教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

夏の学校見学シリーズ:同志社中学校訪問・前編(2015年7月1日)

 7月1日に、京都市左京区にある、同志社中学校を訪問しました。とてもオープンで自由な雰囲気の学校です。その雰囲気を支えているのは、先生たちの自由なスタイルなのかな、と思いました。開放感のある廊下を、MacBookを開いたまま持って先生が歩いている様子は、学校では初めて見ました。
 それに加えて、生徒の移動が活発なことも、自由な雰囲気を作るのかな、とも思いました。同志社中学校は、「教科センター方式」というスタイルをとっているからです。教科センター方式では、教科ごとに専門教室があって、生徒たちは授業ごとに教室を移動します。教室に先生が来るのではなく、生徒たちが先生のいる教室へ毎時間移動していきます。決められた教室でずっと授業を受けるのではなくて、ホームベースというのがあって、そこにロッカーもあり、そこを拠点にして教科ごとの教室へ移動して授業を受けます。日本の中学校っていうよりも大学のようです。

 下の写真だと、右側がホームベースで、左側が教科ごとの教室です。教室の壁もガラスでシースルーなので、開放感があります。
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 教科ごとに少しずつ教室は違うのだそうです。例えば、数学の教室の黒板はグラフや図を書きやすい黒板を導入しているそうです。言われてみれば、教科によって板書する内容は変わるでしょうし、教室のサイズや必要な備品などは変わってくるはずで、教科ごとに教室が違うのは合理的だな、と思いました。

 ホームベースを少しのぞかせてもらいました。本棚には担任の先生が選んだ本などが並んでいます。普通の学校だと教室に貼られている掲示物などは、ホームベースに貼られています。
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「ホームルームはどうするのですか?」と訊くと、ホームベースの前の教室でホームルームなどは行うそうです。

 廊下などにはディスプレイが置かれていて、時間割の変更や連絡事項などを常に見られるようになっています。特別なシステムを入れているわけではなく、Excelで作成したものを、自動的に表示を切り替えているそうです。これだけでも十分ですし、何より、学校運営上、急遽情報を伝達したい場合(悪天候のため、授業時間を5分遅らせる、など)には、学内で手軽に情報を更新することができるのはとてもいいと思いました。
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中学校2年生の英語の授業を見学

 さっそく、英語の授業を見学させていただきました。反田先生の英語の授業では、新出単語の意味の確認、新出単語の発音の確認、英語の本文の読み込み、聞き取り、会話練習、シャドーイングなど、デジタル教材を使って行なっていました。テンポよく授業が進んでいきます。

 デジタルで教材が用意されているので、提示するまでに時間もかかりませんし、生徒の理解の感じをみとって少し戻ってみたり、リピートして再生したり、ということもできます。
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絵を見てペアワーク

 単語、英文の基本的な学習を終えてから、絵を見て情報を読み取り、そこから文章を作っていくというアクティビティを行なっていました。まず課題となる絵をスクリーンに投影します。その後、スクリーンに投影されている同じ絵の横に英作文用スペースがあるプリントを配布します。
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 ペアになって、課題となる絵を見ながらThere is / There areの文章をたくさん作る、というアクティビティでした。いちばんベーシックに「There is …」の文章や「There are…」の文章を書くところをスタート地点にして、それを疑問文にしたり、How many~の文章にしたり、というのもすすめられていました。
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 ペアで考える間、iPadで英和辞典・和英辞典などをひいている生徒も多かったです。同志社中学校では、一人1台iPad miniを持っているので、どんどん辞書をひいていきます。辞書をひいていると、例文などをそのまま写したりするようなことが起きたりしないのですか?と反田先生に訊いたところ、「例文を見つけて、そこから授業の課題に合うように書き換えるのも学びになるので、かまわないと思います」とのお返事でした。まずはわからない言葉に出会った時に、どんどん辞書をひく、というアクションにつながる、ということを優先されているということかな、と思いました。
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 ペアワークでやっているので、二人の真ん中にiPadを置いて、単語を教え合ったりしている様子を見ることができました。「共に学ぶ」雰囲気が教室でできているように思いました。
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 最後に、クラス全体で読み合わせをしました。絵を前に映しているので、答え合わせをする時に目線を上げさせることができるのがいいと思いました。

カメラロールの使い方

 問題集のページを写真にして持っていて、カメラロールから読んでいる生徒もいました。後で反田先生に訊いてみたら、問題集をきちんと持ってきていても、忘れたときの保険としてページを撮影してある生徒もいるそうです。
 また、iPadを所持するようになってから、教科書や参考書を忘れました、と言いに来た生徒に、先生は「教科書を借りる」のではなくて、「友だちに写真を撮らせてもらって」ということができるようになったそうです。そうすると、授業の前に隣の人にページを撮影させてもらっておけば(その日の授業で進みそうなページならそう大量ではないですね。)、周りの人にも迷惑がかからない、ということです。

宿題は学習ポータルから

 授業の途中で、宿題についてのアナウンスもされました。反田先生は、「宿題はプリントで。ディクテーションは、学習ポータルからアクセスできるようになっています」と伝えます。学習ポータルから教材をiBooksにダウンロードして使うので、家でWiFiがない生徒でも使えるそうです。実際、見学している授業でも、生徒から「オフラインでもできる?」という質問が出て、反田先生が「iBooksだから大丈夫。授業中にダウンロードしておけばいいよ」と答えていました。
 どれくらい自由にiPadを使ってもいいか、というのは学校全体としての統一基準はなく、先生によって違うみたいです。このようにそれぞれの先生方によって活用が違う、という導入方法はとても現実的だと思いますし、その際に教科センター方式というのは先生方のやりたい授業がやりやすいだろうな、と感じました。

音読の評価をデジタルで

 反田先生は、ロイロノート・スクールを使って音読テストも行なっているそうです。課題となる文章を配布しておき、それを読んだものを録音してもらい、提出してもらうそうです。
 採点したものを見させていただきましたが、右側に音読の際の注意点が書かれていて、評価のポイントも書かれています。先生はこれにチェックをして返していく、ということができるということです。こうしてフォーマットが作ってあると、本文部分を書き換えて教材を英語科全体でシェアして使うこともできますし、そもそも制作段階で分担すれば負担も減っていいのではないかと思いました。
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 音読テストは通常、その場で読んでもらって、それを先生が評価する、というのが一般的だと思います。そうした方法だと、生徒は緊張してしまうこともあるでしょうし、時間の制約から1回か2回くらいしか読むことはできないかもしれません。デジタルで提出するのであれば、何度でも練習をして、録音を再挑戦することもできます。ベストな形で先生に評価をしてもらうことができると思います。
 また、先生側からしても、提出期限に幅を持たせ、提出がばらばらなので提出日から一気に採点をしなければならない、というのではなく、提出された順に採点をすることができます。先生の仕事としても、効率的に評価を進めていくことができるのではないでしょうか。


 後編へ続きます。blog.ict-in-education.jp


(研究員・為田)