教育ICTリサーチ ブログ

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中室研究室 ミニカンファレンスにゲスト参加(2015年12月24日)

 慶應義塾大学の中室牧子准教授の研究会が、冬期ミニカンファレンスをSFCでする、ということで、「見に来ませんか?」とゼミ生の方に誘っていただいたので、ゲストとして参加してきました。
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 中室研究会は、教育経済学をテーマにしたゼミ。報告の中にも「生徒・児童のレジリエンス教育」「教師の指導における子供の学力への影響」など、興味があるものが含まれていました。

 どの発表も、さまざまなパラメーターを設定し、因果関係や相関関係を探し、政策提言までを行う、というのが基本的なフォーマットでした。発表と質疑応答を聞いていて、ロジカルに考え、分析をしていると感じました。ですが、それがすぐに現場で「じゃあ、これでやってみましょう」となるかというと、そうはならない。現場とアカデミズムの間には、まだ距離があるな、と思いました。
 たとえば、以前「GRITを測る12問」というエントリーを書いて、そこでも「子どもにこの質問はわかるだろうか?」と思ったのですが、これも研究としてはそうかもしれないけれど、はたしてきちんと成果は出るのだろうか?と思ったことのひとつです。
 また、「教師の指導」をどのように指標化するのかな、というのもすごく興味深かったです。たとえば、「アクティブラーニングを導入している」「討論型授業をしている」など、何をもって「できている」と評価するのか、を教育経済学的にはどう定義し、計量するのかに興味がありました。

 ここを翻訳してくれる人がいるな、と思いました。分析手法としてはこういうことがあって、この分析手法を使うことで、こういうことがわかりますよ、というのをきちんと伝える人がいるのではないかな、と。
 分野は違うけれど頭に浮かんだのは、リバネスのこと。リバネスが、サイエンスコミュニケーターを育てて、最先端科学を一般の人たちにも届けたい、と言っているように、教育経済学の手法を教育委員会や校長先生をはじめとする学校の先生にも「ああ、そういうことですね!」とわかるように伝える、そうした翻訳ができる人がもっと増えていけば、教育が変わるためのひとつの有効な手段になるのではないかな、と。

 ぜひ、初等教育のところで研究をしたいという学生さんと、コラボしたいです。この日に聞いた発表であれば、「生徒・児童のレジリエンス教育」「教師の指導における子供の学力への影響」を研究している学生さんと、現場を一緒に見に行って、どういうパラメーターを学生さんたちが考えるのかを僕は知りたいです。
 さまざまなパラメーターを入れて仮説を立て、分析をし、どんな政策提言をしてくれるのか、とても興味があります。

 大いに刺激を受けました。「見に来ませんか?」と声をかけてくれた中川さん、本当にどうもありがとうございました。そして、中室先生どうもありがとうございました。

(為田)