教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

山形市立出羽小学校「やるKey」校内説明会 レポート(2017年9月5日)

為田が開発に参画している、凸版印刷アダプティブラーニングシステム「やるKey」についてのエントリーです。

 2017年9月5日に、山形市立出羽小学校で、凸版印刷が開発している、算数のアダプティブラーニングシステム「やるKey」の校内説明会を行い、講師をさせていただきました。

 山形市立出羽小学校では、9月から小学校3年生から6年生の算数でアダプティブラーニングシステム「やるKey」を活用します。やるKeyを実践している学校では、普通教室でiPadを使ってやるKeyに取り組むことが多いのですが、出羽小学校には児童一人一台分のiPadがないため、既存のコンピュータ教室も活用し算数の授業をしてもらうことになります。コンピュータ室でやるKeyでは問題に取り組むときには、タブレットを使って画面上で問題を解くわけではなく、ノートと併用して勉強します。やるKeyの画面で出題されている問題をノートに書き写し、計算をして、その結果をやるKeyに入力して答え合わせをします。答え合わせが終わると、児童それぞれに適した次の問題が学習履歴とつまずきポイントに応じて自動出題されます。
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 説明会では、この自動出題・自動採点の仕組みについて先生方に説明しました。次の問題を自動出題するレコメンド機能では、単元や学年をまたいで児童一人ひとりにあった問題を出題することもできます。こうした出題の仕方は、紙のドリルやプリントでは実現するのが難しい部分なので、実際に授業をされている先生方が授業で使ってみて、紙のドリル・プリントとやるKeyとで、授業の中で使ったときにどう違うのかをこの共同プロジェクトのなかで先生方から伺えればと思っています。

 3年生の学年主任である高橋功 先生は、やるKeyを取り入れる展望を以下のように語ってくださいました。

 やるKeyを導入するにあたって考えたことは、まず第1段階としてパソコン室のパソコンを使って、子どもたちが意欲的に取り組む姿をめざすことです。
本校のパソコン室にあるのは、デスクトップ型のパソコンが20台です。授業の中で使うときは、2人で1台という場面が多くなるため、やるKeyを取り入れる場合は、クラスを2つに分けたり複数の活動をローテーションで回ったり等の工夫が必要になります。授業以外の休み時間や放課後もパソコン室を開放することで、意欲的に取り組む子どもがどんどん増えることが予想されます。
そこで第2段階として、保護者の皆さんに趣旨説明をしてご理解を得た上で、各家庭でも取り組めるよう協力を要請するつもりです。学校でも家庭でも意欲的にやるKeyに取り組み、しかも学力も上がれば、「1人1台タブレット」という環境作りに行政も動き出してくれるかもしれません。そこを第3段階として期待しています。
まずは、今ある環境の中で最大限努力を積み重ねていきたいと考えています。子どもたちのために。

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 今回は出羽小学校でのICTを算数の教科学習に入れるプロジェクトです。このプロジェクトにはNTTドコモ 東北支社も参加しており、LTE搭載のiPadを導入しています。先生方はiPadを使って、児童の解いた問題数や正答率などを手元で見ることができます。3年生から6年生の児童は、コンピュータ室とiPadを使ってやるKeyに取り組みます。iPadを使っての活用は今後進めていく方針で、“普通教室で、iPadでやるKeyを活用”と“コンピュータ教室で、デスクトップPCでやるKeyを活用”と、両方を実践していく予定です。


 iPadは9月から先生方が使い始めていますが、やるKey以外の教科でも活用が始まっているようです。「出羽小学校でiPadをどのように活用してもらいたいですか?出羽小学校にどんな動きが生まれるといいと思いますか?」と訊くと、NTTドコモ東北支社の阿部さんは、以下のようにおっしゃっていました。

 まずはやるKeyで先生たちの授業が変わるきっかけになればと思います。具体的には、やるKeyには児童の習熟度合が見える化される機能がありますので、これまでの添削に比べて効率的な個々の見とりができることから、個の得意不得意に応じたサポートや、教材研究、コンテンツの充実など、先生の授業での役割が変わってくるのではと思います。
 先生用のタブレットを普段の授業で使うことについては、今まで実物投影機で提示していた教材よりも、持ち運べる実物投影機としてのタブレット、カメラで写真や動画を記録できること、ウェブやアプリコンテンツの利用など、大画面に提示する「教材の変化」が、児童の興味関心と結びつき学習意欲の向上につながったらいいなと思います。 

 児童用のタブレットは通常はグループやペアで1台、使い方によっては一人一台の環境であるため、協働学習としてのツール、あるいは、やるKeyのような個々の学びのツールとして、あるときは学習情報のインプット、あるときは学習情報の取捨選択や整理まとめ、あるときは学習情報の発信ツールとして活用が進んでいったらいいなと思います。

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 出羽小学校でのやるKeyの取り組みが、どのように算数の授業を変えていくことができるのか、興味深く見守りたいと思います。今度は、教室で子どもたちがやるKeyを使う様子をまた取材に伺おうと思います。

(為田)