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教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

私塾界リーダーズフォーラム 2016 in 東京 レポートNo.2(2016年7月4日)

講演・研修 イベント 教育ICT

 7月4日に、私塾界リーダーズフォーラム2016 in 東京の午後のプログラム、パネルディスカッションに参加してきました。演題は「ICTと人工知能(AI)の利活用で教育はどう変わるのか」。ご一緒したのは、独立行政法人日本学術振興会の安西祐一郎先生、株式会社COMPASSの神野元基さん、EnglishCentralの松村弘典さんでした。
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 豪華な顔ぶれ…。特に安西先生は母校の元塾長ですから。つり合っているのかしらと心配になります(笑)

 パネルディスカッションに参加しながら壇上でとったメモを公開します。非常におもしろくて、あっという間の1時間でした。
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最初の質問

 パネルディスカッションの最初は、モデレーターの私塾界の山田未知之さんによる、パネリストそれぞれへの質問からスタートです。

  • 【山田さん】
    • 全国の塾や学校の現場をご覧になっていて、ICTを上手く利活用している現場の共通点としてはどんなことが挙げられますか?
  • 【為田】
    • リーダーが明確に「ICTをどう使うか」と方向を指し示しているかどうかだと思います。
    • iPadを40台買ったんですけど、どう使えばいいですか?」という質問が来ます。
    • ICTはいろいろなことができます。
      • 利活用の類型を9つにまとめています。
        • 理解促進 空間図形、地学の星の軌道とか
        • 進捗、理解度の確認
        • 表現手段、思考手段の拡充
        • 学習環境の拡充
    • ICTはあくまで手段。ICTを導入することがゴールになると厳しい。
      • 「100点満点を取れなくてもいいじゃないか。とれるはずがない」という開き直り。
    • どういう環境を作るか。


  • 【山田さん】
    • EnglishCentralでは、英語学習をオンラインのみで完結させていますが、このシステムの特徴はどんな点にあるのでしょうか。また、このサービスを提供されるに至った原点をお聞かせください。
  • 【松村さん】
    • 学習者が英語という言語よりも、コンテンツそのものにハマり込んでいくようにする。
      • バスケが好きだから、バスケ選手のインタビューを聞いている。
      • 好き→たくさん聴く→どこが得意か、どこが不得意か、わかるようになる。それはICTのやれること。
    • 「自分でできることは自分でやろう」ということ。オンラインがオフラインを凌駕する、などとは違う。
    • 英語はコミュニケーションをとること。そこは変わらない
    • みんなで声を揃えて音読する意味ってあるんですか?

  • 【山田さん】
    • Qubenaには学習教材に人工知能を搭載して学習効率を向上させることを狙っていますが、人工知能はどのような点が優れていますか?
  • 【神野さん】
    • シンギュラリティに出会って、八王子で学習塾COMPASSを作る
      • 保護者には、「大工や消防士に憧れないでください」と言う
      • 成績が上がらないと生徒はやめる→伝えたいことを伝えられない
    • 集団指導にどうテクノロジーを入れていくのか
      • 集団指導を要素分解する
      • いったんそれをアナログで実証研究する
    • ウェアラブルで生活リズム、ライフスタイルにも踏み込んでいく
    • 2045年、どんな社会になっているか?
      • 99%の職業がなくなっていて、Living Costが0になっていて、VR漬けになっている?
      • 極める力を高めるアクティブ・ラーニング。

Qubenaのデモも交えて、「2045年にどんな社会になっているか?」という話に繋がっていくのが印象的でした。

安西先生からのコメントとそれに対する答え

 3人のパネリストがそれぞれ自己紹介的なコメントをした後で、基調講演を終えたばかりの安西先生からコメントをいただきました。それぞれのパネリストへのコメントと、安西先生への答えは以下のとおりでした。

  • 為田さんが言うように、「目的を明確にする」のは本当に大事なこと。
    • 何がやりたいから、ビッグデータを蓄積しないと、何をしているのかわからなくなる。
  • 松村さんが言う、「コミュニケーション力を磨く」という言葉自体が、非常に広い意味を持つ
    • コミュニケーション力の何が鍛えられるのか?を訊きたい
  • 神野さんについては、2045年のシンギュラリティの話もその通り。
    • 未来に生きる子どもたちのために、学びの場を変えていかないと大変なことになると思っている。
    • 幕末と同じだと思っている。
    • 数学ではいいと思うけれど、歴史や国語のコンピテンシーを上げていくのをどうやっていくのか、と思う。
    • 物理や歴史などの教材はどう作るのか、というのが気になる。

 これに対して、松村さんは、コミュニケーションを定義するのは難しいけど、「まず自分の考えをまとめる」「そして相手に伝える」、これをコミュニケーションだと定義しています、というコメントでした。これが定義するコミュニケーション能力です。

 また、神野さんは、「たしかに、数学と同じように国語とか歴史とかを評価するのは難しいと思っている」と認めた上で、「もしそれを、僕がやるなら、タブレットには入れない。VRに入れる。関が原の戦いは、どまんなかで見ればいいと思う。数学が、タブレットが適したからそれで評価しただけ。Qubenaは今後はVRが中心になると思う。」この答えは本当にかっこいいと思いました。技術に合わせて教える内容を変えるのではなく、教える内容に合わせて技術を持ってくる。当たり前ですが、なかなかできることではないと思う。

為田→神野さんへの質問

 ここで質疑応答の時間になったので、為田から神野さんへ「AIは、学校の先生の良き相棒になれるのでしょうか?それを認めてもらうには、どうすればいいのでしょうか?」という質問をしてみました。
 それに対する神野さんの解答は、「日本の先生はすごい!だから逆に、今までの教育がうまくいっているから、テクノロジーが必要ないのかもしれない。逆に、適当な先生が多い国は、テクノロジーを受け入れられる。日本の先生方が、すごいからこそ、プライドや文化が邪魔をするのでは?」というコメントをもらいました。

フロアから質問

 また、フロアからも、「学習塾はこれまで、学校より効率よく、教えてきたと言える。ICTやAIの導入で、課題さえしっかり発見できれば、原因を見つけて再学習できる。知識技能は個に落ちるのだと思いますか?」という質問をいただきました。

 為田からの返事としては、以下のようなことをお答えしました(と、思います)。

  • 先生は、どのような場を設定するかだと思う。
  • 先生は、ICTを通じて、より質の高いコンテンツ(授業動画に限らず)と比較されるようになる。そのときに、先生が学校という場、塾という場ならではの価値を提供できるか。
  • ただ伝えるのであれば、「上手に伝えられる人はたくさんいる」という事実を知ること。
  • 学校や学習塾というコミュニティをファシリテイトする力。

 1時間で全然話したらなかった…。いろいろな議論のポイントが出てきて、非常におもしろかったです。神野さんと松村さんと、それぞれにテクノロジーを使って教育をバリバリ変えている人たちなので、逆にバランスをとるべく、教室という場の大切さを話せたかな、と思います。続きをまた話したいな、と思いました。

 自分のノートPCに残っているメモと記憶の記録的に書いています。勘違いや抜けなどがあれば、それは為田の責任です。ご指摘いただける方がいらっしゃれば、大変ありがたいです。

(為田)