教育ICTリサーチ ブログ

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日本経済新聞 若者のパソコン離れ、「新たなデジタルデバイドに」(2016年3月13日)

 2016年3月13日付の日経新聞で、若者のパソコン離れ、「新たなデジタルデバイドに」 という記事がアップされました。インタビューに答えているのは、長年にわたって日本人の情報行動を分析している東京大学大学院情報学環の橋元良明教授です。

www.nikkei.com

 学校で授業をしていても、PCの操作が苦手だ、という子が多くなってきた気がします。「スマホで検索しているだけでOK」という声も聞きます。
 家庭でもPCを使わない保護者の方が増えてきていると思いますし、パソコン離れの状況はたしかにありそうに思います。
 学校だとコンピュータ教室のコンピュータを新しいものに買い換える時に、「タブレットにしたいと思うんです」という学校は実は多いのです。こうした状況について、橋元教授は答えます。

 ――今は初等・中等教育でも情報教育が幅広く実施されています。改善点はありますか。


 「中学校などの情報教育ではパソコンの代わりにタブレット端末を導入しているところも多く、タイピングなどの技能が十分に身についていないケースがある。タブレットの利用も決して悪いことではないが、もう少しパソコンを使ったマルチタスクなどを教えていく必要があるのではないか」

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 一方で、僕の仕事の場面では「PCを使えない」という人は少ない気がします。一緒に仕事をしている大手のコンサルティングファームの人のExcelなどのショートカットの使い方など、本当に勉強になります。PC操作は仕事の前提になることが多くて、生産性に直結しているのです。
 基本操作が速ければ速いほど、思考の速度(物事を思いつく速度)と出力の速度(考えたことを文字にしたりする速度)に差がなくなっていきます。そのひとつの例が、橋本先生が言う“タイピングなどの基礎技能”だと思います。こうしたスキルは生産性と直結しています。絶対にできるようになっておくべきだと思います。基本的な検索スキルとか、表計算とかも、ある程度できる方がいいと思います。

 ですが、こうした「仕事でどんなふうにICTを使うのか」ということを考えて機種を選んでいる/あるいはICT環境を作っている学校は本当に少ないです。

 「ICTを使ってどんな活動ができる子どもを育てたいのか」ということを考えて、機種を選ぶ必要があると思います。

 「予算がないから、環境が作れない。だから教えない」というのは根本的に方向が間違っていると思います。「これを教えたい。だから、この環境が必要だ。では、どうしようか…」と考えるのが正しい方向性です。
 いずれにせよ、どんなスキルを持って社会へ出て行くようにカリキュラムを設計するのかを考えることが大切だと、記事を読んで感じました。

(為田)