読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

夏の学校見学シリーズ:奈良女子大学附属中等教育学校訪問・中編(2015年7月2日)

 7月2日に、奈良市にある、奈良女子大学附属中等教育学校を訪問しました。1時間目から3時間目まで、二田貴広先生の授業を見学させていただくことができました。生徒たちがみんな活発なのと、学ぶことに対して真摯な態度だな、と感じました。二田先生の授業がそういうふうにデザインされているから、というのももちろんでしょうが、「考えることを楽しんでいる」と感じました。

プログラミングを素材とした文章読解 中2 国語

 2時間目も中学校2年生の国語を見学させていただきました。進度としては、1時間目に見学した授業の1コマ前の授業だそうです。場所はコンピュータ教室です。
f:id:ict_in_education:20150727174600j:plain:w400
 最初に、前時にどんなことをやったのか確認をしました。生徒を指名して、前でホワイトボードを使って説明をしてもらっていました。多少時間がかかっても、二田先生はじっくりと待ち、生徒たちからアクションが出てくるのを待っています。これがなかなか難しいし、時間を与えて我慢をした結果に何かが出てくると信じているのだと思います。
 また、生徒の方も、わからなかったり間違えたりすることをあまり恐れていない感じがしました。「考えるのを楽しんでいる空気がある」と感じたのは、このあたりの関係性が二田先生と生徒たちとの間にできているからかな、と思いました。
f:id:ict_in_education:20150727174702j:plain
 前時にやったのはMOONBlockというプログラミングだったことがわかりました。そしてその後、「じゃあ、今日は何をしますか?」という質問が飛び、生徒とのやりとりを経て、プログラミングで解決する課題がホワイトボードに書かれました。それを実現するためにどのようにすればいいのかを生徒たちに考えてもらいます。
f:id:ict_in_education:20150727174805j:plain

 ここからしばらくの間、生徒たちは各自でブラウザに向かい、MOONBlockでブロック(コマンド)を組み合わせて問題を解決していきます。MOONBlockは初めて見ましたが、ブロックを組んでいく画面とプレビュー画面が見やすいツールだと感じました。
f:id:ict_in_education:20150727175234j:plain:w400

f:id:ict_in_education:20150727175302j:plain:w400

 途中で、少し進んでいる生徒にデモンストレーションをしてもらっていました。ここでも1時間目のednityへの書き込みを「見てもいいよ」と言っていたのと同じく、「参考にしたい人は見てもいいよ」という言い方をされていました。
 あくまで一人でやりたい、という人はそれでまったくかまわない、ということです。
f:id:ict_in_education:20150727175358j:plain:w400


 国語の授業なのに、最初にやるのはMOONBlock。プログラミングです。コンピュータ教室で、国語の教科書を持って、プログラミングをやる。というのは見たことがありません。「いきなり?」と「どうして?」という疑問が頭をよぎりましたが、もちろんこの後にきちんとつながっていきます。
f:id:ict_in_education:20150727175454j:plain:w400
 実は、今回の単元は 「アオスジアゲハとトカゲの卵」。文章を読むと、作者がトカゲの卵に介入してしまって命を失わせてしまった経験が書かれています。

 私は、卵に微小な小さな穴を開けて内部を見てみようと決意した。もし内部が“生きて”いたら、そっと殻を閉じればいい。私は準備したピンセットを使って注意深く、殻を小さく四角形に切り取って覗き穴を作った。するとどうだろう。中には、卵黄をお腹に抱いた小さなトカゲの赤ちゃんが、不釣り合いに大きな頭を丸めるように静かに眠っていた。
 次の瞬間、私は見てはいけないものを見たような気がして、すぐにふたを閉じようとした。まもなく私は、自分がやってしまったことが取り返しのつかないことを悟った。殻を接着剤で閉じることはできても、そこに息づいていたものを元通りにすることはできないということを。いったん外気に触れたトカゲの赤ちゃんは、徐々に腐り始め、形が溶けていった。

 これをもとに、「生物は極微な部品の集合体」なのかという問題意識につながっているように思いました。

 これを踏まえて、二田先生は「では、Moon Blockでパペット(動かすキャラクタ)の動きを1つとること」と卵の殻を取り除くことは同じでしょうか?と考えさせます。こうやってプログラミングと国語の教科書の文章をつなげるのか…と感激しました。すごい結びつけ方だ…。「プログラミングをすること」自体を目的とするのではなくて、「パーツを組み合わせて、機能する全体を作る」ということを手近に簡単にできる例としてプログラミングを使っているのがすごいと思いました。

 どう考えたかは、ednityにアクセスして、各自で書き込んでもらっています。教室を歩きまわって、何人かの生徒の文章を読ませてもらいましたが、みんなそれぞれに視点がまったく違うのがいいと思いました。
f:id:ict_in_education:20150727175828j:plain
 こんなに観点が違うのも、自分で全体で機能するもの=プログラムを作る体験をしたからこそなのかな、と思いました。パーツごとにまとまりをつけて組んでいる人は、部品には取り替え可能な部分が…というふうな書き方になると思うし、リニアにプログラムを組む人は、トカゲの卵と同じように、どこかを取り去ったらもうダメ、と思うかもしれないな、と思いました。


 国語の教科書を読みながら、コンピュータやiPadに自分の考えをどんどん入力していく。しかも、文章を書くための素材としてプログラミングをやってみる。いままで見たことのない授業でした。
f:id:ict_in_education:20150727175927j:plain:w400

www.ednity.com

 後編へ続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)