気がします。よく聴く曲は、自分のお気に入りのプレイリストに表示されるようになり、そうするとお気に入りのプレイリストを聴く回数が増えるので、曲の再生回数は伸びていきます。これは、Apple Musicを使っていたときにはあまりなかったことのような気がします。
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 いちばん個人的に、「おお!」と思ったのは、総再生時間。2018年からの伸びがすごい…。僕の「音楽を聴く」という活動がほぼSpotify独占になったことによるものです。
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 こうして自分の知らないデータを見せてくれるのは、おもしろいと思っています。ログが残ることの楽しさ。別にこのデータを見るために音楽を聴いているわけではないけれども、副次的にこうしてログからいろいろなことを見せてくれるのがいいな、と。
 デジタルサービスを使っていると、同じようにデータをさまざまに見ることができるようになっていくと思います。ヘルスケアデータもそうだろうし、移動のデータとかもそうだろうし、学習ツールのスタディ・ログも同じです。
 自分の行動がログとなって、そのログをビジュアライズして見せられることで、また行動を繰り返したり、行動を一部改めたり、そういうこともできそうに思います。これはこれで楽しいと思うのです。

(為田)

ラジオに出てデジタル化って不可逆だな、と思った話

 2019年11月21日に、ご縁がありましてレインボータウンFMで30分間のラジオ番組に出演させていただきました。番組中でリクエスト曲をかけてくれるとのことで、3曲選んでいたのですがCDを持っていかなかったため、急遽スタジオにあるCDからかけたい曲を選ぶことになりました。
 スタジオのCDラックには、ものすごくたくさんのCDが並んでいて、そこからアーティスト名を探し、アルバムを探し、「どのアルバムに入っていたっけ…」と曲を探す、この一連のアクションが、とても大変であることに気づきました。昔は、ずっとこれをやっていたのに。TSUTAYAに行って好きなCDを借りるときもそうだったし、学校に行く前にウォークマンにどのCDを入れていこうか考えたりしていました。でも、今はそんなことを一切していません。
 iPodを使い始めて、すべての音楽データを持ち運べるようになりました。「この曲を聴きたい」「このアルバムを聴きたい」と思ったときには、すぐに検索をします。曲名やアーティスト名をキーワードにして検索をすれば、ダイレクトに目当ての曲にたどり着きます。音楽の探し方が、テクノロジーによって大きく変わってきていることを感じました。
 Spotifyサブスクリプションを使うようになってからは、そもそも“自分で入手した音楽”ですらなくなっていて、「自分が聴いたことがない曲」さえも、検索できるようになっています。テクノロジーの発達で、検索の仕方が大きく変わってしまっています。
 知らないことを検索する方法はテクノロジーによって大きく変わってきています。一度、検索の仕方を知ってしまったら、元には戻れない便利さがあります。デジタル化は不可逆だな、とひさしぶりに実感しました。
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 こうした、「テクノロジーによって検索の仕方が変わった」ということは、音楽だけの話ではなく、例えば調べ学習などでも同じことが言えると思います。
 良い悪いの話ではなく、テクノロジーによって変わってきていることを前提としなければなりません。デジタル化は不可逆です。子どもたちは、数々のデジタル化をすでに受け入れている(意識的なものもあれば、無意識に、というものもあると思います)。
 本当に必要なのは、「どうやって検索すればいいのか」、「どういうことに注意すればいいのか」、「知りたい情報を検索できるためにはどういう方法があるのか」ということを教えることだと思います。そんなことを、ラジオ局のCDの棚を自力で必死に検索しながら思いました。

(為田)