読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

日本教育工学会SIG-04ワークショップ「アクティブ・ラーニングと学習環境デザイン ~主体的・協働的な学びを誘発する空間とICT」レポート No.1(2016年7月31日)

 東北学院大学の稲垣忠准教授にご紹介いただいて、2016年7月31日に開催された日本教育工学会SIG-04 教育の情報化の第5回ワークショップ「アクティブ・ラーニングと学習環境デザイン ~主体的・協働的な学びを誘発する空間とICT」に参加してきました。

 プログラムは、以下のとおりでした。(参考サイト:日本教育工学会―SIG活動

10:00 開場
10:30 開会あいさつと本SIGの紹介 豊田 充崇(和歌山大学
10:45 イントロダクション Get Activeとは?稲垣 忠(東北学院大学


■ Get Activeのジグソー読みに挑戦
11:00 エキスパートセッション
 Get Activeを,参加者で章を担当して読み,新たな気づき,疑問点,日本との比較など気づいたことを書き出し,同じ章を読んだ人と共有します。ジグソー学習のエキスパート・グループに相当します。


12:00 ランチセッション 
 昼食を摂りながら,交流します。


13:00 クロストークセッション
 午前中のエキスパート活動に続くジグソー活動として,各章ごとで学んだことを発表し,共有し合います。


14:00 コーヒーブレイク


■ アクティブ・ラーニングを支える学習環境とは?
14:15 トークセッション
 Get Activeの感想と関連する話題提供を,アカデミック,教育現場,企業それぞれの立場から語っていただきます。登壇者は小柳和喜雄氏(奈良教育大学),佐藤喜信氏(内田洋行),米田謙三氏(羽衣学園),司会進行は藤川大祐氏(千葉大学)です。


■ クロージング
16:15  小柳 和喜雄氏(奈良教育大学)より,本日のまとめとアクティブ・ラーニングと学習環境デザインに関するミニ講演を行っていただきます。


16:45  まとめ 今後のSIGの取り組みについて

イントロダクション Get Activeとは

 会場となっていた内田洋行の新川本社にあるユビキタス協創広場 CANVASに到着すると、受付のところで「グループはDです」と伝えられ、Dのテーブルに着席します。そして、さっそくプログラムの紹介に入りました。
 この研究会は、参加対象者が「教育関係者・研究者・学生・教育関連企業等」となっています。が、もともとが学会なこともあり、アカデミックな議論ががっつりと行われたという感想でした。こうしたアカデミックな議論は、「それ、何ですか?」と訊きたくなるようなことがあったり、ディスカッションスピードが速すぎてついていけなかったり…ということもありますが、それでも、こうした場に参加できることは本当に勉強になります。

 最初に、稲垣先生からGet Activeとは何か、という話がありました。Get Activeは、ISTE(International Society for Technology in Education)がIntel社とSteelcase Education社の支援を受けて刊行したガイドブックとのことです。
f:id:ict_in_education:20160926101013j:plain

 Get Activeの原文は、k12blueprint.comにて全文を読むことができます。9月26日現在のリンクは、こちらです。
f:id:ict_in_education:20160926101129p:plain

エキスパートセッション 自分で読む

 いよいよエキスパートセッションのスタートです。さっき説明のあったGet Activeの翻訳をした人たちが、各グループにいて、その人も交えて翻訳版をみんなで読み、感じたことを語り合う、というのがエキスパートセッションです。Get Activeの章立ては、以下のとおりになっています。

  1. 未来の学びの空間
  2. デジタル時代の教育と学習
  3. 教室を見直す
  4. あなたの教室を見直そう
  5. 未来に向けた学校
  6. 学びのためのデジタル空間
  7. アクティブ・ラーニング空間の計画
  8. 終わりあるいはほんの始まり?

f:id:ict_in_education:20160926101246j:plain


 これを、それぞれで読んでいきます。僕の担当は5章「未来に向けた学校」でした。僕の参加したグループでは、つくば市の小学校の先生、宮城県の小学校の校長先生、Web企業の方、大学の研究者の先生が2名、僕の6名でした。
 最初に、5章を翻訳された徳島文理大学の林向達先生から、見どころとして、「5章は学校全体のことを書いているということと、1.建築、建物のデザインなども含まれる。2.明日からというよりは、もう少し先の話だということ。3.空間がとても大事なんだ、ということ。という3つのコメントがされました。

 そして、みんなで読んでいくエキスパートセッションに入っていきます。エキスパートセッションは、「A 発見したこと」「B 疑問点」「C 日本で参考にできること」「D 議論したいこと」の4つの観点でメモをとっておくようにワークシートが用意されています。
f:id:ict_in_education:20160926101431j:plain


 まずは、僕が自分でとったメモを公開したいと思います。

A 発見したこと

  • 学校デザイン、建築、インフラなども含めて、目的を持つべきこと。
    • 「どういう学校にしたい」→デザインを起こす。デザインの評価ができる。
    • 同志社中学校・高等学校がやっている教科センター方式とか、そういう意味でいいな、と。


B 疑問点

  • 「デジタル時代の学校建築~テクノロジーインフラ」の流れ、おもしろい。
    • クラウドまで考えて、クラウドを学校デザインの延長として考えられるかどうか。
      • クラウドにのせるべきもの/のせるべきでないもの
      • どこまでが学校のものでしょう?
        • 児童生徒の作品
        • 先生の板書
        • 先生の授業動画
        • 授業の様子を撮影したもの / すべてが学校の財産だろうか?
      • クラウドによって、「生徒が1人の教師に「専属」しないようになるかも」


C 日本で参考にできること

  • 「テクノロジーを保護者とコミュニケートし関係を築くことに利用する」
    • PTAとか、ほんとこれな!
  • コミュニティを招き入れるためのデザイン


D 議論したいこと(Bが気になっているから同じになってしまった!)

  • クラウドまで考えて、クラウドを学校デザインの延長として考えられるかどうか。
    • クラウドに乗せるべきもの/乗せるべきでないもの
    • どこまでが学校のものでしょう?
      • 児童生徒の作品
      • 先生の板書
      • 先生の授業動画
      • 授業の様子を撮影したもの / すべてが学校の財産だろうか?
    • クラウドによって、「生徒が1人の教師に「専属」しないようになるかも」

 また、第5章の内容だけだと、学校全体のデザインの話だったので、「教室での学習はどう変わるの!?」というところは書かれておらず、他のところでやるのだろうな…とメモしてあったのは、午後のセッションで話がでるかと思われます。

  • ICTを使うようになることは、「学び方」の選択肢を増やすこと
    • 机とかもそう。大きく広ければ、紙とデジタルを同じように広げられる。
    • だからこそ、行ったり来たりができるようになる。
    • 学びの単位として、何が最小単位なのか?
    • デジタルでメモをとる、紙でメモをとる、両方を認めたい→そのためには?

エキスパートセッション グループ内で共有する

 各自の読み込みが終わると、グループ内で共有をしていきました。ここまではけっこうあっという間でした。
f:id:ict_in_education:20160926132200j:plain

 みなさんから出たポイントで、自分でメモを取ったのは以下のような感じでした。みな、それぞれに興味分野が違うので、少しずつポイントがずれていて、それがおもしろかったです。

  • N先生
    • 廊下の活用、が興味深い。現在の学校では、廊下に対する意識がないと思う。導線、掲示物を貼る場所。
    • アクティブ・ラーニングを取り入れた空間だと思った。
    • 社会に開かれた学校という視点でいうと、社会のコミュニティを招き入れるデザインというのは大事。
  • E先生
    • デザインされた物理空間なら、学習体験をデザインすることができる。
      • 箱物があれば、アクティブ・ラーニングができるのか?
      • 指導者の考え、力量が入らないと、空間を活かした活用が出来ないんじゃないかと思った。
    • 収納という考えはおもしろい。学校には収納という考えはない。家でも、重要なのは収納だな、と思った。
    • 壁や間仕切りを取り除いて、もっと光を取り入れる、というのはびっくりした。
      • 音によって学習が妨げられることもあるな、と。
    • コミュニティスクールの実施校となる。
  • R先生
    • ケーススタディの事例がおもしろい。文化的に違うと思った。
    • 今の日本で言うと、空き教室があるところもあるので、そこをデザインしてみるというのもあるかもしれない、と思った。バラエティに富んだ使い方はできないか?
    • 「学校を作ったときって、学校の取扱説明書ってあるのだろうか?」と思った。
  • Sさん
    • アメリカ人は、古き好き時代のSONYに学校をしたいのかな、と思った。
    • これをやると、二極化していって、それでいいのかな、と思った。
    • デジタルネイティブについていろいろ書かれているのは、「アメリカ人やっているな」という感じ。
    • 「持続性」のところ、一人の生徒が先生に専属しないようにしている。
  • F先生
    • 全体的に印象深いのは「つくる」「メイカー」というところ。
    • 日本でのアクティブ・ラーニングは議論して発表するというのがメインだが、「つくる」が大きい。
    • 学校を立体教科書にする、というふうに書いてある。
    • いじめ防止(ロッカーやトイレが見やすいところに置かれている)
      • ゆるやかに見守ること、って大切。

 自分的におもしろかったのは、「収納」とか「掲示物」ということの考え方。そこから、「それってクラウドにのせるには?」という自分の問題意識と重なった部分もあったので。エキスパートセッションって、こんな感じになるのですね。他者の視点も取り入れることができるのがおもしろい。ポイントがいい具合にずれてくる題材だといいですね。

 No.2に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)