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ニュース「財務省 公立小中学校の教職員 4万9000人削減案」~教育経済学に期待すること

 「財務省 公立小中学校の教職員 4万9000人削減案」というニュースを読みました。

来年度予算案の編成に向けて、財務省は公立の小中学校の教職員の定員について子どもの数が減るのに伴い、今後10年間でおよそ4万9000人を削減する案をまとめ文部科学省に求める方針を固めました。一方で、文部科学省は定員の充実を求めていて、来年度予算案の編成の焦点になりそうです。


財務省少子化の進展で、今年度の959万人の児童・生徒の数が、10年後の平成38年度には840万人になり、およそ119万人減る見込みになっていることを踏まえて教職員の定員の削減を求めることにしています。


「財務省 公立小中学校の教職員 4万9000人削減案」

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 昨年も同じようなニュースが出て、同じようなことを考えたのですが…。財務省文部科学省の議論が、噛み合ってないというか同じ土俵の上にないように思っています。

 財務省は「数字」で考えています。子どもが減ったから先生を減らしてもいいはず、と。文部科学省は「感情」で考えています。未来のために、子どもたちに良い教育をするために先生は必要、と。でも、実はこれは両極で、ほしいのはこの真ん中だと思うのです。
 財務省が言うように、単純に数字だけ見て減らせばいいものではありません。でも、今の財政状況でいくらでもお金が出ていくような教育政策は難しい。だから、無駄を減らす努力は当然すべき。ただ、何を減らすかを人数でだけ測っているのがまずいのだと思います。

 一方で、「教育は数字で測れるものではない」という反論もよく見かけるのですが、僕はこれにもちょっと違和感を感じます。
 先日の朝日地球会議のプレゼンテーションの中でも言ったのですが、学校(というか教育)のすべてを数字で測れる/測れないという話ではなくて、正しくは「学校(教育)には、測れるものもあるし、測れないものもある」ということだと思います。測れるものをしっかり測って、必要な対策をしてほしい、というだけ。測るものは、学力でもいいと思いますし、卒業後の進路でもいいと思います。教育経済学が指標として出しているように、卒業後の逮捕歴や離婚歴や就職率や…広げようと思えば、いろいろなものが測れると思います。これを測ったうえで、無駄な取り組みがあるのならば、そこは削減すればいいではないですか。
 こうした部分をこそ、文部科学省は“測る”べきだと思います。測って、エビデンスとして予算削減したい財務省に対して、見せればいいと思います。

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 僕が教育経済学の分野に期待しているのは、こうしたことをできる術を持っているのではないか、と思っているからです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161102/k10010752891000.htmlwww3.nhk.or.jp

(為田)