教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

デジタル地図を使って、「The Transportation Revolution: Roads, Canals, and Railroads」(英語)

PBS LearningMediaの教材「The Transportation Revolution: Roads, Canals, and Railroads」

 アメリカのPBSが運営している、PBS LearningMediaで、「The Transportation Revolution: Roads, Canals, and Railroads」というコンテンツがあります。

The Transportation Revolution: Roads, Canals, and Railroads | A Biography of America | PBS LearningMedia

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 1800年代初期のアメリカの経済的な変化は、交通ネットワークの発達と強く結びついている。道路、水路、鉄道が建設され、それによって市場が拡大し、人が動く。これをインタラクティブな地図で見られる、というコンテンツです。
 これまでの歴史の授業では、「資料集の○ページを見て」と先生に言われ、「赤が鉄道、緑が道路、水色が水路、それぞれが左の地図から右の地図に行くにしたがって、伸びているだろう?」というような説明を行っていたと思います。
 しかし、こうした説明では、生徒が資料集の方に目線を落としてしまうため、どんな表情で話を聞いているか(ピンと来ているかどうか?)などは、わからなくなってしまいます。もちろん、他のページを見てしまう人もいるでしょう。

 画面中央の「LAUNCH」ボタンを押すと、新しいタブが開きます。f:id:ict_in_education:20140922154418j:plain

 地図の中には、「ROADS」「CANALS」「RAILROADS」のボタンがあります。これをクリックすると、その線が地図上に表示されます。このように、必要な情報をその場で表示したり、消したりできるのは、デジタル教材の大きな利点です。
 また、その下に、1830年から1860年までの年代が並んでいます。この年代をマウスオーバーするだけで、地図上に道路や水路が伸びていくのがわかるようになっています。

 授業中に実際にこれを見せて教えるのは、たったの2~3分だと思います。ですが、こうしたコンテンツがあることで、資料集のページ上の静止画ではあまり味わえない、「ダイナミックな変化」がわかると思うのです。
 たった2~3分でも、この教材を見せてから、交通路の発達がどのように経済に関係したのかを説明していくことは、生徒たちの興味を喚起するとともに、理解を促進することができるのではないでしょうか。

 欲を言えば、これにさらに年代別の市場サイズとか、経済の指標も合わせて見られると、もっといいな、と思いました。

地図を使った学習について

 日本でだったら、どんな地図がこうしてダイナミックに表示が変わることで、おもしろくなるだろうか、と考えるのも楽しいですね。
 以前に、教育ITソリューションEXPOで講演をしたときに、先生方のリアクションがいちばん良かったのは、地図を使っての学習でした。デジタル地図の上に、さまざまな情報のレイヤー(層)が乗っているので、それを表示したり消したりするのが、説明にはとても使いやすいからです。
 商用の地図ですと、どうしてもたくさんの情報が載りすぎていて*1、そのたくさんの情報が、教室で利用するときには、ノイズになってしまうためです。こうして教えた情報だけを表示する機能があれば、地図を使った学習は、もっと教室で行なわれるのではないかと感じました。
 実際、先生方が、「こんな地図がほしい!」「こんなデジタル地図の見せ方がしてみたい!」「この単元でデジタル地図を使ってみたい」という要望がありましたら、地図を作っている会社さんへお声掛けして、要望をお伝えしますので、お気軽にコメントいただければと思います。もちろん、Facebookの方のコメントでもけっこうです。(研究員・為田)

*1:たくさんの情報が載っていることが、商用地図の価値なので当然です