教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

愛和小学校 × Ludix Lab「i和design冬期講習会」@東京大学レポート #5 社会(模擬授業)

 12月26日に、東京大学福武ホールにて、Ludix Lab公開研究会 愛和小学校 × Ludix Lab「i和design冬期講習会」@東京大学を開催しました。
 ランチョンセッションのあとの3時間めは、上田先生と下鶴先生による社会の模擬授業でした。
f:id:ict_in_education:20160104133925j:plain

日本の領海はどこまで?

 ロイロノート・スクールを使って、参加者の端末に日本地図が配布されます。そこで、手で、領海を書いてもらいます。このあたりまでかな?というのを書きます。
f:id:ict_in_education:20160104134020j:plain

 領海を書いたら、ロイロで提出してもらいます。上田先生は提出された参加者の地図を見ながら、どのように授業を展開していくかを考え、画面を見せながら説明をします。今回は、狭めに線をひいているものと、広めに線をひいているものを選び、並べて表示していました。それぞれ、「どうしてこれくらいと思ったのか?」を質問していきます。
f:id:ict_in_education:20160104134109j:plain

沖ノ鳥島を知る

 そうして領海について導入をした後で、日本の最北端、最東端、最西端、最南端について訊いていきます。その中から、日本の最南端である、沖ノ鳥島について注目してもらいます。
 Google Earthを開いて日本の最南端にある、沖ノ鳥島を見てみます。「沖ノ鳥島」と検索してみると、想像していたよりもずっと南の方に焦点があっていくことに、驚きます。
f:id:ict_in_education:20160104134205j:plain

 Google Earthで表示された沖ノ鳥島は、なんだか変な格好をしています。この、「あれ?」と思わせる画面を見せるのは、Google Earthならではだと感じます。紙の地図帳ではなかなかこうはいきません。
f:id:ict_in_education:20160104134248j:plain

 そして、どうしてこんな姿をしているのかがわかるように、「沖ノ鳥島の秘密」を見てみます。こうしてすぐに動画を見せられるのも、もちろんICTの良さです。地図だけで見るよりもずっと実感ができるし、興味を喚起することもできます。
www.youtube.com
f:id:ict_in_education:20160104134405j:plain

Google Earthで地形の特徴を見る

 沖ノ鳥島について知ったところで、今度は1人1台ずつ端末を持って、グループごとに以下の4つの地域(教科書に例示されている)のどこか1つをGoogle Earthで調べてもらいます。

 それぞれの地域は、地形的に特徴のあるところなので、その地域の特徴が出ていると思える画面を、スクリーンショットを撮ってほしいことを伝えます。「ここが特徴的だ」と撮影したスクリーンショットが、グループで4枚撮影できるので、グループのメンバーでベストなものを選んで、プレゼンテーションをしてもらいます。
 自分が撮影したものを、グループ内で見せて、なぜそうした写真を選んだのかを説明します。どの地域も特徴的な地形なので、どういうアングルで撮影するかなどによって、その特徴が際立つかどうかが変わってきます。
f:id:ict_in_education:20160104134603j:plain
f:id:ict_in_education:20160104134630j:plain

「どう見せれば特徴が伝わるか」は、子どもたちがやると「どういう写真なら、“おお、すげえ、ここ!”とびっくりさせられるか」につながって、おもしろそうだな、と感じました。

このグループは、山あいの集落だということがわかりやすいとプレゼンをしました。
f:id:ict_in_education:20160104134840j:plain

 他のグループは、多島海が特徴なので、海岸線をストリートビューで見て、向こう側に島が見える方がいい、という意見でした。
f:id:ict_in_education:20160104135011j:plain
 それぞれにこうした工夫ができるのが非常によかったと思います。

Google Earthツアー

 Google Earthではツアーを作ることができます。上田先生が、デモをしてくれたのは、社会の教科書(東京書籍)に写真が掲載されている九十九里浜などです。写真で静止画なだけでなく、上空から遠くまで見通せる九十九里浜を見ることで、子どもたちに強く印象付けられると感じました。

 最後に、ツアーのつくり方の説明をしました。Google Earth上で、「ツアーを録画します」というボタンを押すだけなので、ツアーでめぐりたい場所を検索して保存しておけば、いくつも見ることができます。
 たとえば、修学旅行の行き先をめぐってみることができそうです。また、参加している先生方からは、「参勤交代の道中をツアーしている学校もありますよ」という声もありました。たしかに、「ここの川は渡れなさそう」というのがわかっていいかもしれません。
 個人的には、何年か前に行った熊野詣では、いったい車がなければどうなっただろう?と思ったことがあったので、そうした道をツアーで作ってみたいな、と思いました。

フライトシミュレータ

 最後に、上田先生は、Google Earthでできるフライトシミュレータを紹介してくれました。空港から空港まで、飛ぶことができます(墜落もします)。例えば、利根川を下ってみるということもできます。
f:id:ict_in_education:20160104135216j:plain

 東京上空を飛んでみると、ビルなども立体表示で楽しいです。
f:id:ict_in_education:20160104135239j:plain

 YouTubeで「Google Earth フライトシミュレータ」と検索してみると、いろいろな動画を見ることができます。空港から空港へ飛んでいる様子などを見られたりもしますし、操縦の仕方を教えてくれる動画などもありますので、いくつか見てみるとおもしろいのではないかと思います。
https://www.youtube.com/results?search_query=google+earth+%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%9F%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BCwww.youtube.com

まとめ

 上田先生は、ふだんは算数を教えられているそうで、Google Earthも使ったことがなかったのを、松田先生から「Google Earthがおもしろいよ!教えなよ!」と今回の模擬授業用にふられて、そこからGoogle Earthを使い、どんなことができるのかを考え、授業設計の中に落とし込んでいったのだそうです。
 ここで、「そんなのできません」と言うのではなく、「やってみます」と引き受けて、授業案の中にまで落とし込んできた上田先生がすごいな、と思いました。触ってみて、やってみないとわからないことはありますから、最初から「NO」を言わない、というのは、先生という仕事に限らず、新しいことにチャレンジするには大切だと思います。そうした姿を、子どもたちも見ていると思いますし、なおさらではないかと思いました。
 上田先生は教師になって2年目という若い先生ですが、Technologyを活用することで子どもたちが「amazing!」と感じる授業が創れることに、改めてびっくりの模擬授業でした。

 #6へ続く。
blog.ict-in-education.jp


(為田)