教育ICTリサーチ ブログ

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NHK「あさイチ」特集:「子どもの授業が激変!2018教育改革最前線」 視聴メモ(2018年1月10日)

 2018年1月10日のNHKあさイチ」の特集が、「子どもの授業が激変!2018教育改革最前線」でした。教育ICTが直接取り上げられていたわけではありませんが、どのような内容に触れられていたのか、メモしてみました。
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学習指導要領はどのように変わるのか?

 番組では、最初に「知っていますか教育改革」として、次期学習指導要領について取り上げ、教育の目標がどのように変わるのかを紹介していました。

  • 「知識を学ぶ」だけでなく、「知識を学ぶ」+「知識を使う」への転換
    • 考え力、表現する力、判断する力を育てよう
    • 「それって、授業で身につくの?」「成績ってどうやってつけるの?」「親はどうすればいいの?」という疑問
  • 知識は、スマホなどを使えばすぐに手に入る。だから、「考える力」が大事
    • 突然、「考えなさい。先生は授業をしません。」と言われても、現場では困る?
  • 学習指導要領が変わる
    • 学習指導要領は、10年ごとに改訂
      • 平成10年頃~ ゆとり教育
      • 平成20年頃~ 脱ゆとり
      • 今回は…?
    • 変わったのは教育の目的。「知識を使う力」を身につけることを目標にした。
  • なぜ今になって、考える力が必要だと言うのか?
    • 「知識なのか、ゆとりなのか」と二元論で語られてきたため、「どう知識を使うか」という議論がなかった?

学校の授業はどう変わってきているか?(1)

 続いて、学校で実際に授業がどう変わってきているか、レポートがありました。取り上げられたのは、大阪市立本田小学校。学校教育ICT活用事業でもよく名前があがる小学校です。

  • 大阪市立本田小学校
    • 3年ほど前から授業の改革に取り組む
  • 体育の時間、走り高跳びの様子をタブレットで撮影。撮影した動画をすぐにチェック。自分の動画をお手本の動画と見比べて、自分たちで改善策を考える。
    • 先生は練習の進め方についてアドバイスをする。主役は子どもたち。
    • 自分たちで取り組むことで、問題を解決する力が身につく。何を頑張れば「高く飛べるか」ということを考える体育。
  • 社会の授業。
    • 知識は授業ではほとんど教えていない。教科書の内容は各自で予習してくる。動画教材を先生が指定し、家や学校のパソコンで見る。その後、教科書や資料集で細かいところを確認。
    • 児童は20分ほどをかけて予習。
    • 以前と比べ、計算や漢字ドリルの割合が減り、その分、予習の時間をかけている。
  • 児童のコメント
    • 「知っていたら授業が楽しくなる」というコメント。
    • 友達の発表をよく聴くことが、大事なこと。
    • 「みんなで意見交換もできるから、楽しいし、好き」「違う意見を聞いても、こういう意見もあるんだ、と考えられる」
  • 授業で大事にしているのは、「考えを組み立て、発表する習慣をつけること」
  • こういう授業、どの学校でもうまくいくの?
    • この学校は成功している例かな、と思う。
    • 「教室は間違っていいところ」、臆せず意見を発表できるのはいい。
    • スタジオゲストから、「自分たちの時代を考えると、手を挙げて間違えると恥ずかしかった」という言葉。
    • 先生は試行錯誤しながらやっている。

 直接触れられはしなかったですが、タブレットが入ることで、体育の授業では撮影した動画を見ながら話し合うことができていました。社会の授業でも家で動画を見てくる、というところではインターネットやPCが必要になっていました。

アクティブラーニングとは?

 続いて、本田小学校の授業をベースにして、こういった授業がアクティブラーニングと呼ばれているという話をしました。

  • 子どもが主役の授業=アクティブラーニングと呼ばれている。
    • 班活動、グループ活動。自ら能動的に勉強すること。
  • 羽根拓也 先生
    • ここ数年で、アクティブラーニングの周辺はすごく変わった。
    • 現場レベルで、「どうやるんですか?」と不安になっている先生もいる。
    • 急に教え方が変わると、先生も教わる側も大変。でも、段階的に進めていけばいい。
  • 「おまえ、アクティブ世代だな」とか言われたりしない?今がいちばん大事な時期ですよね?(イノッチ、おもしろい)
  • 保護者がいままでの教育しかしらない。今日、アクティブラーニングを知ってもらえることはいいこと。
  • 授業時間がかかりすぎないか?という疑問が現場から上がる。
    • インプットとアウトプットのバランスの問題。
    • 今までが、インプットが中心に過ぎた。アウトプットを入れて本来的なバランスを目指す。

 最後に言われていた、「インプットが中心に過ぎたので、アウトプットをする時間を増やす」という視点は非常に重要だと思います。いま、セサミの授業などをしていても、アウトプットが上手でない子はたくさんいます。いろいろな科目で「間違ってもいいから、アウトプットをどんどんしていって、間違っているならば、それを直していく」というプロセスに慣れた子どもを育てるお手伝いをしたいな、と思います。

 番組では、さらにアクティブラーニングについての質問を取り上げます。秋のドラマで櫻井翔くんがやっていた「先に生まれただけの僕」でも、アクティブラーニングは登場していましたが、このようにして多くの人に知ってもらえる事はいいことだと思います。

  • アクティブラーニング 教えて!詳しい人!
  • 従来型の授業はなくなるの?
    • なくならない。知識の量は、今回の指導要領では変わらない。アクティブラーニングばかりでは、範囲が終わらない。
  • 先生は対応できる?
    • いまは、「主体的で対話的で深い学び」というふうに言っていて、それが実現できるならば、先生方が自由に工夫していい。
    • 先生に差が出てしまう。知識を伝えるだけでなくて、児童生徒から引き出さなくてはならなくなる。
    • すべての授業を変えなくても、5%だけ、10%だけでも変えていく、段階的に変えていくことで、対話的な授業形式をベテランの先生もできるようになる。
    • 学校でたった一人の先生がやるのではなく、複数の先生方がやることで、話し合いもできる。
    • 今までもアクティブラーニングはやっている先生はいた。すでに世界の教育のトレンドはアクティブラーニング。アクティブラーニングを目指して、学校が階段を上がっていく必要がある。
  • しゃべるのが苦手な子は大丈夫?
    • しゃべるのが苦手でも、人の話を聴くのが得意な子がいれば、対話に参加できる。そういうところを先生がしっかり見ることが大事。
    • そういうなかから、「自分もこうやって話してみよう」ということが学べればいい。

学校の授業はどう変わってきているか?(2)

 続いて、もう1校、授業の様子のレポートが入りました。つくば市にある茨城県立並木中等教育学校です。

  • 茨城県立並木中等教育学校
    • 3年前からアクティブラーニングを導入。全国から視察が相次いでいる。
  • 中学生と高校生が合同の授業。先輩が1時間、まるまる先生として中学生に漢文を教える。一対一。
    • 教えることで、自分の理解がより深まる。
  • 学校全体で、全国模試の成績も延びている。
  • 中学校で全体の授業の半分以上、高校生では2割ほどがAL。
  • どうやって成績を付けているの?
    • ペーパーテストだけでなく、多面的なものを評価するようになっている。
    • 先生はグループワークの間、教壇に立たない。生徒たちの様子を見て、「話す力」や「聞く態度」などを評価していく。
    • 人の顔を見ながら、頷いている=聞く力?
    • ちゃんと読み込んで授業に臨んでいる、ということを見とって評価する。
    • 他の生徒との比較でなく、その子の成長を評価する。
    • 授業後に作文の添削もする。考えの内容自体は評価しない。「こう考えたから正解。こう考えたから間違い」というのは評価しない。考えていくプロセスが大事、と先生。
    • 授業が始まる前に、「今日の授業の目的はこれ」と指定もされている。

 知識をインプットするだけでなく、アウトプットする形に教育が変わっていくと、評価する方法として、記述式問題が用いられるようになります。
 番組では、記述式問題が苦手な子が「勉強をやる気がなくなる」とコメントしていました。保護者が家庭でサポートすることもあると思いますが、得能絵理子さんが、子どもが考えやすくなる会話術を紹介していました。

子どもが考えやすくなる会話術

  1. 単語で答えられる質問から訊く
    • 答えに必要な知識を確認する
  2. 理由を訊く
    • 順を追って質問することで、考えやすくなる
  3. 自信をもたせる

 得能さんが実際に子どもに質問をしながら答えを引き出しているのを見て、「ちょっとずつ段階を追って聞いていけば、安心につながるという経験をたくさんさせてあげたい」とお母さんが言っていました。
 こうした段階を追って話を積み上げていくというのは、親子の間だけでなくて、学校の授業のグループ活動などでも身についていくのではないかと思いました。
 羽根先生と得能さんの株式会社アクティブラーニングで、特集ページがアップされていましたので、リンクします。興味ある方はぜひお読みください。
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課題となることは?

 次期学習指導要領が目指す教育の形について、課題となることについてもコメントされていました。

  • 先生たちのスキルアップが課題。学校間の格差が大きくなる
  • インフラの整備も含めて、課題になっているところ。
  • 授業力のある先生が、「アクティブラーニングをしていないじゃないか」となって、端に追いやられるのも違う。
  • 「考える力をつける教育はいいけれど、受験では知識を問われるから…」というコメント。
    • 知識だけを問う→知識を使う問題に変わっている例もある。
    • センター試験に代わる、「大学入学共通テスト」では、国語・数学で記述問題を導入する。
      • 思考力、表現力、判断力を測るために、マークシートではダメだろう、ということ。
      • 改革の足かせにもなっている。時間がかかる採点、50万人が受験。これを実施するのは大変なこと。

民間でも進む場作り

 民間での動きとして、VIVISTOP柏の葉が紹介されていました。

  • VIVISTOP柏の葉
    • ものづくりを通じて、子どもたちに考える力を身につけてもらうべく、民間企業が運営。
    • キャンドル、駅の模型など、子どもたちが好きなものを自由に作る。
    • 登録すれば誰でも、無料で使うことができる。
    • 放課後や休日など、200人ほどが通っている
    • 「子どもたちが好きなことをやりたいだけやる環境や時間を提供することで、好奇心を伸ばして、子ども自身の手で未来を作っていくそういう場所にしていきたい、と考えて作られた場所」

 実際に通っている子どもの様子も紹介されていました。多いときには、週に5日通っているそうです。今までも、工作が好きだったが、工具を使ったことがなかったが、VIVISTOP柏の葉には、3Dプリンター、レーザーカッターなども用意されていて、子どもが自由に使えるそうです。
 施設にはサポート役の大人がいるが、必要最低限のアドバイスしかしない。
kashiwanoha.vivita.club

 羽根先生が、VIVISTOPのレポートを見て、以下のようなコメントをしていました。

  • これは究極のアクティブラーニング
    • 先生がいない
    • カリキュラムがない
  • 子どもの好奇心に火をつけることをしている。
    • 「作りたい」から、失敗もするけれども、そのプロセスを体験させることを重視。
    • 教育というと、カリキュラムというのを考えてしまうが、子どもの吸収する力を信じて、場を作っていくことが大事。

まとめ

 学習指導要領がどう変わるか、目指しているのはどういう方向なのか、授業が実際にどう変わってきているのか、民間での取り組みの様子はどうか、課題はどんなものがあるか、バランス良く取り上げられていたと思います。
 次期学習指導要領では、「開かれた教育課程」ということで、学校が地域や企業と協力して学びの場を作る、という方向性も示されています。あさイチを見て、「いまの教育ってこうなっているのか」と思った人たちが、学校の教室に足を運び、実際に授業を見てみて、どんな協力ができるかを考えていく流れができればいいなと感じました。

(為田)