教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

首相の米議会上下両院合同会議での演説、教材にできないか?

演説全編を教材に使える?

 4月29日にアメリカ議会上下両院合同会議で安倍首相が演説を行いました。この演説を支えていた10のプレゼン技術が紹介されている記事が出ていました。
toyokeizai.net

 10の技術は以下のもの。詳細は元記事をぜひ参照していただければと思います。

  1. 笑顔
  2. ユーモア
  3. 個人的なエピソード
  4. ジェスチャー
  5. 冒頭の印象の作り方
  6. レトリック
  7. モードの変化
  8. ラポート(共感)形成
  9. 演出
  10. 失敗を恐れない

 これを先に読んでおいてから、全編をYouTubeで見てみると、いろいろな工夫が見られていいと思います。僕はとにかく、笑顔が印象的だな、と思いました。

www.youtube.com


 学校の授業で、プレゼンテーションを講評したり、プレゼンテーションの授業をお手伝いしていますが、プレゼンテーションをこういう面で教えているケースはほとんどありません。生きた教材として、このポイント(のうちのいくつかでもOK)を紹介して、演説を一部見せてみたいな、と思いました。
 全編、こうして動画で見られるのはとてもいいことです。全編を授業中に見せるのはさすがに時間がもったいないので、24:00すぎから、36:00まで、とか時間を決めてもいいかもしれませんね。
 または、こういう見るのに時間がかかって授業で収まらないものこそ、反転授業形式で、家のPCで見ておいで、とか、スマホで見ておいで、というふうにできないですかね。

準備の大切さの教材にも使えると思う

 この演説、カンペが写されて出回っています。まあ、そのまま見えちゃって拡散されちゃうのは、ちょっとかっこ悪いけれども、これくらい準備をするのだよ、という教材としては、これはこれでいいな、と思います。「伝えたい」という気持ちがあれば、そのために何でもする、くらいなプレゼンテーションをする方がいいではないですか。
www.huffingtonpost.jp

 母国語でない言語で演説をすることは大変です。これくらいしなければいけないでしょう。

国内の所信表明演説も見るべき

 ここまで書いて、英語で、アメリカでの演説だから興味を持っている自分に気づきました。日本の国会での所信表明演説って、同じように動画で見られるのだろうか?と思ったら、けっこうアップされているのですね。これらも、同じように教材として使えるかもしれません。

 これまで、演説を授業で紹介しようと思えば、自分で映像を用意して、教師で見せなければなりませんでしたが、動画ファイルのアップロードが公式に行われているケースも多いので、政治的なことに興味を持ってもらうために、どんどん演説を見せることを授業の中に取り入れればいいのにな、と思いました。
 同様に、地方の首長の演説、地方議会の様子、選挙の演説なども、どんどんネットで見られるようにしたらいい。そうすることで、シティズンシップ教育にも貢献できると思いました。

ただ動画を見るだけと侮るべからず

 YouTubeでちょっと動画を見せるだけ、というのを、果たして「教育の情報化」「ICTの教育利用」と言っていいのか?と思う人もいるかもしれません。教育の情報化は、今までの授業では「実現が難しかったこと」を実現させるために使われるものだと考えれば、こうしてつい先日行なわれた動画を教室で見せることができる、というのは、先生方の授業展開を大いに助けてくれるのではないかと僕は思います。
 むしろ、たくさんあふれている動画をどう選ぶか、どのくらいの時間見せるのか、見せた後にどんな発問をするのか、そうした授業設計こそ、先生方にしかできないことだと思います。

 もっともっと、こうした授業が広がっていけばいいな、と思っています。

(研究員・為田)