教育ICTリサーチ ブログ

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「教育の情報化に関する手引」を読み返してみた

 「教育ICTリサーチ」というからには、「教育ICT」ってそもそも何だろう?ということから考えてみなければならないだろうと思い、平成22年10月に文部科学省が発行した「教育の情報化に関する手引」を読み返してみる。

 

 第1章 第2節では、教育の情報化について、以下のように整理がされている。

  • 情報教育 ~子どもたちの情報活用能力の育成~
  • 教科指導におけるICT活用 ~各教科等の目標を達成するための効果的なICT機器の活用~
  • 校務の情報化 ~教員の事務負担の軽減と子どもと向き合う時間の確保~

 これら3つを通して教育の質の向上を目指すものである、と整理されています。

 

 また、第2章 第1節では、学習指導要領における教育の情報化の概要が説明されている。文部科学省の施策としては、「機器を導入する」というところから来ているわけではもちろんない。

平成20年1月の中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善について」においては、「社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事項」の一つとして情報教育が挙げられているとともに、「効果的・効率的な教育を行なうことにより確かな学力を確立するとともに、情報活用能力など社会の変化に対応するための子どもの力をはぐくむため、教育の情報化が重要である」などの提言がなされた。

 指導要領の中には、「教科指導におけるICT活用」の充実についても書かれている。例えば小学校では、

各教科等においては、国語科における言語の学習、社会科における資料の収集、算数科における数量や図形の学習、理科の観察・実験、総合的な学習の時間における情報の収集・整理・発信や日常生活・社会への影響を考えるなどの学習活動などでコンピュータや情報通信ネットワークなどを活用するほか、道徳において情報モラルを取り扱うこととした。

と書かれている。間違ってはいないと思うものの、もう少し具体的だと現場の先生にとってはいいのかな、と思う。例えば、「どうして数量や図形の学習を情報化したらいいのか?=ICTを用いると何が変わるのか?」ということが書かれていないと、現場の先生方も、実際の教室でどのように使うことができるのか、ということをイメージしにくいのではないかな、と思う。

  今まで教えてきたノウハウを持っている先生方にとっては、その教え方を「情報化するメリット」がいまいち見えないのではないかと思う。たくさんの先生方とお話をし、研修講師などをしてきたが、「教育の情報化」についてワクワクしている先生方は決して多くない。新しい教え方が教室で可能になることに、もっとワクワクしてもらわなければ、教育の最前線である教室は変わっていかないのではないかと思っている。

 逆に、いま、教育の情報化を進めていらっしゃる先生方は、本当にワクワクしながら進めている方が多い(たぶん、大変なこともたくさんあるでしょうが…)。この「ワクワク」を教育現場に感染させていくためには、「あ、あんな教え方っていいな。私でもできそうだな」と思ってくれる先生を増やすことだと思っている。そのために、文部科学省の「教育の情報化に関する手引」を出発点に、先生方にワクワクしてもらえるような事例で肉付けしていき、広げていく、ということが必要だろう、と感じている。そのための情報源として、このサイトが役立てるようにしていきたいと思う。