教育ICTリサーチ ブログ

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「スマートフォン・携帯電話の長時間使用が学力に悪影響を与える!」ってこれで言えるの?

 東北大学仙台市標準学力検査,仙台市生活・学習状況調査における小5~中3の詳細な分析結果から「スマートフォン・携帯電話の長時間使用が学力に悪影響を与える!」なる報告を出しています。
www.tohoku.ac.jp

 またそんな、スマホと携帯電話だけのせいにして…と思いつつ、資料を読んでみることにしました。
 詳細はこちら、というPDFのリンクはここ
 どれくらいのサンプル数なのだろう?と思ってみると、仙台市の調査なので、けっこうな母数があります。

① 実施状況
 全市立小学校124校
 全市立中学校63校
 中等教育学校1校
② 実施日
 平成26年4月14日(月)~18日(金)
③ 有効回答数
 小5 : 8,899名
 小6 : 8,794名
 中1 : 8,657名
 中2 : 8,648名
 中3 : 8,526名

 で、スマホ・携帯電話の長時間使用が学力に悪影響を与える!という論拠はグラフが提示されていて、以下のような解説がされているのです。

上のグラフは,仙台市標準学力検査の中学生の数学の平均点と平日1日あたりの通 信 アプリ の使用時間との関係について示したものです。「平日に30分未満しか勉強しない(◆の折れ線)」生徒の状況を見てください。 通信アプリを使わない(スマホや携帯を持っていない)生徒の数学の平均点は約61点でした。しかし,3時間以上使う生徒の数学の平均点は50点以下に急激に低下しています。この群の生徒は,家庭ではほとんど勉強をしていません。つまり,通信アプリの使用時間が長くなるほど生徒たちの中から,学校で習得した学習内容が消えて無くなったことを意味していると考えられます。

 これって、「通信アプリを使っていること」の「平均点」への影響はあるように思いますが*1、「長時間使用が学力に悪影響を与える!」という書き方=因果関係まで想定できるものなのでしょうか。
 ふつうに、教室で教えたことがある人ならば、「通信アプリを長いこと使っているということは、学習時間を削ってしまうほどに没頭し過ぎかな?」と考えたり、「通信アプリを使っている時間は、どの時間と引き換えになっているのかな?」という疑問をセットで抱くと思うのです。そうすると、それはスマホ・携帯電話が悪い、という簡単な話ではなくて、家庭学習(おそらく学校にいる時間は使わないと思いますので)のあり方が問題、というふうに書くほうがフェアではないのかな、と思うのです。

 これから、スマホタブレットなどを使って勉強ができるシステムがたくさん出てきて、通信アプリを使いながら遠くにいる先生とやりとりをし、遠くにいる学友たちと共に学び合う、みたいな形が増えていくだろうと思われるので、あんまりへんてこな数字が出て、この流れの障害にならないといいな、と思っています。

 家庭学習の時間をしっかり増やすために、ICTが果たせる役割は、僕は大きいのではないかと思っているので、しっかり実証実験などを設計して、いいところはいい、ダメなところはダメ、とフェアに評価していけるプロジェクトを進めていきたいと思います。

(研究員・為田)

*1:ごめんなさい、ここ勘違いして「相関関係」と書いていましたが、訂正しました。2015/3/24 11:40