教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

「教育にICTを導入してこれがしたい!アンケート」結果発表(1)

 教育ICTリサーチでは、教育現場への導入が進んでいるICTについて、現場の先生方がどのように教育実践に使ってみたいと考えているのかを知りたいと思い、簡単なアンケートを作成し、オンラインで回答してもらいました。オンラインでの回答が前提なので、ICTが好き/得意な先生方が多いと想定できます。
 今回は、全部で47件の有効回答をいただきました。そのうち、学校関係が37件、学習塾関係が10件でした。FacebookTwitterでのシェアにご協力をいただいた皆様、本当にありがとうございました。

 教育ICTは、多くの学校や学習塾で導入が進んでいますが、「ICT導入が進んでいる学校/学習塾」を見に行っても、多様な実践が行われています。ならば、実際にはどんなことをやりたいと思っている人が多いのかを一度リサーチしてみようと思い、アンケートを準備してみました。

全体での集計

 まずは、全体での集計結果をご覧ください。(有効回答総数=47)
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 有効回答47件のうち、全員が「はい」と答えた選択肢はただひとつ、「地図やグラフなど授業で使うものを提示して、効率化を図りたい」でした。続いて、「黒板などでわかりにくい部分を、動画などで解説することで理解させたい」「教室の実情にあった教材を手軽に作成し、使いたい」「デジタル教科書の映像などで、学習内容に興味を持たせたい」「グラフの方眼や白地図など、何度も使うものを提示して、効率化を図りたい」「学習履歴をデータとして記録し、進捗を把握したい」「クラスメイトらと協力して、課題に取り組ませたい」と続いています。


ここで挙げた7項目は、大きく分けると2つのグループに分けることができるのではないかと思います。

  • 授業の効率化を図りたい
    • 地図やグラフなど授業で使うものを提示して、効率化を図りたい
    • グラフの方眼や白地図など、何度も使うものを提示して、効率化を図りたい
    • 教室の実情にあった教材を手軽に作成し、使いたい
  • ICTならではの表現力で理解を深めたい、興味を喚起したい
    • 黒板などでわかりにくい部分を、動画などで解説することで理解させたい
    • デジタル教科書の映像などで、学習内容に興味を持たせたい


「学習履歴をデータとして記録し、進捗を把握したい」は、すでにさまざまなサービスにおいて実現をされているものです。また、「クラスメイトらと協力して、課題に取り組ませたい」という部分は、文部科学省が目指している協働学習の方向性に沿うものです。

学校と学習塾の違い

 次に、学校と学習塾とで分けて集計をしてみます。そして、それぞれの上位6項目に網かけをしてみました。(有効回答総数 学校=37、学習塾=10)
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 多くの項目で網掛けは重なりますが、学習塾の方の回答では上位に「マンガやアニメなど文字情報以外の手段で、学習内容に興味を持たせたい」と「解くことで得点が上がるなどのしくみを使い、やる気を高めさせたい」が入ります。学習塾の回答は全部で10件と少ないため、傾向としてはわかりにくいですが、マンガやアニメ、ゲーミフィケーションなどの導入にやや前向きであると言えるかもしれません。また、「教室の実情にあった教材を手軽に作成し、使いたい」などの票が少ないのは、学習塾での講師の教え方が確立されているからであるとも言えるでしょう。
 一方で、学校の方にだけ網かけがかかったものとしては、「クラスメイトらと協力して、課題に取り組ませたい」「学習者の好きな時間に、短時間であっても学べるようにさせたい」でした。協働学習的な「クラスメイトらと協力して、課題に取り組ませたい」は、学習塾の現在の授業形態だと、なかなか実現が難しいかもしれません。

 このように、同じICTの活用方法でも、学校と学習塾とでは、少し差異があると言えるでしょう。学校と学習塾の授業スタイルの違いも考慮に入れて、今後導入されるシステムやサービスをチェックしていきたいと思います。

次回予告

 次回は、学校の回答の中から、小学校・中学校・高校・中高一貫校によって、ICT導入の目的が違うのかをご紹介します。