教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

Z会ブースミニセミナー「教育ICT活用のコツとは」@教育ITソリューションEXPO(2017年5月17日)

 2017年5月17日に教育ITソリューションEXPO(EDIX)のZ会ブースにて行われた、草郷雅幸さん(Z会 執行役員/ICT事業部長)のミニセミナーを聴いてきました。

Z会の教育ICT活用

 Z会は1931年創業の、通信教育サービスを提供する企業です。通信教育だけでなく、出版(「速読英単語」は大学受験のときに使っていました)、教室なども行っています。対象も、幼児・小学生、中高生、大学生・社会人まで広がっているそうです。
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 かつては「郵送で問題が届き、問題を解いて郵送で提出し、添削が返ってくる…というふうでしたが、最近はオンラインでも行えるようになっているそうです。オンラインかつ遠隔での個別指導は、教育ICTを活用してこそできる体験だと思います。
 Z会では、タブレットを活用した学習の取り組みを2012年からスタートをしているそうです。

 草郷さんは、「教育ICTは電子黒板、デジタル教科書、PC、タブレット、インターネット…そうしたハードだけではない。ビッグデータやAIなども含めての教育ICTである」と話をされました。そこまで広げて考えているからこそ、Z会はKnewtonとの提携を行い、アダプティブラーニングのテクノロジーをこれまで培ってきた教材開発、膨大な数の会員・卒業生の学習履歴なども含めた教育ICTの活用へと舵を切っているのだと思います。

 Z会が教育ICTに取り組む理由として、以下のような項目が挙げられていました。

  • ICTをフル活用した学習経験
    • 個別最適な学習(アダプティブラーニング)
    • ICTならではの効果的な学習経験(コミュニケーション)
  • 従来の教育ではなしえない新しい教育の要素
    • 知識・能力のつながり(論理的思考力)
    • 人とのつながり(協働学習)
  • 新しい時代の本物の学力
    • 21世紀型人材育成
    • 大学入試改革・学習指導要領の変更

 草郷さんは「教育ICTはツールとして提供するのではなく、“教育機会”として提供したい」と言っていました。教育ICTによって、一人ひとりが自分に合った多様な学びの選択肢を持つことができます。Z会が提供していく「一人ひとりに合わせた多様な教育機会を提供する」ということは、公教育や学校の中ではなかなか与えることのできない教育機会になるのだろうと感じました。
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教育ICT活用のコツ

 ここで、草郷さんは、教育ICT活用のコツとして、4つのポイントを挙げられました。

・何を目的に教育ICTを活用するのか?
 →教育ICTは手段・ツールであり、活用が目的ではない。


・どのような学習フローにするか?
 →学習フローがないと、学習そのものが難しい。まず学習フローを設計。学習目的に応じて教材を用意。


・学習者にとってはベネフィットは何か?
 →教育ICTの活用(学習効果を高める方法・学習行為が容易になる方法)で、学習者のベネフィットを増やす。


・テクノロジーとの相性は?
 →教育ICT(テクノロジー)の活用できるところを見極める(ex. 技術の進歩により、答案を撮影・データ送信→手書き提出へ)

 いずれも、とてもシンプルですがとても重要なことです。特に、学習フローのところと、学習者にとってのベネフィットは何かというところは非常に共感しました。
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Z会の考える、新しい教育のひとつの形:Asteria(アステリア)

 学習者のベネフィットのところから考えると、社会が変わり、価値観やルールが変わっていくこれからの時代に、どんな教育機会を得ることが学習者にとってのベネフィットになるのか。そのために、どんな学習フローを用意するのか。そうした新しい教育を、ICTはどのように支えていくのか。そうした焦点が合っていくのが、Z会が提供していくサービスになっていくのだろうと思います。
 いくつかのサービスがZ会ブースでは展示されていました。また、草郷さんが紹介もしています。その中で、特に興味を惹かれたのは、Z会Asteria(アステリア)でした。アステリアは、対象が中高生~大学生・社会人という無学年制タブレット講座です。

  • 21世紀型スキルを身につける
  • 従来の教科の枠を超えた斬新な学習体系
    • 英語4技能講座=CEFR-Jに準拠、実用的な英語力
    • 数学新系統講座=代数、幾何、解析、統計。各分野をつなぐ知識の有機的なネットワークを。
    • 総合探究講座=2017年7月開講。オンラインでアクティブ・ラーニングを実践。世の中の課題を他者と協働して解決できる力を養う。体系的に評価するために、LIPHAREを活用。
  • 大学入試の先の未来を見すえた学び
  • タブレットで学習が完結
  • 特徴
    • 個人に最適な学習を提供=アダプティブラーニングと個別指導の両輪
    • 無学年制・学習指導要領にとらわれない=個人のペースで学習が可能
    • 未来を見据えた本質的な学習内容=学習と社会の結びつきを重視

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 草郷さんがおっしゃっていたように、「何を学ぶべきか」「どういう学びであるべきか」からスタートして、そのためにICTを活用する方法と教材/カリキュラムを着実に開発してきている印象を受けました。特に個人的に興味を惹かれたアステリアについては、社会人学習者として、登録して学んでみようとおもいました。
 ブースでも展示がされていますので、EDIXにこれから行かれる方は、ぜひ行ってみるといいのではないかと思います。

(為田)