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教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

小学校での英語授業をどうデザインするか(多摩市立愛和小学校×ベストティーチャー)

教育ICT 授業実践 取材 目的-1. 興味喚起 目的-2. モチベーション喚起 目的-6. 教材拡充 目的-9. 学習環境拡充

 2月25日に、多摩市立愛和小学校でベストティーチャーが協力している小学校6年生の授業を見学させていただきました。
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 ベストティーチャーは、Skypeを使ったオンライン英会話を提供しています。

オンライン英会話なら無料体験できるベストティーチャー

 見学したのは、5回シリーズの授業の4回めでした。愛和小学校では、1人1台のiPad環境があるので、1人ずつがSkypeで外国にいる先生と会話をする機会を提供していました。
小学校での英語の授業については、まだまだどのような授業デザインで教えるのか試行錯誤の段階だと僕は思っています。英語が苦手だけど、英語を教えなければならない、という状況にいる先生もいるでしょうし、英語が話せるからと言って、「話せる=教えられる」だとは限らないと思います。でも、政策としてやると決まったからには、多くの先生に、「こういう英語の授業だったらやってみたい」と思ってもらう授業デザインがなるべく多様性を持って提供されることが大事だと思っています。
 まだまだ過渡期なので、さまざまな実験を行い、効果のある方法を模索していくことが大事だとも思います。そうした意味で、今回の愛和小学校とベストティーチャーのコラボ授業に非常に興味を持って教室にうかがいました。

授業準備

 小学生の英語学習だと、買い物などシチュエーションを設定して、そのなかで特定の表現を学ぶ、というケースが多く見られますが、ベストティーチャーは、Skypeを通じて英語のネイティブスピーカーとの会話する場面を、教室に多く作り出すことができます。通常、ALTの先生がいても、1人しか教室にはおらず、どうしても一対多の会話になってしまいますが、ベストティーチャーのシステムを使うことで、「英語を使う場面」を圧倒的に増やすことができるようになります。
 とはいえ、いきなり先生とSkypeでつながっても、「Hello.」の後、何て言うんだろう…となってしまうと思いますので、そのための準備をどのように進めていくのかが、授業デザインとしては大切な部分になります。
 ベストティーチャーの先生は、事前に黒板に授業の進行を書くなど、教室の準備を進めていきます。今回は、「将来の夢」というのがテーマでした。それぞれの机にiPadを置き、ワークシートを配布して準備完了です。
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授業スタート

 いよいよ授業がスタートです。最初の挨拶をして、授業が始まります。すでに今日までに3回の授業をしているので、児童はベストティーチャーの先生に慣れています(もちろん、1人1台環境なので、iPadにも慣れています)。
 最初に今日のフレーズを紹介し、配布されているワークシートに書き込みを始めます。ワークシートは、Skypeで先生と話す前の準備作業です。急に先生と話せる場ができても、話す内容は急には出てきません。日本語ですらそうなので、英語ならなおさら。そうならないように、「自分の夢は何か」「どこに住みたいか」などを前もって考えて、ワークシートに書いていきます。
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 小学生の場合、「聞く」と「言う」というのでは大丈夫な児童も多いですが、「書く」と「読む」についてはまだ難しい児童もいます。先生と一緒に考えるシーンもあります。
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Skypeでの英会話

 いよいよSkypeで先生たちと英会話がスタートします。英語はコミュニケーションのためのツールなので、実際に相手がいる場面で話をすることが何よりの練習になります。児童たちは、自分で書き込んだワークシートを見ながら、自分のことを話します。その後、先生たちに質問をします。
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 今回は教室に5台のiPad、5人の先生がネットの向こう側にいて、児童たちと会話をしてくれました。児童たちは、順に5人の先生と話をします。だんだん英語を話すことに慣れてくるのか、声が大きくなっていきます。この「慣れてくる」というのが英会話にとっては大切なのではないかな、と思いました。

先生たちは、世界中からSkypeを通じて授業に参加してくれています。何人かの先生と、児童の会話を助けるために話しましたが、スロベニアなどちょっと耳慣れない国の先生もいて、それも英語の多様性を体験してもらうには非常にいいきっかけになると思いました。

と思ったら、すでに同志社中学校とベストティーチャーさんのコラボ公開授業でされていました。さすが!

同志社中学校×オンライン英会話「ベストティーチャー」コラボ公開授業 - EverLearning!

どんな先生だったのか発表

 最後に、それぞれの先生たちに質問して、答えてもらった「先生たちの夢」について発表してもらいました。
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 児童たちは、「英語が通じたのがうれしい」「先生がゆっくり話してくれたのがよかった」などの感想を伝えてくれました。
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授業デザインが大切

 授業を見学し終えて、小学校の英語の授業は本当に難しいな、と感じました。多少なりとも、英語の授業をきちんとやっている中学生とは違うわけで、限られた語彙力でどんなふうに学ばせるのか、って本当に難しい。
 学習指導要領の「外国語活動」の箇所を確認してみると、こんな感じに書かれています。どこにICTを使うのか、ということを明確にして、授業をブラッシュアップしていく段階なのだろうな、と思います。
第4章 外国語活動:文部科学省

第2 内容
〔第5学年及び第6学年〕

  1. 外国語を用いて積極的にコミュニケーションを図ることができるよう,次の事項について指導する。
    1. (1) 外国語を用いてコミュニケーションを図る楽しさを体験すること。
    2. (2) 積極的に外国語を聞いたり,話したりすること。
    3. (3) 言語を用いてコミュニケーションを図ることの大切さを知ること。
  2. 日本と外国の言語や文化について,体験的に理解を深めることができるよう,次の事項について指導する。
    1. (1) 外国語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに,日本語との違いを知り,言葉の面白さや豊かさに気付くこと。
    2. (2) 日本と外国との生活,習慣,行事などの違いを知り,多様なものの見方や考え方があることに気付くこと。
    3. (3) 異なる文化をもつ人々との交流等を体験し,文化等に対する理解を深めること。

 こうした事項をベースに考えると、ベストティーチャーが小学校の授業で果たすことのできる役割は大きいと思います。まず、「外国語を用いてコミュニケーションを図る楽しさを体験する」ために、Skypeを通じて遠い外国にいる人と話すことの楽しさを感じさせることが、「もっといろいろしゃべってみたい!」という気持ちに繋げやすいと思うからです。教室にALTの人が来てくれて、一対クラス全員でコミュニケーションをするのとはまったく違う授業を実現できるからです。


 ただし、これだけでは不足だとも感じました。「どうやって小学生にコミュニケーションすることの楽しさを体験させるか」という授業デザインが必要だと思います。ICT(今回の授業の場合、Skypeでコミュニケーションすること)は目的ではなく、手段です。目的は、「外国語を用いてコミュニケーションを図る楽しさを体験する」ことなのですから、そのためにどういう授業を行うか、ということを担任の先生が考えていくと、もっといい授業ができるのではないかと思いました。
 ベストティーチャーのサービスを、「手段」として最大限に活かすためには、「英語をこうやって教えたい」という授業デザインができる先生が絶対に必要だと思います。これは、ベストティーチャーの側にあるノウハウだけではなく、クラスを担当して毎日児童のことを見ている担任の先生が持っている児童たちを見てきた経験が大きく物を言う部分なのではないかな、と思います。


 ベストティーチャーが教室にもたらす、「全員がネイティブスピーカーとの会話練習をできる」という強みを、どんなふうに授業の中に組み込んでいくのか、そのノウハウ作りをこれから進めていけば、「小学校で英語をどう教えるか」ということを、「せっかく学校にタブレットあるんだから、これを使ってやってみよう!」とチャレンジする先生を増やすことができるのではないか、と非常に期待しています。