教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

千葉県立袖ヶ浦高校 情報コミュニケーション科 課題研究発表会 #2 ポスターセッション(2015年11月19日)

ポスターセッション開始

 課題研究発表会のポスターセッションの様子です。会議室をつなげて広く使い、全部で7つのグループがポスターセッションをしています。各グループのテーマは以下のものでした。

  • 案内ロボとWebページを使用した施設案内の形
  • 画像類似検索で新しい友達作りの提案
  • 遊び心満載!ICTを使った高校生向け募金箱
  • Evernoteを用いた野球部強化プロジェクト
  • 久留里線活性化のためのICTを駆使した現代の広報
  • ゲームニクス理論を活用した情報モラルの改善
  • Swayで魅せる!袖高生のリアルストーリー

 掲示物を立ち止まって読んでいると、グループのメンバーが説明をしてくれます。1時間ほどの間で、何度でも見ることができます。全部はまわることができなかったのですが、いくつか興味があったところ(と、説明する生徒が積極的だったところ・笑)で、説明を聴きました。
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よかったところ

 ポスターセッションがとてもいいな、と思いました。堂々としたプレゼンテーションをしてくれるのもとてもいいと思いました。また、変にエンターテイメントの方向に走らず、しっかり説明をしてくれたのもよかったです。そして、質疑応答の対応がとても良い。
 また、Swayなど新しい製品やサービスがどんどん入ってくるなどはとてもいいと思う。

 個人的に非常におもしろいな、と思ったのは、Evernoteを用いた野球部強化プロジェクトです。もともと野球部で書いていた野球部ノートをEvernoteに写真で入れていき、先輩たちがそれにコメントを書いていく、というものです。細かいコメントを入れることもできるし、他の人のノートを見ることもできるし、横の繋がりができてよかった、という話をしてくれました。
 この野球部のEvernote活用のグループは、メンバーのほとんどが野球部を引退したばかりの3年生だったこともあり、気合が入っていましたね。実際に強くなってきているし、自分が現役のときにあればよかった、とも言っていました。こうした思いはとても大切だと思いますね。
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 画像類似検索のシステムも、VBAプログラムを組んでいておもしろいな、と思いました。ちょっとした工夫をして、「こういうのがあればいいのに…」というのを創り出す、ハック(Hack)する感じがとてもいいな、と思いました。
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より高い期待を込めて…

 と、褒めてばかりいるよりは、外部の厳しい声も直接生徒にかけてあげてください、というのが日髙校長、永野先生の思いではないかと感じていますので、あえて「より高い期待」を込めて苦言も。
 どのグループについても同じように思ったのですが、もっとロジックをしっかり組んだ方がいいのではないか、と大人の本気目線では思います。日髙校長がGeneric skillとして挙げていた「課題解決能力」にもっと軸足があってもいいのではないかな、と思いました。

 ICTを使った高校生向け募金箱は、「募金が何に使われているかわからないから、募金が少ない」と最初に言っていたのに、その解決策として大きなアトラクションを作るのはちょっと違うのではないかと思います。もっと、「何に使われているのかわからない」という問題にじっくり取り組むべきだったのではないかと思います。

 久留里線活性化のための広報についても、客数が減っているのはわかりましたが、「なぜ減っているのか」をきちんと説明されなかった印象です。また、「どれくらい増えれば成功だと考えるのか」が明確でないために、そのための手段が適切かどうかがわからなかったのが残念です。オリジナルキャラの「きはいさおちゃん」をTwitterで生み、フォロワーを増やすのはわかりますが、どれくらいの人との交流をするのか、が明確だともっとよかったな、と思いました。twitter.com

 Swayで魅せる袖ヶ浦高校の新しいサイトについては、「地味で見てもつまらない」という問題意識だったと思いますが、「誰が」「何の目的のために」見に来るのか、を想定すべきだったかと思います。中学生が学校訪問に来たときに付箋を使ってアンケートをとっているので、「これから袖ヶ浦高校を受験する子」向けのものだったと思うのですが、それならばそれに合わせてサイトを作った、ということを明確にしてほしいと思いました。

 解くべき課題を設定することが大事なのではないかと思います。今回のテーマだと、以下のステップがあればロジカルに繋がるかなと思うのですが、2と3にちょっと力点が行き過ぎていたかな、と思いました。

  1. イシューの発見(「問題はこれだと思います」)
  2. ソリューションの探求(「自分たちで設定した問題を解きました」)
  3. ポスターセッション(「これを見ていただければわかると思います」)

 大人でも難しい「イシューの発見」ですが、ここをしっかりやるかどうかで、その後のソリューションとポスターセッションの出来がまったく違ってくると思います。ぜひ、袖ヶ浦高校には、もっともっと高みを目指してほしいと思っています。

どんな授業だったかインタビュー

 生徒たちに、今回のポスターセッションについて、「どれくらいの期間でやっているの?」と訊いたら、「グループ分けからは2ヶ月くらいです」と答えてくれました。最初は「スポーツ」など大きなテーマで分かれ、そこからグループを組んで取り組むことを決めていきました、とのことでした。
 「どれくらい先生たちがアドバイスをくれるの?」と訊くと、「先生は、訊けば教えてくれます」という答えが返ってきました。つまり、先生方は手を離して、生徒たちを信じて見守っている、ということでしょう。最初のイシューを発見するところは、思考の型のようなところもあるので、思考ツールとしてワークシートなどを作ってある程度伴走して…という方法もあるかな、と思いつつ、そうしたことも検討した上で「自分たちでやらせる」という方法をとっていらっしゃるのかもしれないな、と思いました。

 生徒たちは、「“自分たちで協力すればできる”と思えました」と言っていました。この言葉が聞けるだけでも、協働して何かを創り出すことができる、という学校のビジョンは根付いているな、と思いました。

 #3へ続きます。blog.ict-in-education.jp


(為田)