7月2日に、奈良市にある、奈良女子大学附属中等教育学校を訪問しました。1時間目から3時間目まで、二田貴広先生の授業を見学させていただくことができました。生徒たちがみんな活発なのと、学ぶことに対して真摯な態度だな、と感じました。二田先生の授業がそういうふうにデザインされているから、というのももちろんでしょうが、「考えることを楽しんでいる」と感じました。このレポートを読んで、そうした雰囲気を感じていただければと思います。
グループでキーワードを調べる(中2 国語)
最初に見学させていただいたのは、中学校2年生の国語の時間です。場所は図書室で行なわれました。生徒たちは教科書や筆記用具を持ってきます。二田先生は台車にiPadやiPad miniなどを積んできています。
最初は、教科書の文章を読んでいくところから始まります。何人かの生徒が文章を読み終わると、二田先生は「さて、この後、何を訊くと思う?」と質問を投げかけました。すごい質問です…。何人かの生徒が指名され、「キーワードは何?」という次に先生が訊きたい質問にたどり着きました。
今回の授業でのキーワードは、「動的平衡」です。これを、4人グループになってそれぞれが調べ、プレゼンテーションの準備をする、というアクティビティになります。
4人グループでの役割分担は、1人目がiPadを使ってネット検索、2人目が辞書を調べて説明文をとりまとめ、3人目がiPadを使って情報にアクセスするためにどんなキーワードを使うかまとめ、4人目が教科書に書かれている文章からキーワードを改めてまとめる、というふうでした。
各自がそれぞれに課題に取り組みます。ネット検索は「どんなキーワードを入力するか」によって、検索結果が変わります。そのため、「どう検索するか」ということを考えるメンバーがいるのがおもしろいと思いました。
辞書も、図書室でやっているので、さまざまな辞書を持ってきます。国語辞典だけでなく、百科事典などもありますので、みんながそれぞれに「どう情報にアクセスするか」を考えます。
もちろん、最終的には一般書にまで調べる手は伸びていきます。デジタルもアナログも関係なくそれをやれるのは、図書室で授業を行う良さかな、と思います。
調べた内容は、ednityにどんどん書き込んでもらっています。
二田先生は常にednityに書き込まれていく生徒の書き込みを見ながら授業を進めています。リアルタイムで「◯◯くん、これだと…」とアドバイスを重ねていきます。図書室にはプロジェクタとスクリーンはないので、二田先生は常に教室を移動して生徒たちの様子を見ながら、やりとりを重ねていきます。
デジタルで文章を入力するだけでなく、みんなに共有したいページがあれば、カメラで撮影してednityにアップし、みんなで素早く共有します。
生徒同士も、自分が見つけた説明をグループ内で伝え合っていました。
考えたら、またednityに書き込みます。二田先生は、意図的に「もしも、どう書いたら分からないという人がいたら、◯◯君の文章がednityにアップされているので、それを見てもいいよ」というふうな言い方をします。
人の書き込みを見て書き方を理解して書き始める生徒もいますし、「見てもいいよ」ということなので、一切人の書き込みは見ないで、自分なりにやっている生徒もいます。こうしたところが、非常にクリエイティブな授業だと感じました。ほどよく突き放されているけれど、常にどんなふうにアクティビティが進んでいるかをednity上と教室での机間指導とで把握している、という授業でした。
中編へ続きます。
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(研究員・為田)