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教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

近未来教育フォーラム2016 基調講演レポート(2016年11月24日)

 54年ぶりに11月に都内に雪が降った11月24日に、御茶ノ水ソラシティで行われた近未来教育フォーラム2016に参加してきました。近未来教育フォーラムは今年で7年目。毎年楽しみに参加しています。毎年、“半歩先のテクノロジー、半歩先の教育”をテーマにして開催されていて、2014年は「Life in Data」と題して、ビッグデータをテーマにしていました。2015年は「Powered by AI」をテーマにしていました。そして、今年のテーマは「Daily Life with Super Technologies」でした。
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 基調講演は、「CYBERDYNE(サイバーダイン)」の設立者である山海嘉之氏によるものでした。プログラムから内容を抜粋します。

革新的サイバニックシステム最前線
~未来開拓型人材が社会を創る~


装着することによって人の身体機能を改善・補助・拡張・再生する世界初のサイボーグ型ロボット「ロボットスーツHAL(R)」を開発し、最先端ロボットやサービス等の研究開発・製造・販売を行う企業「CYBERDYNE(サイバーダイン)」の設立者である山海嘉之氏に、テクノロジーがもたらす人類社会の進化と、未来開拓型人材の育成についてお話を伺う。

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 以下、講演中のメモを書き起こします。ご参考に慣ればと思います。サイバーダインといえば、ロボットスーツHALであり、その紹介かと思っていましたが、もっと幅広い話になりました。

ソーシャル・イノベーション

 まず、ソーシャルイノベーションの話からスタートです。Society5.0というキーワードで、社会(Society)がどんなふうに変わってきたかを見ていきます。

  • Society1.0 Hunter-Gatherer Society
  • Society2.0 Agrarian Society
  • Society3.0 Industrial Society
  • Society4.0 Information Society(today)
    • スマホで経済活動ができる社会。
    • 変わったのではなく、内包している。
    • Industry4.0、第4次産業革命
    • 社会そのものを創っていく活動が大事。
    • 情報を扱うのの、最後は脳。
  • Society5.0
    • 社会の課題を解決する方法
    • あるべき状態を考える。どんな社会を作るべきか考える。
    • そこから現在を見る。
    • 課題をクリアにして、その課題を解決していく。
    • サイバニックシステム:サイバニックインタフェース/デバイ
      • 人に対する情報的インタラクションと物理的インタラクションの融合複合

 こうして社会がどのように変わってくるのかをレビューするのは大事なことだと思いました。私塾界のパネルディスカッションでもキーワードにあがっていた、「第4次産業革命」についても触れられました。


 そのうえで、Society5.0に必要な人材とは、どんな人材であるかを考えます。

  • これまでの「追いつき追い越せ型人材」ではダメ。必要なのは→未来開拓型人材(指導者・研究開発者)
    • 人材のほとんどは、社会に出て働く。
    • 人や社会のために何をすべきかを自ら発想し行動する。ここは手探り。
    • 人間観、倫理観、社会観が必要。
  • 21世紀の人間支援型テクノロジー(=人間機能の拡張・増幅・補助を実現するテクノロジー)
    • 脳、神経科学などだけではない。
  • 第5期 科学技術基本計画
    • 5年毎に策定されている。
    • 5期目となる今期は、情報技術など複数の技術を組み合わせ、新たな製品やサービスを生み出すための研究「Society 5.0」を重点的に進めることなどが柱。

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 科学技術基本計画などは、じっくり読んでみたことがなかったので、この機会に読んでみました。当たり前ですが、文部科学省の他の政策や文書とも繋がっています。こうしたグランドデザインが現場にどれくらいきちんと伝わるか、グランドデザインからその手段までどうやって落としていくか、ということが課題だと思います。

社会変革が起きる

 そうした時代に、ロボットとはどんなものか。山海さんは、ロボティクス、AI、バイタルなどの話を紹介してくれます。自分で「ロボット」というのを固定概念で捉えていたな、と感じました。

  • 「サイボーグ型ロボット」は、埋め込まなくてもいい技術。
  • 服の上から心電図がとれる。→スマホのケースにする。
  • ソフトとハードの境界はなくなってきている。戦略的なチャレンジができるようになってきている。
  • 薬事法の改訂
    • 薬、再生医療…とそれぞれ独立に審査できるようになった。

 そのうえで、どんな人材を育てていきたいと思うか、どういう考え方をしてもらいたいか、ということを山海さんが語りました。この部分は、学校の先生方にも非常に参考になるのではないかと思いました。

  • 「学会に来ないとトレンドがつかめませんよ」と言う人がいるが、「学会に来ないとトレンドがわからないようではダメ」街を歩いていて、トレンドをつかめなければだめ。
  • 人や社会のことをまず考えなければダメ。自分のことでアップアップしていてはダメ。
  • チャレンジする人たちに、「骨は拾ってあげる」ではダメ。落ちそうなときに、パッと手を差し伸べられるような、セーフティネットが必要だ。
  • 人は教育ではほとんど変わらない。
    • 学ぶベクトルを変えるところに力を注ぐべき。物の考え方、在る状態にどうもっていくか、バックキャストの考え方。「リトル山海」を創っていくこと。できるだけ一緒に行動して、先に行動を予測して、「僕だったらどう行動するか、どう答えるかを想像してご覧」。

まとめ

 最初は、医療系だし、ロボットなども含めて、自分の興味分野と少しずれているのだろうかと思ったが、まったく反対で、まさに今の自分にとって聴いておく必要のある話題だったと感じた。ロボティクス、AIなどは、完全に人間と切り離されたものでなく、ソフトとハードの境目がなくなってきていくなかで、人がテクノロジーで武装をして仕事をするのは教育業界も同じです。
 医師と患者の間にロボティクスやAIなどが入ってくるのと同じように、教師と児童生徒の間にロボティクスやAIが入ってきた時、どんな教育環境ができるのか、そうした点を考えていくことは非常に大切なことだと思いました。

 じっくりと、考えていきたいテーマです。

(為田)