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教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

教材に使えるかも?: 財政健全化がテーマの2つのゲーム「日本の財政を考える」と「The Fiscal Ship」

ゲーム「日本の財政を考える」

 財務省が作ったゲーム「日本の財政を考える」というのがオープンしたということで、サイトにアクセスしてみました。

 アクセスすると、「財務大臣として財政改革を行い、2020年度までに基礎的財政収支の黒字化を目指す」ということが書かれています。
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 さっそくゲームをスタート。画面下に、予算の歳出が棒グラフで書かれている。社会保障費、すごいな…。で、右側には、歳出と歳入のバランスが書かれています。右上に、「目標達成まであと5.7兆円」の表示。うーん。
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 画面下部の「社会保障」「公共事業」「教育」など、それぞれの予算をクリックすると、説明が入り、増額するか減額するか、現状維持にするか、を選ぶことができます。簡単に減額もできるのですが、いったいそれによって、どんなふうになるのか、というのがいっさいゲーム側からリアクションがないので、「こんなに簡単なものじゃないだろう…」と思ってしまう。
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 とにかく予算を削っていけば、目標は達成することができます。「こんな簡単でいいの!?えー!と思わずにいられません。どうせこうしたゲームを作るのであれば、予算編成の大変さとか、多様なステークホルダーがいるからこその政治の難しさとか、そういうのを体験させなきゃ意味ないじゃないか、と思ったのでした。
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www.zaisei.mof.go.jp

 そう感じている間に、為田が所属しているLudix Labの代表で、ゲーム学習・シリアスゲーム研究者の藤本徹さんが、「財政健全化」をテーマにした日米シリアスゲーム比較、というエントリーを書かれました。

社会保障費を削って地方公共投資や教育費を削っても、老いも若きも国民が皆喜ぶハッピーエンド画面になってしまうのですが、実はこの画面の暗さによって、「どの選択でも日本の未来はバッドエンド」ということを表現しているようにも感じられ、自虐ネタともプロパガンダとも取れてしまう、味わい深いパロディゲームテイストの不思議な存在感を放っています。


「財政健全化」をテーマにした日米シリアスゲーム比較 | Anotherway

 ああ、なるほど。そういうことなのか…(笑)

アメリカの「The Fiscal Ship」もやってみた

 上記のエントリーで藤本さんが紹介されていた「The Fiscal Ship」もやってみました。

 タイトルを見ると、財団が作っているのですね。「ウィルソンセンター」は、ウッドロー・ウィルソン・センターなのだそうです。このあたりに興味ある方は、藤本さんの元ブログへぜひ。
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 説明も文字が少なめでわかりやすいです。シリアスに考えさせるのだけど、敷居は低く、間口は広い。
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 どんなゴールを実現したいかを選んでいきます。3つを選んだら、「Goal Conflict!」と、あちらを立てればこちらが立たず状態になっていることを教えられました。こういうのとても大事だと思います。結局、政治というのはこういうことの調整の連続だと思うからです。それを疑似体験できないなら、教材としては使えないのではないか、と思うからです。
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 ゲームの仕方は、YouTubeで見ることができます。1分ほどだから非常に簡単です。
www.youtube.com

The Fiscal Ship

まとめ

 18歳選挙権が実現して、主権者教育が広がっていくかと思うのですが、こうしたゲームも教材として使うことができるといいなと思いました。
 日本語でも英語でも、どちらでもいいと思うのですが、できるだけ事実に忠実に、それでいてとっつきやすい、でも、シリアス度合いを下げていない、というものがいいな、と思います。
 あの予算もこの予算も下げて下げて…としても、何も言われないゲームでは、政治を疑似体験できないと思います。財務省でなくとも、民間のゲーム会社でも、個人のゲームデザイナーでもいいので、良いコンテンツがどんどん出てきてくれればいいな、と思います。

(為田)

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blog.ict-in-education.jp