教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

「i和Design公開プレゼンテーション@愛和小学校」報告 後編:パネルディスカッション「学校現場のニーズを、EdTechはいかに解決できるのか?」

 6月27日(土)に多摩市立愛和小学校で行なわれた、「i和Design公開プレゼンテーション@愛和小学校」に参加しました。前回の「前編:公開授業」につづいて、今回は後編として、パネルディスカッションについてレポートします。

 会場は愛和小学校の体育館。多くの方が参加されました。パネルディスカッションは、ICT CONNECT 21の企画であり、テーマは「学校現場のニーズを、EdTechはいかに解決できるのか?」でした。
 為田はモデレーターをつとめましたが、一緒に登壇していただいたのは、以下のメンバーです。

  • パネラー :
  • モデレーター:
    • フューチャーインスティテュート 為田

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 最初に、パネラーのみなさんに自己紹介をしていただきました。

学校とはどのような場だろうか?

 最初に、午前中の授業公開を見ての感想を聞いてみました。

  • Skype英会話がいいと思った。1対1でどんどんコミュニケーションがとれる。今までの1人1回くらいしか話ができなかったという問題が克服できる。(関島さん)
  • 先生方が、端末を意識しなくなって、学習内容の方に意識が向いていた。先生の意識が変わったのだと思う。(足立先生)

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EdTech導入への思い

 ここで、松田先生にEdTechを学校に導入したときの思いについてお話をいただきました。もともと、2年前にパネラーとして同じく壇上にいらっしゃる、佐藤先生のことを知り、EdTechについて知りたくて、連絡をしたのがスタートだったそうです。
 そこから、さまざまなEdTechを知り、学校に来てもらって授業をしてもらうようになった、ということです。
 松田先生は、「20年後に卒業生たちが社会で活躍できるようにするために、世の中を先取りする場所でなくてはならない」という問題意識をもっています。昔の学校には最先端のテクノロジーがあった、学校は最先端が学べる場所でなくてはならない、と考えているそうです。

 学習指導要領によって学校で学ぶことは決められていますが、改訂は10年に一度。10年に一度の改訂で、20年後の世界がどんなものかを予測して盛り込むのは実際は大変だと思います。
 テクノロジーの進化によって、社会も変わる、働き方も変わる、自己実現のための手段も変わる。であれば、それに適応していくことが学校には求められます。
 公立学校に比べ、私学は社会に適応しなければ受験者を集められないため、機敏に動いています。この格差を変えていかなければならない。そのためにチャレンジをしていく、と松田先生は語りました。

改めて、EdTechとは何か?

 ここで、いま授業で使っているEdTechという視点を離れて、もっと俯瞰で「EdTechとは何か?」というのを、佐藤先生にお話しいただきました。
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  • EdTechは玉石混交。
  • テクノロジーは学習効果を高めるためのもの。
  • 主語が変わる。今までは制度、学校が主語だった。これからは、主語は学習者になる。
  • MITメディアラボ伊藤穰一さんも言っている。Learning Over Internet。
  • さまざまな新しい教育の形が現れている。例えば、AltSchoolGoogleの元社員が設立。Facebookマーク・ザッカーバーグも賛同して出資している。
  • カーン・アカデミーもそう。卒業資格などは陳腐化していく。いつでも、どこでも学べるようになる。

www.altschool.com
www.khanacademy.org

 佐藤先生は、EdTechのすべてがすばらしいわけでなく、玉石混交だと言いました。だからダメだ、という話ではなく、だからこそ、先生がどのEdTechを学校に、教室に取り入れるのか、そうした教師集団の力が必要になるのです。こうした、「本当にこのEdTech(に限らず、ICTと言ってもいいでしょう)は、児童生徒のために役立っているのか?」という評価の視点は、これからもっと厳しく問われていく必要があると思います。
 こうした評価をするためには、「どういったEdTechがあるのか」「そもそも、教育はどう変わりつつあるのか」を理解していなくてはならない、ということだと思います。

これからの展望

 最後に、パネラーの皆さんに今後の展望、やりたいことを伺ってみました。

関島さん:

  • ICT CONNECTのサブワーキンググループ(SWG)「教育現場発!ニーズをシーズへ」のリーダーをつとめている。
  • 学校現場でどのようなニーズがあるのかを吸い上げて、それを全体に広げ、解決策を考えていく、という活動をしていく。
  • 自治体、学校、教育委員会の方に参加してほしい。ICT CONNECT 21のサイトから、まだ登録できるので、ぜひサブワーキンググループに参加してほしい。

佐藤先生:

  • 問題提起だけでなく、解決に動きたい。そのためのサブワーキンググループ(SWG)「EdTechイノベーション」を立ち上げた。
  • 外の世界、これからの世界を見てきてしまった。黒船みたいなもの。見てきた黒船を伝えたい。学校現場へ届けたい。
  • そのために、ハッカソンをやっていきたい。

足立先生:

  • i和designを進めてほしい。
  • 愛和小学校を卒業した児童にとって、中学進学は問題だと思う。一人1台もっていた小学校から、ICTがない中学校へ進学するのは問題だ。縦に広げる活動が必要。
  • 公立学校には人事異動がある。6年くらいしか同じ学校にはいない。学校を大きく変えるには時間が足りない。だが、異動した先でまた学校を変える行動をすれば、それは横に広げる活動になっていくと思う。

松田先生:

  • まずは国のクラウドを進め、愛和小学校で行なっていることを発信していく。
  • EdTechの人たちと付き合うようになって、みんなのパッションに非常に刺激を受けている。自分もやってみたい。60歳からでも、ベンチャーをやってみたいと思っている。

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最後に

 モデレーターの役割を終えて、「ああ、もうちょっと時間がほしかった…」と率直に思いました。佐藤先生の大きな視点、学校でそれを実現するためにどうすればいいのかという松田先生と足立先生の現実的な視点、企業側から効果的に学校をサポートするためにニーズを吸い上げるべきとう関島さんの視点、それぞれを結びつけていく、というところまでやりたかったな、と思いました。
 ですが、ここから先はICT CONNECT 21のサブワーキンググループでも、SNS上でも、どんどん繋がってやっていければいいかな、と思います。
 良い学校を作るために、各自が何ができるか考えていければと思います。

◆ ◆ ◆

 進行メモから必死に書き起こしましたが、なかなか難しかった…。その場での口調など、そのまま再現できていない部分もあるかと思いますが、それは為田の責任です。
 パネラーの皆様、もし直したいところ、追記したいところありましたら、お気軽に連絡をいただければと思います。(研究員・為田)

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