教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

富谷市立明石台小学校 授業レポート(2017年11月15日)

 2017年11月15日に、宮城県富谷市立明石台小学校を訪問し、阿部太輔 先生が担任している4年1組の算数の授業を見学させていただきました。今回の授業は、反転授業の研究として位置づけられていました。計画書によると、多くの児童が苦手意識をもちやすいと考えられる「計算のきまり(『数と計算』領域)」において,反転授業が有効かを検証することを目的としていました。

 11月7日より、タブレットを家に持ち帰ってもらい、凸版印刷が開発したアダプティブ学習システム「やるKey」を宿題として解いてきてもらっています。
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 やるKeyでは、算数の問題を自動出題・自動採点ができるだけでなく、その結果を先生画面で確認することができます。先生の画面では、習熟度や学習時間、取り組んだ問題数などを見ることができます。授業の最初に、阿部先生は習熟度の画面を提示しました。
 横の行に児童の名前が並んでいます(クラス全体に提示するときには、阿部先生は見えないように表示していました)。縦の列が、小単元と学習のめあてごとに分かれています。この授業での学習範囲は、「計算の順序」に含まれる4つの学習のめあてと「計算のきまり」に含まれる3つの学習のめあてでした。それぞれの学習のめあてごとに習熟度が色で表されています。赤系の色から青系の色になるほど、習熟度が高いというふうになります。
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 この画面で、「計算の順序」の問題の習熟度があまり高くない(=赤系の色が多い)ということをクラス全体で共有してから、ロイロノート・スクールで問題を出題します。事前に、やるKeyの先生用の画面で習熟度を確認して、習熟度が低い学習のめあてが含まれるオリジナルの問題を、阿部先生が用意をして出題をしました。
 ロイロノートで出題された問題をグループで考えていきます。ロイロノートの中に書き込んで、「計算の順序を間違えたために、計算結果が変わってしまった」ということをみんなで確認することができました。事前に習熟度が高くなかった箇所を確認して、そこを補うために、オリジナルの問題を作成し、配布しました。こうしたことをノートを介さずに、ネット上で行うことは、ICTを活用した授業設計の強みになると思います。
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 計算の順序について、どのようなことに気をつければいいのかを確認するところまでで、授業開始からだいたい20分くらいでした。ここから、やるKeyを使って個別学習の時間をとりました。
 児童一人ひとりが、自分のiPadでやるKeyにログインしていきます。持ち帰りをしていることもあり、ログインなどでつまずく児童はほとんどいませんでした。児童たちは、やるKeyの学習ホームの画面を開いて、学習のめあてが達成できていない(=トロフィーがとれていない)ドリルをどんどんやっていきます。
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 やるKeyでは、問題を間違える要因を“つまずきポイント”と名付け、1問ずつに複数のつまずきポイントを設定しています。児童が自動出題される問題を解くたびに、どのつまずきポイントでつまずいているのか特定していきます。そのため、児童たちは同じドリルから学習をスタートしても、問題の正解/不正解、不正解でも間違え方によって、次に出題される問題は違うようになっています。これにより、児童はそれぞれの習熟度にあった学習をすることができます。
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 つまずいているポイントが特定された場合は、教科書の中の解説に近いドリルが表示され、先生に毎回解説をされなくても、自分で教科書の例題をもう一度解くことができるようになっています。
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 こうして児童が自分の習熟度にあった問題を解いていけるようになることで、先生はこれまでしていた問題の出題、プリントの配布、答え合わせ、机間指導などから、本当に教室に必要なものだけを残すことができるようになります。つまり、問題の出題や答え合わせはICTにより自動化され、そのぶんの時間を児童に対して寄り添い指導する時間とすることができるようになっていきます。

 今回のこの授業は、反転授業の研究の一環として行われました。計算の順序は通常8回の授業だそうですが、反転授業で行ったことで、1時間分の余裕が生まれ、そのぶんで今回の授業のように、クラス全体で習熟度が高くないところを学習する時間がとれている、と阿部先生は言っていました。

 iPadを持ち帰る授業については、学校によってさまざまな活用の方法があると思いますが、こうした実践が多く行われることで、これからチャレンジしようとする先生方の後押しになればいいと思いました。

(為田)