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教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

武雄市立武内小学校訪問(2015年5月1日)

公開授業 取材 教育ICT

 2015年5月1日に、武雄市立武内小学校の「官民一体型学校 第1回学校公開」に参加してきました。内容としては、「脳トレ」と「花まるタイム」と「青空教室」を見ることができました。
武雄市は、2014年4月に市内の全児童にタブレット端末約3000台を貸与しし、3年生は算数、4年生は算数・理科の2科目で反転授業を行い、学校と家庭がシームレスでつながる学習環境を目指す、スマイル(SMILE)学習を行なっています。

 今回訪問した武雄市立武内小学校は全校生徒118名(学校紹介パンフレットより)。官民一体型学校です。創立は明治時代という、大変長い歴史をもつ学校ですが、官民一体型学校として平成27年から運営をされていて、学習塾の花まる学習会のカリキュラムを取り入れています。

https://www.city.takeo.lg.jp/info/2014/04/post-1097.html

本日(平成26年4月17日)、文部科学省記者会見室において、本市における公立学校と民間学習塾による「官民一体型」の小学校を来年4月に創設する旨の記者発表を行いました。

これからは、知識重視の一方通行の教育から、自分の頭で考え、未来を切り拓いていく教育、すなわち「メシが食える大人に育てる」教育への転換が求められています。

そのため、武雄市では、数多くの実績を持つ学習塾「花まる学習会」と連携し、官と民の垣根を取り払い、官民が一緒になって生徒の生き抜く力を育む新しい教育を行う「官民一体型」の小学校を創設します。

 こうした動きで新聞やネットなど、ニュースで賛否両論見ることも多いのですが、実際に授業を見て、先生方がどんなふうに仕事をされているのか、児童たちはどんな顔をして授業を受けているのか、を見たいと思い、今年度最初の学校公開に行ってきました。
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代田校長先生挨拶

 受付を終えると、代田昭久校長先生による簡単な挨拶がありました。
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 多くの方々が学校公開の機会にこうして学校を訪れています。代田先生にお話を伺うと、こうして来てくださっている方々の多くが、地域の支援員さんだそうです。「地域と一緒に学校を作る」と語られていた代田先生の言葉を裏づける学校公開だ、と感じました。
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脳トレの時間

 最初は、脳トレ(syu-tyu-train)の時間を見学しました。普段は、朝の時間に行なっているものだということでしたが、今回は学校公開のため、特別にお昼の時間に行なってくれました。
 タブレットを専用のラックから出して、教室で5分間の学習を行いました。
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 タブレットを使って算数の問題に取り組んでいました。計算問題など正解がある問題を、「自分の速度で」「自分のやりたいだけ」できるというのは、デジタル教材の長所だと思います。一人一人が個別に集中して取り組んでいるだけでなく、お互いの活動結果を見せ合ったり、というような様子も見られました。
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花まるタイム

 次に、15分間の花まるタイムを見学しました。学年によって、やっている内容は違うものでした。
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花まるタイムのねらいは、以下のようなものです(配布された資料より)。

ねらい

  • 1日の始まりにリズムとテンポを意識して取り組ませることで、脳のウォーミングアップ効果をねらう。【脳のトレーニング】
  • 全ての学力の基礎となる「記憶力」「集中力」「言語力」「思考力」を高める。【学力の向上】
  • 過去の自分と競わせることで、「できないことができるようになる喜び」や「自己肯定感」を醸成する。【個人の学び】
  • グループやクラスが一体となって大きな声を出したり、静かに取り組んだり、協力したりすることで、みんなで学ぶことの楽しさを感じさせる。【集団での学び】

 花まるタイムが始まると同時に、各学年の教室から子どもたちの大きな声が響きます。「おお、これぞ花まる学習会!」と感じます。

 教室の中にいると、子どもたちが非常に楽しそう。
 みんなが大きな声を出し、教室全体の一体感があります。この教室全体の一体感は、花まるタイムの間の指導だけでなく、通常の授業時間などにも使えるものなのではないかと思いました。
 子どもたちの声や動作などに、必ず先生たちはリアクションをとるし、良かったことは褒めるし、違った所があれば励ます。ものすごくシンプルなことをきちんとやっている授業、という印象です。
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 官民一体型学校のリリースを見たときに、先生はどうやるのだろう?と思っていました。花まる学習会の先生が教えるのか、チームティーチングにするのか、どうするのだろうか、と思っていたのですが、完全に学級担任の先生がされていました。
 花まる学習会から来ているKONG先生に少し話をうかがえたのですが、「先生方も半年間、花まるタイムを教えてきて、リズム良く教えられるようになってきています。授業がいいのは、先生方の教え方の成果です」とおっしゃっていました。KONG先生は、授業中すべての学年の教室を見まわり、気がついた点などはメモして、あとで担任の先生にフィードバックをしているようでした。こうした、一緒に授業をより良くするために官民で協力する、という形ができつつあるのは非常に良いと思いました。

青空教室

 花まるタイムの後は、全員でグラウンドに出て、青空教室を行いました。青空教室のねらいは、以下のとおりです(配布された資料より)。

ねらい

  • 五感を使い、座学では体験できない気づきや発見を得る。
  • 遊び心を持ちながら、自然のものに触れる。
  • 体を動かし、体全体で物事を感じる感受性を豊かにする。
  • 異学年・異性による班構成により、相手への思いやり、協力すること、自分の気持ちを伝えることなど社会で生きていく上で必要な力を育てる。
  • 学校内や学校周辺の環境に接することで、そのよさを発見し、母校や故郷への愛情を育てる。

 学年もバラバラなので、上級生が下級生に声掛けをして手伝ってあげたり、一緒に考えたり、という活動になっています。90分の間に、体操~アイスブレイクなど、5つのアクティビティが行なわれました。
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 クワガタ体操の様子です。これ、本当に楽しそうだったです。KONG先生の声掛けで、新入生たちも含めて、みんなで大盛り上がり。周りにいらっしゃる先生方も上手に声掛けして参加させていました。
 こうしてみんなを巻き込んで、一体感を出すことができるのは、学校として非常にいいことだな、と感じました。
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 その後、グループに分かれて学校内で助数詞(数の数え方)をなるべくたくさん探す、というアクティビティをしました。葉っぱなら1枚、車なら1台、人なら1人、というふうに、なるべくたくさんの数え方を探すために、グループに1台タブレットを持って、協力しながら歩き回ります。
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 また、最後にはグラウンドにみんなで協力して絵を描くアクティビティがありましたが、その作品を撮影して講評するのにも、タブレットを活用していました。
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 こうした、ちょっとしたことにタブレットやICTを使うことが多いのだろうな、と想像します。タブレットの貸与が始まってから1年が過ぎ、適度なタブレットの使い方ができるようになってきているのではないかな、と思いました。

まとめ

 反転授業については、今回は見ることができませんでした。ですが、武内小学校が取り組んでいる、「官民で一緒に授業を作っていく」という新しいスタイルは見ることができたように思います。
 ICTの活用というだけでなく、教室での一体感を作ったり、みんなで経験を共有したり、というところの手法が非常に優れていると僕は感じました。ICT以外の部分でも、授業作りのところで参考になる部分が非常に多かったです。
 子どもたちの楽しそうな笑顔と、先生方の「新しいことに取り組んでいる空気」が非常に伝わってくる、学校公開だったと思います。またぜひ、伺いたいと思います。

(研究員・為田)