教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

授業に使えるかも?:情報ハンドブック デジタル版

 京都教育大学附属桃山小学校の木村明憲 先生から、情報ハンドブックのデジタル版が公開されました、とご紹介をいただきました。情報ハンドブックは、「情報を集める」「情報をまとめる」「情報を伝える」という各活動のポイントと事例を収録したものです。先生方と児童の両方が、授業のなかのさまざまな場面で参照し、活動の指針とできるものだと思います。
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活動のポイントと事例をわかりやすく説明

 情報ハンドブックには、学年別にそれぞれ「情報を集める」「情報をまとめる」「情報を伝える」という各活動のポイントと事例が収録されています。例えば、4年生の情報ハンドブックを見てみます。「A.情報を集める」「B.情報をまとめる」「C.情報を伝える」と上部に3つのタブがあり、このタブを選ぶことで、それぞれの活動のなかで、さらに細分化された活動のポイントが表示されます。
 「A.情報を集める」のタブのなかは、さらに「ア.情報を集める方法を選ぶ」「イ.集めた情報から選ぶ」「ウ.選んだ情報を整理する」と分かれています。
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 授業のなかで、インタビューを活動内容として取り入れるときには、「ア.情報を集める方法を選ぶ」から、「4 インタビューをして(聞いて)」を選びます。すると、「質問は前もって考えておく」「話している人の顔を見てインタビュー」「インタビューしながら素早くメモ」と、3つのポイントが表示されます。
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 ここからさらに、「質問を前もって考えておく」を選ぶと、実際に子どもたちが書いたノートが表示されます。
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学習活動の指針としての「情報ハンドブック」

 このように活動のポイントをわかりやすく示しておくことで、子どもたちが「どんなことをしたらいいのか?」ということに対する指針とすることができます。情報ハンドブックは、木村先生が長年積み上げてきた実践である「情報学習支援ツールの開発」から生まれたものです。木村先生は、ご自身のクラスで、情報学習支援ツールを使っています。木村先生は、以前、「情報学習支援ツールは、使うとすぐに変わる児童もいるが、多くの児童はそんなに一気には変わらない。ただし、継続的に活用することで、すべての児童に効果が現れます」と言っていました。
 情報ハンドブックを活用することで、子どもたちは、学習する方法と学習の進め方がわかるようになります。例えば、インタビューをする活動を始める前に、クラス全体で、情報ハンドブックの「A 情報を集める」→「ア.情報を集める方法を選ぶ」→「4.インタビューをして(聞いて)」と順に見ていくことで、どのような学習をすればいいのかがわかるようになります。

 また、情報ハンドブックの画面の右上にある「PDF」と書かれたボタンを押すと、情報ハンドブックに書かれていた活動内容がPDFで1枚にまとまっているデータをダウンロードすることができます。
 木村先生のクラスでは、これを「パワーチェックカード」と言い、印刷してラミネート加工して、児童がみんな下敷きとして使っています。下敷きとして常に持っているので、滑動を始めるときや、自主学習を始めるときに、どんな活動をすればいいのかを、すぐに自分でチェックできるようになっています。
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 活動の横には、チェック欄があり、その活動をしたら色を塗りつぶせるようになっています。同じ活動を、違う教科や違う単元で、何度もくり返し行うことで、児童に定着していくように設計されています。図形の塗りつぶしを完成させるために、「この活動をやってみよう!」と児童たちが思う、ゲーミフィケーション的な設計にもなっていると思います。カードは、さくら社のホームページにも掲載されています。
www.sakura-sha.jp

情報ハンドブックを使ってみたい方へ

 情報ハンドブックは、株式会社内田洋行の提供する教育用デジタルコンテンツ配信サービスEduMall に加入している自治体・学校等のユーザーであれば、無償で利用することができます。詳細はEduMallサイトの問い合わせフォームなどを利用して、株式会社内田洋行にお問い合わせください。
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 また、木村先生の情報学習支援ツールを活用した実践については、書籍 『情報学習支援ツール 実践カード&ハンドブック』の方でも、読むことができます。

まとめ

 木村先生の授業は、京都教育大学附属桃山小学校で何度も見せていただいていました。どの教科の授業でも、子どもたちが、目標が持てていて、学習する方法と学習の進め方がわかっていることに、非常に驚きました。そこに興味を持って、何度も何度も教室を訪問し、朝の時間から帰りの会まで、見せていただきました。子どもたちがそうして学べている背景には、今回紹介した情報ハンドブックに結実している「情報学習支援ツール」と、木村先生の教室に常に貼ってある「ルーブリック」があるのだと思います。
 今回、デジタル版になり、先生のPCから簡単にこの情報ハンドブックにアクセスすることができるようになることで、教室での学びがより深まるのではないかと思っています。興味がある先生方に、ぜひ試してみていただければと思います。

▼参考エントリー
 京都教育大学附属桃山小学校で、パワーチェックカードが使われている授業の様子は、このブログでも何度か紹介しています。興味をお持ちいただけた方は、以下のリンクからお読みいただければと思います。
blog.ict-in-education.jp

(為田)