教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

田園調布雙葉中学校・高等学校 授業レポート(2016年11月16日)

 11月16日に田園調布雙葉中学校・高等学校の高校3年生の情報の授業に、ゲストティーチャーとして参加させていただきました。6月末に代表取締役に就任したときに、かねておつきあいのあった田園調布雙葉中学校・高等学校小林先生から、「社長就任記念に授業をやりませんか?」とオファーをいただき、「ぜひやらせてください!」とお返事をしたのでした。
 引き受けた理由は2つです。1つは、“良い記念になると思ったから”。もう1つは、小林先生がする“生徒たちに考えさせる授業がとても好きだから”です。今回も、「どんな授業にします?」とミーティングのときに質問され、やりたいことを大きく話をすると、それを小林先生が磨いてくださる、というような感じでした。

 小林先生と一緒に考えた授業のテーマは、「教育の理念と、その実現のための教育システムについて、目標と手段を考え分けて教育について語り合いたいです」という僕の言葉を実現冴えてくれるものになりました。
 田園調布雙葉の校訓について、卒業を間近に控えた高校3年生たちがどんなふうに考えているのか、ワークシートを使って書いてもらいました。
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 最初に、為田の自己紹介の意味も込めて、朝日地球会議のときにしたプレゼンテーションをダイジェストで行いました。そのなかで、「教育の理念と、その実現のための手段としてICTを使っている事例」を説明しました。

 その後、ワークシートを配布して、各自、ワークシートに記入をしてもらいます。小林先生の授業では、大日本印刷の「DNPデジタルペン授業支援システム OpenNOTE」を使っています。
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http://www.dnp.co.jp/works/detail/10111269_18925.htmlwww.dnp.co.jp


 配布したワークシートに、デジタルペンを使って書き込むと、生徒が書いたものを教員画面ですべて見ることができます。全員のワークシートの中のある部分だけを取り出して並べて比較することもできます。また、例えば2人の生徒のワークシートを並べて比較することもできます。
 ワークシートに生徒が書き込んでいる間に、小林先生と2人でどんなことが書かれているのかを確認して、授業後半の進め方について話し合いをしました。
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 デジタルペンを使うことの良い点は、表現が圧倒的に自由であることだと思います。生徒たちが書く文字、文字に添えるコメント、文字を補足するイラストや記号なども、すべてそのまま再現することができます。色も簡単につけることもできます。表現を豊かにできるからこそ伝えられることもあると思います。
 もちろん、例えばロイロノートスクールなどを使っても同じことを実現できますが、iPadを1人1台配備するのが難しい場合、こうしたデジタルペンを活用する方法は、一つのソリューションになりえると思います。


 最後に、感想を書いてもらいました。感想はすべてオンラインで書いてもらっています。すぐに印刷してもらい、またその後でデータでももらいました。

  • 教師の望む学校、生徒の望む学校、第三者(親とか世間)の望む学校の理想像がかなり違うので、これからどう教育を変えていくのかはとてもむずかしい課題だと思った。私は今日学んだ、今とは違った教育に変わると良いと思った。
  • 時代にあった教育がいることには非常に共感を覚えた。しかし理想の教育をこれと決めて一律化することは正直疑問。色々な方法を学校で試して、結果的によかったものが生き残る、という形でいいと思う。自然に時代遅れの学校は淘汰されていくんじゃないかと思った。
  • 私も教育の変化のなさに前から疑問を感じていたので、同意することが多かったのですが、そのぶんこれからどういかしていけばいいかわからないというか、じゃあ誰が変えるの?ということが多かったです。
  • 為田さんの話はほんとにおもしろかった。話してる内容が納得できてディスカッションとかしたら楽しそう。タブレットは正直よくわからない。使いたいわけでもないし使わせたいとも思わない。でも、小学生に使わせるとおバカが増えそうだし全部をタブレットにしたらダメだと思います。字を書くことや紙を使うこともきっと意味があると思う。

 いいですね。ディスカッション、してみたいです。一度やってみたらどうですかね。

 その他にも、「校訓にも建前が多いのではないか?」という話が授業中に出たときに、「授業の感想もだいたい建前っぽい」というやりとりがあったので、こんなおもしろい感想もありました。ありがとうございます。こういう感想、とても好きです。

  • 私は物事をそのまま受け止めてしまうことが多く、今まで疑問に思うことが少なかったのでこのような授業を受けられてためになりました。(嘘じゃないです!!)


 また、今まで考えたことがなかった、という生徒による感想も非常に自分にとっては意味のあるものだと思いました。こうした人たちも巻き込んで、「教育を変えていかなくては!」と動き出してもらうために、どんなことができるのかを考えていきたいと思いました。

  • 今までに考えたことのなかった議題だったので新鮮な感じがしました。
  • 私はあれだけ文句を言っていたけど、正直教育に興味がないです(笑)でも今回の講義でいろいろ今の日本の教育の仕方を知れて面白かったです。私は絶対に先生になりたくないけど未来の子供と未来の日本のために教員の人は頑張ってほしいと思っています。
  • 私は教育について本当に興味がないということがわかりました。ですが、教育について改めて考え直すのは意外に楽しかったです。

 こうした機会をくださった、小林先生、生徒の皆さん、どうもありがとうございました。

(為田)