教育ICTリサーチ ブログ

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平成28年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果

 文部科学省のサイトで、平成28年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果:文部科学省が出ています。

 興味があって読んだのは、以下の2つのデータです。

平成28年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)

 全国の公立学校(小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校)での、ICT環境の整備状況に興味があります。

 全国的に、教育用コンピュータ(児童生徒が使うコンピュータ)1台あたりの児童生徒数は微減。1台あたり5.9人というふうになっています。
 また、教育用コンピュータのうちタブレット型コンピュータ台数が増えてきているようです。教育用コンピュータの総台数が2,027,520台でそのうち373,538台がタブレットタブレット比率は18.4%となります。小学校、中学校、高校とすべての校種においてタブレットが有効かというと、僕はそうは思っていません。タブレットとコンピュータでは、役割が違うと思っています。タブレットは「入力」装置としての色合いが強く、コンピュータは「出力」装置としての色合いが強いと思っています。タブレットがどの校種において多く配備されているのかもみたいと感じました。
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 学校種別で、ICT環境の整備状況も出ています。小学校と中学校と高校とで、そんなに1台あたりの児童生徒数が変わっていないことがわかります。1台あたり5人から6人となると、思考や表現の手段として使うというにはちょっと台数が少ないと思うのです。
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 都道府県別でも、この教育用コンピュータ1台あたりの児童生徒数は出ています。断トツのトップは佐賀県です。佐賀県では県立高校の生徒たちが一人1台、コンピュータを持っています。
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 都道府県別での教育用コンピュータの配備状況によって、先生方のICT活用指導力に影響はあるのか、ということも気になります。「教えたいけれど、台数が足りない(から教えない)」「台数がきちんと配備されたら、教えるようになった」などの事例がどれくらいあるのか、ということも知りたいなと思いました。

 「教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用する能力」については、高くなってきているように思います。スマホタブレット端末まで含めて“ICT”と言っていいなら、先生方のなかにも使っている方はたくさんいますので、教材研究などにICTを活用できる先生は増えてきていると思います。
 実際、研修講師で先生方に「スマホを使っている方?」と質問すると、ここ数年で、本当に手が挙がる数が多くなったと思います。
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 一方で、「児童・生徒のICT活用を指導する能力」については、さっきの「教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用する能力」と比較するとポイントが低いです。児童・生徒がICT活用をするためには教育用コンピュータの台数が必要になるので、台数と相関がなんとなくありそうに見えます。
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市区町村別 学校における主なICT環境の整備状況(全校種)1【速報値】

 都道府県別だけでなく、市区町村別でも数字を見ることができます。PDFデータだと、検索がかからないため、ものすごく見にくいのです、Excelデータで見るのがいいかと思います。

 都道府県での「教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数」は、1位の佐賀県で1.9人/台、以下、鳥取県(4.0人/台)、徳島県(4.1人/台)、高知県(4.1人/台)、長崎県(4.2人/台)となっています。「台数がまだまだ少ない」と感じる方も多いかと思うのですが、市区町村別のデータで見てみると、佐賀県の1.9台/人でさえ158位となります。4.0台/人で681位です。都道府県別の数字は平均なので、あわせて市区町村別の数字も見てみることが必要だと思います。
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まとめ

 数字だけで、実際にどのようにICTを授業で活用しているのか、などに関しては見えないので、この数字に縛られるのは意味がないのですが、ICTを配備して授業力や児童生徒のICT活用を上手に行っている自治体や学校の様子を見ていくことが大事だと思います。そして、うまくいっている方法論を、予算をつけて横に展開する、そうした動きを民間の立場から支援していきたいと思います。

 上で挙げた、市区町村別のデータに関しても、実際には、市区町村内でも、研究指定校などに重点配備されていると思います。上位にランクインしている市区町村の小学校や中学校での研究発表などを見て、横に情報を展開していく、そうした活動をしていきたいと思います。

(為田)