教育ICTリサーチ ブログ

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イノベーティブな校長ネットワーク キックオフイベント No.2(2017年11月5日)

 2017年11月5日に、千代田区麹町中学校で行われたEdvation x Summit 2017内で、イノベーティブな校長ネットワークのキックオフイベントが開催されました。

 松田先生のオープニングスピーチの最後に、時代認識と覚悟を持ち、かつ戦略的に行動している校長先生を4人、パネリストとして招いてのパネルディスカッションをすることを会場に伝え、4人の校長先生を紹介しました。パネルディスカッションの様子を簡単にレポートします。
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 パネリストとして登壇していただいたのは、以下の4人の校長先生です。為田は、松田先生と一緒にモデレーターをつとめさせていただきました。

  • パネリスト
  • モデレーター
    • 松田孝 校長先生(小金井市立前原小学校)
    • 為田裕行(フューチャーインスティテュート株式会社)

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目指している“学校の姿”と、それを実現するための学校経営のコンセプト

 パネルディスカッションは、4人の校長先生が目指している“学校の姿”と、それを実現するための学校経営のコンセプトについて、話していただきました。以下は、為田のメモです。4校それぞれが全然違うのが本当におもしろいと思いました。

  • 戸田第二小学校
    • 戸田市は、今後5年間に50クラス増える。
    • 戸田第二小学校は、児童数1006人。
    • 非常に若い、活力のある学校(経験年数10年までの教員が57%)。
    • 21世紀をたくましく生きる子
      • グリット、やり抜く力を育む教育(21世紀型スキルと非認知スキル)
    • 21世紀型スキルと非認知スキル、2つのスターモデルを作っている。
      • すべての教員が、21世紀型スキルと非認知スキルを育むことにしている。
    • 2015年に、戸ヶ崎教育長に。
      • 産官学の連携が活発に。企業連携は100社を越えている。
      • エビデンスベースによる授業分析をしている。
    • Google、ベネッセ、SONY、LoiLo、ソフトバンクなどと共同研究、実証研究をしている。
    • IRTで経年変化を記録。実証している。

 戸田市は本当に活発に企業との共同研究、実証研究をしています。市全体で、「新しい教育を作っていく」という勢いがある自治体だと思いました。また、エビデンスベースで授業分析をしているのも、その後、市全体で展開していくときに非常に役に立つと思います。

  • 西山中学校
    • 西山中学校は、全校生徒12名。教職員14名。今年度末で閉校となる。
      • 地域は教育熱心。
      • PTA総会、保護者会の参加率が120%を超える。
    • 学力は高い(地域の協力が得られている)
      • 成績の良い子は地域を出ていってしまうジレンマ。
    • 2012年に着任。2年ないし3年で校長は転任するものだが、今年で5年目。
      • 地域を活性化する、地域にこころを残す子どもを育てたかった。
      • 地域に支えられるのでなく、地域に貢献する子どもを育てる。
    • 具体的に行ってきたこと
      • アントレプレナーシップ「地元を売り出そう」と観光パンフレットを作る。
      • 会社を経営しましょう、無農薬野菜を売る。

 西山中学校は福島県柳津町にある中学校です。子どもたちが出ていってしまうという現状の中で、地域を活性化するということで外部との連携を行っている学校でした。

  • 麹町中学校
    • 社会に開かれた学校を作りたい。
      • 学校はそもそも目指す目標が違うのではないか?
    • スキル&スイッチ
      • 学び方を身につける【スキル】
      • ロールモデルを身につける【スイッチ】
    • 社会を見据えた問題解決型カリキュラム配列
      • ノート、手帳ガイダンスなどもある
      • ツアー企画旅行(JTBの社員になる)
    • 対立は起こる、それを肯定する
      • さまざまな企業を取り込んでいる。(工藤校長は4年目)
    • アフタースクールがある。
      • 部活だけでなく、学内の塾、サークル活動もある

 麹町中学校も、「社会を見据えた問題解決型カリキュラム配列」が本当におもしろいと思いました。ノート、手帳ガイダンスなども行い、スキルとスイッチを身につけるのはとてもいいと思いました。そこにも、外部企業との連携がありました。

  • 箕面高校
    • 経営方針は仕事を減らす。
    • お金がない。校長の出張費が月700円(会場・爆笑)→それで何ができるのか?
    • グローバルで、海外進学36名。日本一。
    • ワクワクする学校に。偏差値なんてやめてしまいましょう。
    • 学力とは何か?
      • ペーパーテストの点数が高かったら、学力が高い?
    • 民間にいたので、「そもそも、どんな人材を育てたいのか」という再定義から。
    • 経営方針は、「全責任は僕がとります」ということ。
      • お金はないけれど、公的信用を与えられます。公立学校にはこれがプラス。
      • 企業には「一緒に共同開発させてください」ということは言っている。
      • 外部から企業の人が入ってきて教えても、そのうちに、先生たちの方が上手になっている。
    • Win-Winの関係を作っていきましょう。
    • PDCAの「P」を作っている場合ではない。Pを作っている間に、状況が変わってしまう。

 箕面高校でも、民間の教育プログラムなども取り入れているそうです。Win-Winの関係を作ることが重要であるということを強調されていました。「お金がないぶん、公的信用を公立学校は企業に与えることができます」というのは、とても良い視点だと思いました。

学校と民間の協力関係

 4人の校長先生が語った目指す学校の姿にもコンセプトにも、外部との連携が入っていました。4人の先生方と、企業とのコラボでうまくいったケースについて伺ってみると、先生は先生の仕事に集中し、企業の人は企業の仕事に集中する、ということがポイントとして挙げられました。学校でのカリキュラムやサービス、商品やアプリなどを共同開発する形のコラボは、もっともっと広がるためには、学校と企業がお互いの強みを活かし、仕事仲間として対等にお互いの強みを理解し、リスペクトし合うことが必要だろうな、と感じました。
 今回キックオフした、イノベーティブな校長ネットワークは、学校と民間の協力関係を作っていくために設立されました。会場には、学校の先生方も企業の方々もたくさんいらっしゃいましたが、それぞれの専門分野での強みを出しつつ、お互いにリスペクトして、学校/教育を共により良いものにするということができればと思いました。

 4人のパネリストの校長先生と松田先生と一緒に、学校と外部との連携についてのお話をさせていただきましたが、本当にあっという間でした。倍くらい時間があってもいいな、と思うくらい、先生方のお話がおもしろかったです。いずれ、さまざまなメディアでレポートが出てくると思います。
 話題がうまくまわっていないと感じられた方、「もう少しこの話題をつっこんでほしかった!」という方もいらっしゃるかもしれません。すみません、モデレーターである僕の不手際です。話し足りないことは、どうぞ、Edmodoで解説されている、コミュニティ「171105キックオフイベント」に参加して続きをしましょう。

 このパネルディスカッションは、キックオフです。まだこれから、ネットワークを育てていくプロセスが続きます。どうぞ今後共、よろしくお願いいたします。


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 イノベーティブな校長ネットワークは、小金井市立前原小学校の松田孝校長先生が、21世紀を切り拓く子どもたちの育成に向け、新しい教育課題に意欲的・積極的に取り組む人たちとネットワークを構築したいと考え、発起人となったグループです。イノベーティブな校長ネットワークは、Edmodo上でコミュニティを作り、情報交換を行っていきます。

 興味をお持ちの先生方、企業の皆様、教育関係者の皆様、ぜひEdmodoのコミュニティ「171105キックオフイベント」に参加してください。Edmodoは全世界190カ国、8400万人以上に使われている教育に特化した無料コミュニケーションツールです。Edmodo上でのコミュニケーション、コラボレーションを体験するという意味でも、有意義なものになるのではないかと思います。

171105キックオフイベント

(為田)