教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

東京都立石神井特別支援学校 「3Dプリンタを活用したオリジナルクッキー作り」(2017年3月3日)

 2017年3月3日に、平成28年度 教育の情報化推進フォーラムに参加してきました。その中のICT活用実践事例発表において、東京都立石神井特別支援学校の中田智寛 先生が発表されていた、「3Dプリンタを活用したオリジナルクッキー作り」をレポートします。
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 この実践の授業での活動と進行は、以下の通りです。

  1. 既製品の型を使用して、クッキー作りに慣れる(2時間×2回)
  2. 3Dプリンタを使用して、オリジナルのクッキー型を作る(2時間)
  3. オリジナルのクッキー型を使用して、クッキーを作る(2時間×2回)
  4. 卒業を祝う会で保護者とクッキーの会食を行う(3時間)

 最初は既製品の型を使いますが、そこから3Dプリンタでオリジナルのクッキー型を作るのが非常に面白そうだと思いました。この際、利用した3Dプリンタは、XYZprinting社のダヴィンチ Jr. 1.0だそうです。
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 オリジナルのクッキー型を作るために使ったアプリは、Cubify Drawだそうです。Cubify Drawを使うことで、iPad上で描いた線画をすぐに3D化することができます。
 Cubify Drawを使ってクッキー型を作るときには、生徒の状況に合わせて、活動を変えていたそうです。自分で絵が描ける生徒は、スタイラスペンを使用して、iPadの画面上に直接絵を描きます。画面に描く前にワークシートを使い、線画の練習をしてからiPadに絵を描いていったそうです。線なぞりができる生徒には、インターネットの画像検索を利用して自分の好きな物や形を選び、アプリに取り込んで、外枠をなぞって線画を描くという活動にしたそうです。また、線を描くのが難しい生徒には、生徒に選んでもらえる画像を用意して、生徒が選んだものを先生が線画を描いたそうです。
 このように、生徒それぞれに合わせた形で活動を設計することができるのが、ICTを利用する大きなメリットの一つではないかと感じました。
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 中田先生は、課題として、3Dプリンタでの印刷に時間がかかるため、授業時間内には全員分が仕上がらないことを伝えていたそうです。中田先生の実践では、この部分を、3Dプリンタでの制作工程を動画で撮影して提示をしたそうです。
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 また、アプリ「Cubify Draw」で3Dデータを作った後に、3Dプリンタにデータを転送、印刷するのに、データを抽出し、他のアプリでデータを修正するなどの過程が入ってしまうとのことでした。
 この部分は、「このような授業をしたい」ということを最初に明確に伝えられるエキスパートが必要かと思いました。教育のエキスパートの希望を叶えられるのは、テクノロジーのエキスパートであるべきであり、中田先生の授業をサポートできる外部とのネットワークができれば、解決する課題ではないかと思いました。
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(為田)