教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

広尾学園 ICTカンファレンス2015 前編(2015年12月15日)

 2015年12月15日に、広尾学園のICTカンファレンス 2015に参加してきました。iPadMac BookとChromebookをコースごとに使い分け、ICT活用では本当に高い注目を集めている学校で、どの教室も見学者でいっぱいです。授業を最初から最後まで見たかったので、昨年参加したときに見た授業とは違うICTの使い方をしていそうなところを見学してきました。
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 1時間目は、中学1年生の理科の授業を見学しました。先生が、天気図をホワイトボードに投影しながら説明をしています。天気図をテレビやスマホなどで見ている生徒たちにとっては、プリントで配布された白黒の天気図よりも、見慣れているカラーの天気図の方が親しみやすく、授業の導入としてはこちらの方が興味喚起しやすいと感じます。また、教えたい内容にあった気圧配置である場合には、最新の天気図を見せると、図版とは違って同時性があるので、より興味を掻き立てられるかと思います。
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 また、最近ではネット上でのアーカイブ化も進んでいますので、そちらでさまざまな天気図を比較することもできます。台風などは「この前の夏に来たあの台風の天気図は…」と見せるのもいいでしょう。ひまわり8号リアルタイムWebで台風の時の雲の様子などと合わせて見せるなどもできます。
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 この授業では、ホワイトボードに天気図などを投影して、板書はその左右に行なっています。「プロジェクタがホワイトボードの中央に投影されると、板書が左右に分かれてしまうのが…」という声もよく先生方から聞きますので、このあたりは試行錯誤しながら最適解を探している段階かな、と思います。
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 以前訪問した国際医療福祉専門学校では、ホワイトボードを教室の側面に貼って、タブレット/PCからの情報は教室側面、板書は教室前面という教室にされていました。その方が、黒板をホワイトボードに変えるよりもコストがかかりません、とおっしゃっていました。
 このあたりは、先生方の教室での知見が最大限に活用されるべきところだと思います。


 授業を見学していて、「先生もICTをよく使っているのだろうな」と思う瞬間がいくつかありました。例えば、「“レーダー 気象観測”で検索して、手元にそれを表示しておいて、話を聴いて」という指示を先生がされていました。副教材の資料集を見ながら授業を聴いて、というのとやっていることは同じですが、タブレットなどを使ってこうした授業をしている学校は、まだそう多くはありません。1人1台タブレットがなければできないかというとそんなことはなく、生徒のスマホを教室で利用OKにしてしまえば、こうした授業はすぐにできるようになります。
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 また、気象衛星センターを説明していて、気象衛星には2つの軌道があるので、後で調べてみてください。「タブに残しておいたり、ブックマークしたりしておいて」と先生から指示が出ていました。こうした指示の出し方も、ICTを使って普段から情報収集をしている人だなあ、と思いました。こうした先生の情報への取り組みを見て、生徒たちがまた使い方を覚えていく、というのもあると思います。
 先生のICTの知識によって、ちょっとしたところではあるけれど、教え方の引き出しが多くなるのだろうな、と感じました。

 後編は、高校1年の現代社会の授業をレポートします。
blog.ict-in-education.jp


(為田)