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【開発秘話】 情報分析・問題発見からプレゼンまで実習を通した、情報科カリキュラム@八王子学園八王子高等学校 #7・8

 この連載では、八王子高等学校の情報科の授業の様子と共に、そのカリキュラムの開発秘話を紹介いたします。今回は、全8回のうちの7・8回目の最終回の授業についてです。

 1~6回目のレポート内容は、こちらをご覧ください。
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プレゼンの善し悪しは、きちんと準備をしたかどうか。

 7・8回目の授業は、全グループ分のプレゼンを実施する回です。プレゼンの善し悪しは、一般的にも言われていることですが、やはりきちんと準備したかどうかで異なっていた感じでした。プレゼンの話し方が聴きやすいグループは、リハーサルで何回も練習していましたし、グループメンバーでたくさん話し合って認識を合わせて進めていたグループは、言いたいことが明確でわかりやすかったと思います。逆に、まったくリハーサルをしていないグループは、台本を棒読みしたり、スライドに書かれた文章をそのまま読んでいるだけだったり、笑ってごまかしたりするところもありました。グループ内であまり話し合いをせずに、構成も台本もバラバラに個人作業でやっていたところは、認識のすり合わせができていないので、何が言いたいのかよくわからないプレゼンになってしまっていました。
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 スライド自体の作りについては、論理的にまとめられているかどうかは、上記のようにこれまでの回できちんと準備してきたかどうかで異なり、なかなかうまくまとめられていないグループが多かったですが、スライド内での情報の見せ方については、文字だらけのスライドを作成するグループは少なく、比較的、画像や図、グラフなどを使って見やすいものを作れていたと思います。
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自分たちの学びを振り返るための…相互評価&自己評価?

 今回プレゼンを実施するにあたって、自分たちの学びを振り返るために、相互評価と自己評価をつけさせました。相互評価は、Excelを使い、評価基準別に数値を入力する形にし、グループごとにプレゼンが終わったら、評価を入力するような形にしました。評価をつけなくてはいけないことで、お互いのプレゼンをきちんと聴くような仕組みにはなりましたが、プレゼンを聴くことと、評価をすることの両方に追われ、プレゼンの内容をきちんと理解して聴くということができていなかったように感じました。その結果、生徒からの質問が少なかった印象もありました。
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 カリキュラム開発時点で、プレゼンでは相互評価をさせることが当たり前のような感覚で考えていたので、ここでのいちばんの目的である「学びを振り返る」ために、相互評価が本当に最良の手段なのかどうかを考えることが抜けてしまっていたと猛省しています。

 今回の全8回の授業は、問題発見から論理的な解決法を提案することがポイントなので、その部分において重点的に振り返りをさせるワークにさせる方がベストだったと思います。例えば、他のグループのプレゼンを観た上で、そのグループが発見した問題は何か・その解決法は何か・それを裏付けるデータと理由は何かを要約させて書かせるようなワークであれば、どういう観点でプレゼンを聴いたらいいかを意識させることができ、内容をきちんと理解するためによく観て聴くことを促し、わからない部分があったら生徒たちから質問が出てきやすくもなるかと思いました。

 また、それらの要約ワークが終わった時点で、プレゼンしたグループがスライド作成前にまとめた問題設定や三角ロジックの資料と、聴衆である生徒たちが要約した内容を比較することで、内容がきちんと伝わったのかどうかを確認したり、伝わっていない場合、何がわかりづらかったのか・何が原因だったのかを考えさせることもできたと思います。


 昨年度は、これまで問題解決のワークや、プレゼンテーションを実施したことのない生徒たちが初めて取り組んだ授業でした。論理的思考力や問題発見・解決力については、一度やっただけではなかなか定着するものではないので、今年度は、現在1学期の時点で、問題解決の部分を重点的に学習できるような授業を実施しています。こちらについても、引き続きレポートしていきたいと思います。


(前田)