教育ICTリサーチ ブログ

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Summit Public SchoolsとFacebookが作る「Personalized Learning Plan」についてちょっと調べてみた

 The Next Webで「Facebook's newest product helps educators track students'progress」というニュースが出ました。
thenextweb.com
 ざっと読んでみました。Facebookは公立学校と共に児童生徒の学習状況をモニターできるソフトウェア開発を行ってきたが、それを将来的には全米の学校に無料で提供したいと考えている、とのこと。カリフォルニア州で学校を運営しているNPOSummit Public Schoolsとパートナーシップを組んで、彼らの短期的ゴールと長期的ゴールの達成を助ける「Personalized Learning Plan(PLP)」を再開発している、ということだそうです。「Personalized Learning Plan(PLP)」は、計画を立てて、それがどれくらい達成できているかをモニタリングする、という感じなのですかね?Summit Public Schoolsとのパートナーシップは、すでに始まっていて、2014年には、2000人を超える生徒と100人を超える先生たちが、このツールを使ったとのことです。
 「Personalized Learning Plan(PLP)」はFacebookとは完全に独立しているので、使うのにFacebookのアカウントも不要だし、学校で使っている間に広告が表示されたり、ということもないようです。

 いくつかのニュースサイトを読んでみると、そもそもFacebookがブログにエントリーをアップしているということでしたので、そこを読んでみて、Summit Public Schoolsがどんな学校か、簡単に訳してまとめてみました(誤訳あったらごめんなさい…)。

  • Summit Public Schoolsは、カリフォルニア州で常に上位に位置する学校。多様な学生が通学していて、卒業生の実績もすばらしい。
  • 「学び」について新たなアプローチを開拓して、結果を出している。
    • 教室は講義のためにあるのではない。授業内容と評価テストは先生が作り、オンラインで配信される。教室での時間は、先生がリードする実世界のプロジェクトに、協働して取り組む。
    • 生徒の学習経験(learning experience)は完全にパーソナライズ化されていて、自分にあったペースで学ぶことができる。生徒たちは最初に先生と話し合って長期のゴールを設定し、そのゴールを達成するための計画を立てる。履修している授業のすべての記録をとり、それをビジュアライズ化してあり、日々の学習と長期的なゴールを達成することを結びつけている。そのため、「将来なりたい自分」と日々の学びが結びついて考えられるようになり、学びへの動機づけが行われる。
    • 先生は生徒たちの学びの様子を確認し、毎日一人一人にあったフィードバックを与えることができる。また、保護者も同じようにいつでも生徒の学習状況を見ることができる。

newsroom.fb.com

 こうした試みがなぜ成果を上げているのは、先生と学校のもつカルチャーによる部分ももちろん大きかったと思いますが、テクノロジーもこのように成果が上がることに大きな貢献をしてきていました。そのなかで、Facebookのエンジニアが一緒にやれないかとコンタクトをとったのだそうです。Summit Public Schoolとしては生徒の学びを変えるモデルを作ってきていたわけだが、まだシステム(テクノロジー)が十分要求に応えていたわけではなかったので、一緒に作っていき、その後で無料で展開していこう、ということになったようです。

 元のニュースに入っている「Personalized Learning Plan(PLP)」の画面イメージを見ると、授業ごとにタイムラインがあって、いま取り組んでいるものなどがわかるようになっています。
 それぞれ、クリックすると詳細がみられるようになっていて、教材などと紐づいているのかな…。ああ、どんなふうに動くのか見てみたい…。
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 実際にどんなふうに動いているのかと思って、検索かけてみたら、2013年10月に公開されている動画がありました。「将来なりたい自分」と日々の学びが結びついて考えられるようになり、学びへの動機づけが行われる、っていうところまでは、この動画ではわからなかった…。
www.youtube.com
 この翌年、Facebookとパートナーシップを組んで、改善してきているということなので、どうなっているのか引き続きチェックしていきたいと思いました。「Personalized」というテーマは非常に関心があります。学校現場において先生方がきめ細かいサービスをしたい!と思うときに、「Personalized」された情報や教材などがあることは非常に有効になるだろうと思っています。そうすると、「Personalized」の向こう側に、「Adaptive Learning」がつながってくると思います。Facebookにしても、Googleにしても、高い技術力を持った会社が、学校現場と手を組んだ時に、どんなものが生まれるのか、注目してみていきたいと思っています。(自分でもがんばってやっていこうと当然思っていますし)

(為田)