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近未来の学校教育体験セミナー@外旭川小学校 レポート No.1(2017年9月25日)

 2017年9月25日に、秋田市外旭川小学校にて、近未来の学校教育体験セミナー@外旭川小学校を開催しました。これは、6月に実施した近未来の学校教育体験セミナー@秋田にご参加いただいた佐藤博美 先生から「ぜひ、勤務校の校内研修でもやってほしい」とお招きいただいたものです。
 No.1では、先生方向けのセミナーの前に行った、4年生向けの授業をレポートします。

4年1組に、「正解のないことを考える」授業

 先生方向けの校内研修は放課後に予定されていましたが、その前に4年1組の授業を1時間、担当させていただけるということで、「正解のないことを考える」というテーマで授業をさせていただきました。せっかく教えるのであれば、普通の教科ではなかなかしない活動をしてほしいと思い、「正解を出すこと」ではなく、「どうやって考えるのかを考える」ことを学習のめあてとして設定しました。
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 授業の進め方としては、最初に、「iPhoneが出てから10年しか経っていない」ことを考えると、「10年後、20年後のことは考えてもわからない」ということを伝えました。そして、「今の小学生の65%は、今はまだない職業に就く」という話を簡単に紹介しました。
 そう考えると、つまり、未来はまったくわからない。でも、「わからない…」と立ち止まっていても仕方がないので、わからないことも考え方によってはある程度の答えが導けるということを練習するということを伝えました。

 通常、「正解があることを考える」のが一般的な学校の授業から一歩踏み出して、「正解のないことを考える」ことへのチャレンジをしてもらうために、「秋田市で1年間に消しゴムがいくつ売れているだろうか?」という問題を出して、取り組んでもらいました。最初は、「1兆個!」など、当てずっぽうがほとんどです。それらしい数字を答える子どもも、「どうしてそう思うの?」と訊くと、だいたいは勘だったりします。勘ではなく、考えることをやってほしい、ということを伝えました。
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 グループに分かれて考えてもらいました。それぞれに「こうやって考えたらいいんじゃない?」ということを言い合います。途中、「秋田市って、何人住んでるの?」とか「大人って消しゴムは使う?」などというふうに、教室に見学にいらっしゃっていた校長先生も含めて、教室にいた大人たちにどんどん質問をしていけたのもよかったと思います。知っている人に訊いてみる、ということも、正解がわからないことを考えるには、絶対に必要な手段だと思っています。
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 授業の最後に、それぞれのグループでどう考えたかを紙に書いてもらいました。それをロイロノート・スクールで撮影して、提出してもらいました。外旭川小学校には、こうした授業支援のシステムはまだ入っていなかったため、子どもたちに体験をしてもらうこともできてよかったです。
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 それぞれのグループの答えを、ロイロノート・スクールの機能を使ってまとめて提示します。グループごとにどんなふうに考えたのかを簡単に発表もしてもらいました。実際に正解をこちらとしても用意をしていなかったので(秋田市の経済界に取材したらわかったかもしれませんね…)、答え合わせができたわけではないのですが、グループごとに出してきた数字は本当にまちまちでした。
 僕が子どもたちに伝えたかったのは、「どうやって考えるか」を知ることの大切さです。正解が出るか出ないかは、この授業に関して言えば、どちらでもよいと思っていました。子どもたちにやってほしかったのは、どのようなデータがあれば、考えられるのか、式を立てられる体験でした。例えば、「(秋田市の人口全体-赤ちゃん-老人)×1年間に使う消しゴムの数」などのように数式が考えられれば、あとは数式の中に使われているデータの数字を探しさえすれば計算ができるということになります。
 こうして正解がないことを考える体験ができれば、この先、いろいろな「これ、どう考えたらいいんだろう?」と立ち止まりそうなときにも、ひとつひとつ分解して考えるということができるようになるのではないかな、と思いました。
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子どもたちと先生の感想

 この授業をした次の日に、子どもたちに感想文を書いてもらっていました。後日、佐藤先生から送っていただいて、読みました。そのなかから、3人の感想を紹介したいと思います(全文のままです)。

楽しく教えてくれてありがとうございました。私は「考える」ということを、ぜんぜん楽しくないなと思っていたんですけど、ため田先生と勉強して、「考える」ということは、とても大切だと、分かりました。新しいゆめを未来へつなげることも分かりました。これからも考えることをたいせつにしたいです。

「正解のないことを考える」と言う題名を読んだあとの問題が、分からなかったけど、ため田先生に、「わからないでおわらせない」と言う言葉で、私は「わからないでおわらせちゃいけないんだ」と思いました。

 感想の中にある、「考えることが大切」「わからないでおわらせない」というメッセージは、きちんと伝わっていたならば、本当にうれしく思います。ここから、自分たちで問題を見つけて、同じように正解がないながらも考える、ということができるようになるといいな、と思います。

考えることは大事だということを教えてくださりありがとうございました。
ぼくは考えることは楽しく、みんなできょうりょくすれば正解のないことを考えることができるとわかりました。ぼくは一人や二人だと正解のないことを考えるのはむずかしいけれど四人五人だったら考えれると考えました。これから新しい夢を未来へつなげていきたいです。

 この感想も非常にいいことを書いてくれていると思います。四人五人だったらかんがえられる、というのはまさにグループ活動にした意図が通じていたということであり、非常にうれしいです。そして、四人五人で考える、というのは同じ場所にいるグループの仲間たちだけでなくて、世界中にいる人たちとオンラインで繋がって、みんなで考えるということもどんどんできるようになっていきます。そうした時代に、「考えることって楽しい」と思う子どもたちを一人でも多く育てることは、非常に大切なことだと考えています。

 このクラスの先生からも、感想を後日もらっています。

子どもたちにとっても,私にとっても「考える」ということについて改めて考えるよい機会をいただきました。正解のないことを考える時間をこれからも学級の中で作っていくことで,自分の考えをもち,自分の判断で行動することのできる力が育つのではないかと思いました。

 自分自身もこの感想をもらって、初心に立ち返って、また頑張ろうと感じました。こうした「正解のない授業」、カリキュラム化して拡げていければいいな、と思いました。秋田市外旭川小学校4年1組の皆さん、どうもありがとうございました。

 No.2へ続きます。
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(為田)