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京都教育大学附属桃山小学校 授業訪問レポート No.3(2016年1月28日)

実況中継:メディア・コミュニケーション(MC)

 2時間目はメディア・コミュニケーション(MC)の授業です。今回は、3年生と4年生の学習の違いを3年生に伝えるために、グループごとにプレゼンテーションを準備していました。
 コンピュータを使った授業のプロジェクトとして、プレゼンテーションソフトを使っている学校は多くあります。しかし実は「プレゼンテーション資料をどう作るか」ということばかりに注力して、プレゼンテーションの中身がまとまらないまま、スライドにアニメーションをつけたり、背景を派手にしたり、というふうに流れてしまうことが多々あります。
そうならないためには、実はスライドを作るよりも前に、「どんなことを伝えたいのか」「どうやって伝えるのか」ということをしっかり考えておくことが重要です。

 4年2組では、グループでノートを作って、「何を伝えたいのか」を考えていました。マインドマップのようにいくつもテーマが書かれていて、それが要素として結びつくようにイラスト化されています。
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 児童がプレゼンテーションの中で伝えようと考えていることについて、木村先生はグループごとに対話の時間を持ち、チェックをしています。木村先生から「これとこれは、どうつながるの?」」「共通して伝えたいことは何?」とコメントをしていきます。この、スライドを実際に作り始める前の段階で、しっかり先生と児童が一緒に「何を伝えたいのか」について考えておくことが非常に重要です。
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 また、木村先生がグループに声かけをしていたなかで印象に残ったのは、「何に時間をかけるのか」ということについてしていたアドバイスです。テーマについてチェックを受けた後、各グループで絵コンテを作り、何ページ目に何を書くのか、ということをみんなで考えていきます。絵コンテを書くときにデザインに凝る児童がいると、「そこはコンピュータでデザインした方が、はやいところだから、時間をかけるべきではないんじゃない?それよりは、グループの中で、分担できるところはないかとか、そういうことを考えなくちゃダメ」というヒントを出していました。
 グループの中で、文章を書くのが得意な子も、デザインするのが得意な子もいるのはよくあることです。それぞれが自分の得意なところを組み合わせれば、グループとしての力を最大限に発揮することができます。ただ、そのためには、グループの中でコミュニケーションがなければならないのだ、ということを伝えることにもなっているのかな、と思いました。
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 木村先生と授業後に話をしましたが、「コンピュータでは、ちょっとしたことを知っているかどうかが大きい違いを生む」とおっしゃっていました。例えば、今回のスライドで写真を入れるときに、クラスで1年かけて撮影したたくさんの写真を一枚一枚見ていくグループもあれば、サムネイル表示にして日付を見てだいたいあたりをつけるグループがある。サムネイル表示にするだけで、写真を1枚1枚見ていく手間は大幅に軽減されます。こうしたちょっとしたことが役立つことがあるのだ、ということも、学習効果としてあるだろうと思っています。とても地味ですけど、情報活用スキルとしては、大事だと思うのです。
 その流れで、僕からは「タイピングも同じだと思います」と答えました。地味だけど、しっかりタイピングをできるようになることで、「思考の速度」と「出力の速度」が近づくのだと思っています。そうなってはじめて、コンピュータを使って思考を出力することにストレスがなくなり、授業の中で思考の道具として使うことができるようになるのだと思います。

 目的もなくコンピュータをただ使うのではなく、「3年生に、わかりやすく4年生の学習を伝える」という目的を設定することで、道具としてコンピュータを使うように設計がされているように思いました。
 プレゼンテーションのスライドを作る前に、みっちりと練り込んだ内容が、どんなふうになるのか、非常に楽しみです。

(為田)


No.4に続きます。
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