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教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

【対談記事】高校入試トップリーダース 桜丘高校 品田先生との対談記事メモ(2015年10月13日)

執筆 教育ICT

 少し前の話になりますが、桜丘高等学校の品田先生との対談記事をまとめていただく機会がありました。受験生向けの情報誌「高校入試トップリーダース」での巻頭特集だったのですが、そうした背景に関係なく、品田先生とじっくり「学校を変えていく視点」についてお話ができたのがとても楽しかったです。
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校訓の現代解釈から見えてきたもの

  • 数年前、「勤労と創造」という校訓を、生徒に伝わるよう現代的に解釈し直しました。「勤労」とは、地道にコツコツ学ぶことで教養を身につけること。一方「創造」は、今でいう“クリエイティブ”。生徒や教職員の創造性を刺激するためのツールとしてiPadが活用できると考えて導入に踏み切りました。(品田先生)
  • 「勤労」とは社会との関わり方。時代とともに変わる。iPadを持つことで、世界にもアプローチできる。(為田)
  • とはいえ、言うは易く行うは難し、で(笑)。(品田先生)
  • 20年、30年経った時に、ただのグローバルリーダーではなく、新しいリーダーシップが必要になると思う。本当に必要なリーダーとは、しっかりフォロワーシップを持っていて、ある場面では、チームの他のメンバーにリーダーを任せて、サポート役にまわることができる人材かもしれません。チームとして新しい価値を創造できる、そのためにリーダーシップとフォロワーシップを発揮できるリーダーのことを、桜丘では“クリエイティブ・リーダー”と位置づけ、育てたいと思っています。(品田先生)

クリエイティブ・リーダーに求められるもの

  • クリエイティブ・リーダーに求められる能力とは?(為田)
  • 大切なのは、相手に対する共感性です。相手の考えに共感できるか、そういう考えを認められるか、そこが大切です。もちろん授業でそういう体験をすることも可能ですが、本校では“MCシステム”という日直制度を導入しています。MCは、事前に先生と打ち合わせをしながら、“誰に何を伝えるのか”という連絡事項をしっかり把握した上で、どう伝えれば、相手に理解してもらえるのかを考えて伝える。一方、受け手側の生徒たちも、しっかり聞く姿勢を示し、返事をする。この“伝える・受ける”という関係性が、実はリーダーとフォロワーの関係であり、こうした経験を毎日繰り返すことで、リーダーとフォロワーの両方の立場がわかる生徒を育てています。(品田先生)
  • クラスという単位でしか学べないことがあるのは学校の強みですし、教育がオンライン化されても、その部分は学校が勝っている。これからはそこをもっと大切にしていかなければならないでしょうね。(為田)
  • 実は、教員にもいい影響が出ています。全クラスの取り組みなので、教員も研修を行う。すると職員会議なども変わってくる。教員が変わらないと、クラスもよくならないんですね。(品田先生)
  • 先生が一緒に変わっていく、学んでいくというのは印象的です。(為田)

普段づかいのツールとして

  • ADE (Apple Distinguished Educator)に認定され、日本e-learning大賞では、文部科学大臣賞を受賞されるなど、ICTを実践的に活用されていますね。(為田)
  • やっていることは最先端ではないし、単なる学力向上のために導入したわけではありません。敢えて全員に個人購入してもらっているのも、貸与という形だと、使わなければという意識になりがちだからです。1時間の授業の中で、それほど使う必要がないのに、せっかくだから、と使うことが目的化してしまう。でも、個人の持ち物として常にあれば、本当に必要な場面、効果的な場面で使うことができるし、使わなくていい時は仕舞っておけます。そういう自然な形で導入しようと心がけていたし、教員にも強く伝えました。iPad云々よりも、先生が本当にやりたかったことができるようになるところが、ICTの活用に最も繋がる部分なんですね。本校の場合、導入時に比べ、iPadを使う時間は減っているかもしれません。それは無理して使う必要がないと判断できるようになったからで、いい傾向だと思っています。(品田先生)
  • 普段づかいになっているんですね。その一方で、MCシステムのようなデジタルに関係のないところで、異質性の理解や活用法を積み上げているところは、学校でなければできない実践です。実はテクノロジーを追いかけることにあまり意味はなくて、むしろ異質性を受け入れ、人と繋がるためのツールとして利用する、というところをしっかり把握しておくことが大切なのでしょうね。(為田)
  • 10年後には学校に求められるものも変わっていくでしょう。わざわざ学校に集まって場を共有しているのに、一方的な講義をすることに意味はあるのかという疑問もあります。既存の授業のあり方から解放されれば、生徒はクリエイティブなことに時間を使えるし、教員も自分の研究やプライベートを充実させることができる。そうなれば、学校に通う意味が出てきて、そういう多様な個性から刺激を受けて、異質性に触発されながら、自らを磨くことができ、学校はもっと魅力的な場になるような気がします。(品田先生)
  • 先生たちは半歩先にいて、教え伝えるというより、導く、ファシリテイトするという、そんな学校をめざされているように思います。(為田)
  • ICTを導入したことでその兆しが見えてきました。ICTをうまく使いこなしている先生というのは、実は専門技術に詳しいわけではない。何が違うかというと、生徒に教えてもらおうという姿勢があるんです。自分は、授業でこういうふうに使おうと思っているんだけど、といった時に、“こんな使い方なら、うまくいくよ”という生徒の提案をフラットに受け入れられるかどうか。(品田先生)
  • 生徒に学びなさいというなら、先生自身も学ばなければならないわけで、ICTの導入は、生徒と先生の関係性をひっくり返し、垣根を取り払うんですね。(為田)

まとめ

 Googleカレンダーで検索してみたら、対談を行なったのは2015年10月13日でした。桜丘のラーニングコモンズで1時間くらい、いろいろ話をしました。フォトセッションの間は、なんだか2人でテレてしまったのを思い出します。
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 改めて読みなおしてみて、なかなか楽しい対談だったな、と思い出しました。もう手に入れることができないのではないかと思うのですが、いくつかのポイントを抜粋して残しておこうかと思います。読まれて、「あ、ここもう少し深く聞いてみたい!」という方は、品田先生か為田まで、ご連絡ください。

(為田)