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教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

日本教育工学会SIG-04ワークショップ「アクティブ・ラーニングと学習環境デザイン ~主体的・協働的な学びを誘発する空間とICT」レポート No.4(2016年7月31日)

 東北学院大学の稲垣忠准教授にご紹介いただいて、2016年7月31日に開催された日本教育工学会SIG-04 教育の情報化の第5回ワークショップ「アクティブ・ラーニングと学習環境デザイン ~主体的・協働的な学びを誘発する空間とICT」に参加してきました。

クロージング

 プログラムの最後、クロージングには、小柳和喜雄先生(奈良教育大学)から、一日のまとめとアクティブ・ラーニングと学習環境デザインに関するミニ講演をしていただきました。
 以下、ミニ講演でのメモを公開いたします。午前中から読んできた「Get Active」について、特に“関連研究におけるGet Activeの位置について”のミニ講演となりました。アメリカのISTE(International Society for Technology in Education)についての紹介です。

  • 「Get Active」がアメリカの中でどういう状況なのか、ということを述べる。
  • ISTE 2016が6月の発表の場に居合わせ、「ISTEが変わった」と思った。それを説明したい。
    • 2007→2016で、どんなふうに変わったのか?2007から2016に何がどう引き継がれたのか。
    • 「Get Active」は、「こういうことも提案してみようか」ということが含まれている。だから、そのまま読むと「できるの?」というようなことも書かれているが、背景には、ISTE Standardにもとづいているということがある。ISTE Standardは、10万人くらい会員がいて、研究者と先生方が集まっている。今年はデンバーで3万人くらい参加者がいた。ISTEは、アメリカの多くの州で採用されている。
    • ISTE Standardを取り入れながら、授業などを考えようとしている。
  • ISTE Standard for Studentsは最初、1998年に出ている。その後、2007年に改訂され、2016年が3回めの改訂になる。
    • 6月に改訂となったが、1998と2007の関係はそんなにドラスティックな改訂ではなかった。だが、今回は大きな改訂。今日、「Get Active」のなかで子どもたちに期待されていることが、2016の中に入ってきている。つながりはあると思う。
    • Get Activeは、教員にこういう力を求める、と書かれているので、本当は「for Teachers」となるべきもの。ISTEでは、これに関わるものとして、ISTE Standards for teachersは2000年、2008年に出ているが、来年6月に新しいものが出る
    • その他に、For administratorsがある。教育長など管理者のためのスタンダード、同環境を整えていくか、どうリーダーシップを発揮していくか、というもの。
    • この他にも、technology coachesというのもある。以前は、リーダーとファシリテーターに分かれていたが、合体して「コーチ」になった。computational skillなどが出てきて、それに関わり、コンピュータサイエンスの専門家がどうサポートしていくか、どういった期待がされているか、というのが2011年に出ている。
  • こうした一連のスタンダードがある。
    • 「GetActive」だけ読むとあらが多いが、後ろ側にある全体を読むと、学校とか変わってそれぞれどう務めを果たすのか、どういった環境が整っていなければいけないのかという条件のことなどが書かれている。
    • 先生向けにはアセスメントブックも配布されている。
  • ISTE for teachersとUNESCOのICT Competency Framework for Teachersとの対応関係も、しっかりISTEでは見ている。ISTEは教員のことを言っているが、UNESCOの方はより広く、学校運営なども含まれたもの。

 ISTE Standards for Students、実際に資料として配布していただいたので、ものすごく楽しく読みました。こうして「どんな子どもを育てるのか」、そのために「先生はどんなスキルを持っている必要があるのか」ということをしっかり規定してあることは大切だと思います。
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www.iste.org

 実際に、ISTE Standards for Studentsをサイトで読むこともできます。(http://www.iste.org/standards/standards/for-students-2016)サイトにアクセスすると、全部で7つの項目が表示されています。
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 クリックすると、それぞれのStandardの下に設定されているSub-Standardsが表示されるようになっています。
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  • こうした動きの中で、一つ引っかかっているのは、2009年から動いているCommon Core State Standards
    • これがアメリカでいう学習指導要領(それまでなかった)
    • できあがり、だんだん教科も増えてきた。
    • ISTEとしては、Get Activeのような授業をしたくても、「Common Coreとどういう関係があるの?」と言われるようになってきている。「それで学力保証できるのか?」と言われる。
    • Common Coreは多くの州で採用されている。

 こうして行政と研究者と先生方が一体となって環境を作っていく様子は素晴らしいと思います。どんどん広がっていけばいいと思います。もちろん、そううまく行っていない学校もたくさんあるでしょうが、少なくともこうしてStandardがある点はいいかな、と思います。

 1998年、2007年、2016年とどのようにISTE Standards for Studentsが変わってきたのか、ということについても、小柳先生は話してくださいました。

  • ISTE Standards for Students
    • 1998のときには、基本操作と概念が、Standard1になっていた。力を入れていた。
    • そこから、テクノロジーそのものの使い方から、「創造性」や「革新」を目指し、学習スキルをつけていくことをどうアシストしていくか、というふうになったのが2007。
    • 2016になると、大きく言葉が変わってきている。
      • 「デジタル・シチズンシップ」はそのまま残っている
      • だが、ほかのところは随分言葉が変わっている。
      • 例えば、基本操作はなくなっている=「大事だが、埋め込まれている」ということ。
    • 対応表を小柳先生が作成。
      • 色が塗られているところは、継続されているもの。
      • 対応しているところに◯印がついている。

 こうして、年をおって見ていくことで、どのようなスキルが重視されていたのか、それを身につけさせるためにどのような手法を考えていたのか、ということがわかると思います。ISTEのサイトを見て、適切な訳語を考え、各学校の状況に合わせて考えてみる、ということをしてみたいな、と感じました。

 ISTEがfor Teachers, for Studentsとして細かくさまざまな規定をしていますが、これに合わせて「Get Active」を読んでいくことで、授業だけでなく、教育が行われる空間そのものも考え、見なおしていこうという提案をする位置づけになっていると思いました。どのような学びを実現したいのかによって、それを実現しやすい環境も変わってきます。「Get Active」を読んで、授業設計と共に空間設計も合わせてされるケースが増えていけばいいと思いました。また、自分も授業を見るときにカリキュラムと合わせて空間設計についても着目してみようと思いました。

(為田)