フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、ICTを使ってこんな授業ができるのではないかというアイデアを紹介していきます。
今回は、美術で模写をする際に、ICTを使うことで、模写元の原画と自分の模写作品を見比べやすくします。
模写における学習目的としては、画家の作品を「真似る」ことで、どうやって描いているかを考え探ることで試行錯誤すること、試行錯誤を通して画家の技術(構図、着彩、タッチなど)を体感的に学ぶこと、これらを通して絵を描くことに興味を持ってもらうことではないでしょうか。
ここでICTを使うことでより効果的かつ効率的に見比べることができるようになるので、原画と模写を比較して描きやすくなります。
原画と模写の両方共に、スキャナで読み取れるサイズであれば、最初にスキャナでデータ化します。スキャナで読み取ることが難しいサイズであれば、デジカメなどで撮影してもいいでしょう。
(1)原画と模写を2つ並べる
データ化した原画と模写の画像をPowerPointに挿入し、同じスライド内で2つ並べて比較することができます。
(2)2枚のスライドに原画と模写を配置する
2枚のスライドを用意しましょう。1枚目に原画の画像を配置します。それから、2枚目で、グリッドやガイドラインを参考にして、模写の画像を原画とまったく同じ位置に配置します。こうすることで、スライドを切り替えるだけで違いを見比べることができます。
(3)原画と模写を重ねる
違う箇所を見比べやすくするために、画像の透明度を調整しましょう。
PowerPointで、画像に透明度をつけて半透明の状態にしてみましょう。
- 「挿入」タブ→「図」グループにある[図形]で[正方形/長方形]を選んで、四角を描きます。
- 四角を右クリックして[図形の書式設定]をクリックします。
- 「塗りつぶし」で「塗りつぶし(図またはテクスチャ)」を選びます。
- 「ファイル」ボタンをクリックして、使う画像を選択します。
- 透明度のスライダーを動かして、透明度を調整します。
ポイントとしては、最初のところで、「挿入」タブ→「画像」グループにある[画像]で挿入した画像だと、透明度を設定できないため、[図形]を挿入し、その図形に画像を貼って透明化するところです。
半透明にした画像を上にピッタリと重ねることで、違っている箇所を見比べることができます。
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模写作品を毎授業ごとにデジタル化しておくことで、本物と比較できるだけでなく、模写作品の完成までのプロセスを記録することにもなります。途中経過を記録し、見直すことができるのは、ICTならではのメリットだと思います。
(前田)