フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、ICTを使ってこんな授業ができるのではないかというアイデアを紹介していきます。
今回は、デッサンで初心者がやってしまいがちな「輪郭を同一の線幅・筆圧・濃さで描いてしまうこと」を、ICTを使って、どうして同一表現ではいけないのかを、わかりやすく説明する方法を紹介します。
デッサンにおける要素として、色・光・形・空間などがありますが、
輪郭を同一表現で描いてしまうと、平面的に見えてしまい、空間を出すことができません。小さい頃から、マンガやアニメなど、輪郭が強調されたものに見慣れてしまっているので、同一表現で描いてしまうのだと思います。実際、私もそうでした。
輪郭を同一表現で描かないようにするには、以下の2つを意識する必要があります。
- 鉛筆の表現で、手前奥に感じる違いを理解する
- 視点(描いている人)からのモチーフやポイントの距離を理解する
「1.鉛筆の表現で、手前奥に感じる違いを理解する」
実際に表現を変えたものを比較させて見せて、どちらが手前に見えるかを訊いて、体感させながら説明するのが良いかと思います。以下のようなポイントを説明するといいと思います。
- 筆圧の強弱の違いで、どちらが手前に見えるか
- 色の濃い薄いで、どちらが手前に見えるか
- 線の太い・細いでどちらが手前に見えるか
2.視点(描いている人)からのモチーフやポイントの距離を理解する
モチーフの写真と、そのモチーフを90度横から見た写真を使うことで、視点(描いている人)からのモチーフやポイントの距離を説明しやすくなると思います。
▼自分が描いている視点から観たモチーフの写真(A)
▼Aを90度横から観たモチーフの写真(B)
▼Bの写真のポイントとなる箇所に○をして、それぞれの位置関係を整理する
▼AとBを横に並べて、○の色をポイントで色を変え、両方に配置することで、Aの位置から観たときと、Bの位置から観たときとで、それぞれの位置関係が俯瞰して確認することができる
▼輪郭を同じように描いたもの(左)と、輪郭の表現を変えたもの(右)を比較して見せる
まとめ
最初は何も説明せずに輪郭だけを描かせて、それから上記のような説明をして、再度輪郭だけを描かせるといいでしょう。そうすると、表現を変えて距離を意識しながら描く・空間を出すということを、意識してもらいやすくなると思います。
もし、生徒1人1人がiPadなどを持っているようであれば、自分が描いている視点の写真と、それを横から観た写真を撮影して、どこが手前か奥かをそれぞれに分析させてから描かせるようにしてもいいかもしれません。
(前田)