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ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

一般社団法人 ICT CONNECT 21 活動報告会 レポート No.5(2018年1月15日)

 2018年1月15日に、筑波大学東京キャンパスにて、一般社団法人 ICT CONNECT 21 活動報告会が開催されました。
 ICT CONNECT 21には、多様なステークホルダーが関わっています。これが、ICT CONNECT 21の強みであると思うのですが、その多様なステークホルダーの皆様からの挨拶(というかプレゼンテーション)がありましたので、順に紹介していきたいと思います。
 今回は、東北大学大学院情報科学研究科教授 堀田龍也 先生のプレゼンテーションから、僕がメモした点をまとめたいと思います。
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 堀田先生のプレゼンテーションは、全体が以下の3つのパートに分かれていました。それぞれのパートについてレポートしていきたいと思います。

  • 最近の施策から
  • 小学校プログラミング教育
  • 学校現場を支援するために

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最近の施策から

 最初に、堀田先生から、教育の情報化の主な周辺動向についての話がありました。堀田先生は、「今日、教育の情報化はさまざまな施策が取り組まれているが、学校は、家庭よりも情報環境はプアー(Poor)で、民間の協力が不可欠」という話をされました。そうした観点から、「民間企業の方々が連携をして、学校現場を応援してくれる組織は大事」とICT CONNECT 21の存在意義について、話をされました。
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  • 今度の学習指導要領は、いろいろ変わった部分があるが、ずっと関わった者からして、いちばん変わったのは、今までもあった「情報活用能力」という言葉が、学習指導要領の中核に、基盤となる資質・能力だとして位置づけられたこと。
    • 基盤となる資質・能力として位置づけられているものには、「言語能力」「問題発見・解決能力」。その他、いくつか中教審で議論になっている。
    • この2つに並んで、「情報を集めて、見抜いて、さばいて、整理して、それを相手に応じて、状況に応じて伝えるという力」が、国語や数学や社会の基盤になる能力として、位置づけられたということ。
    • そういう能力があるかないかによって、教科の学びの深みが変わるのだ、ということ。
    • ICTが入って時間ばかりかかるのは、子どもに情報活用能力が備わっていないからとも言える。だから、指導要領に謳われた。

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 情報活用能力が、「高大接続改革が進むことで、大学入試で問われるようになる」と堀田先生はおっしゃいました。そのうえで、「センター試験の国語1問目、ぜひ見てください。こういう時代だということです。」と、どのような能力が問われているのか、センター試験の国語1問目について言及されました。ぜひ、チェックしてみようと思いました。

小学校プログラミング教育

 続いて、新学習指導要領における大きなトピックになった、小学校でのプログラミング教育についてです。
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 プログラミング教育をいきなり小学校で教えることの大変さについては、わかっているので、その周辺についての動きも含めて紹介されていました。

  • AIやIoTが常識化してくる。プログラミングも含めて、普通の高校であっても学ばなければならないということ。小学校でさえも、体験させなければ、ということ。
  • 学校の先生だけでは立ち行かないことはわかっている。
    • だから、開かれた学校教育過程というコンセプトが出ている。チーム学校も同じ。
    • 教科書のデジタル化も、「便利なものを使いましょう。学習の効率を挙げていきましょう」という流れ。
    • 教員養成についても、再課程認定を受けなければならなくなった。そうした大きな動きがたくさんある。

 そのうえで、実際にどのように教えるのか。コンピュータを使わないで、プログラミング的思考を…という動きについてのコメントがありました。

  • プログラミング的思考は、マジックワードっぽい?
    • 「プログラミングをしなくても、プログラミング的思考を学ばせればいいんでしょ?」という人もいる。
    • そういう段階があってもいい、と個人的には思うが、プログラミング的思考は、Computational Thinking(コンピューテーショナル・シンキング)の考え方を日本風に、現実的にしたものであって、Computational Thinking(コンピューテーショナル・シンキング)は、コンピュータで仕事をしている人のものの見方・考え方を表しているものなので、コンピュータを使うのは「前提」でどう考えるか、ということ。だから、コンピュータを使わないまま、Computational Thinking(コンピューテーショナル・シンキング)は身につけるのは難しい。
  • まだ「子どもたちがタイピングができない」という状況はたくさんある。タイピングのような学習の基盤となることができていないままコンピュータを使うと時間がかかる→だから、使わないで授業をしよう、ということがたくさんある。
  • どこかで集中的に時間をかけて身につけさせないといけない。チョーク&トークで続けていっていいのか?そんな教育環境でいいのか?ということを考える。

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 これから、高校の学習指導要領も新しくなります。こちらについての説明もありました。

  • 高校の学習指導要領が年度内に告示するくらいだろうか?
  • 中教審答申で「プログラミング」がむき出しで大きな内容に入っています。これを受けて、中学校の次期学習指導要領に入っている。「ネットワークで双方向に…」と書かれている。
    • 学校のICT環境では、実はこの指導要領を満たせないのではないか?

 小学校だけが変わってもダメで、そこから上に上がっていくにつれて、連続性をもって資質・能力を伸ばしていけるようにするには、高校の指導要領がどんなふうになるのか、楽しみに待ちたいと思います。
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学校現場を支援するために

 いま、文部科学省は、プログラミングに関する学習活動の分類をまとめているそうです。堀田先生は、これをグラデーションと呼んでいましたが、6種類の学習活動の分類が紹介されました。

  • A:学習指導要領に例示されているもの。
    • 多角形、電気のところなど。例示されているものは、教科書に掲載されるもの。キットのようなものが教材屋から出てくるだろう。
  • B:学習指導要領に例示がないが各教科等において実施するもの。
    • 例示まではいかなかったが、総則などに書かれていたもの。
  • C:教育課程内として学校裁量で実施するもの。
    • 教科ではないけれど、学校の裁量でプログラミング教育をやっています、というもの。
    • ここで学校の特色を出している。
  • D:教育課程内ではあるが興味のある特定の児童を対象とするもの。
    • クラブ活動。一部の子どもかも知れないが、積極的に身につけてもらう。
  • E:学校を会場とするが教育課程外で実施するもの。
    • 学校を会場にするが、学校行事としてではなく、民間がやっている。市民が学校開放で施設を使うようなイメージ。
  • F:学校外でのプログラミングの学習機会。
    • 民間が学校ではない場所でやるもの。塾やワークショップ。
    • スイミングスクールが発展したおかげで、うまく泳げるスイミングスクールに通っている児童が増えた。学校は限られた数時間で、そういった児童に手伝ってもらって、教えることができている。
    • 間接的に、学校現場を助けることになっている。

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 上の分類で言うと、AからDは教育課程内なので、いきなり外部から入るのはハードルが高いと堀田先生は言います。努力はしてほしいが、時間がかかります。堀田先生が民間に期待していて、「検討してほしい」と言うのは、すぐにできるEとF。これを全国津々浦々でやってほしい、というメッセージをいただきました。

 堀田先生は最後に、「教育委員会は、10年前とは変わってきている。民間と一緒にやることが推奨されてきている。ぜひ、手伝ってほしい。」とおっしゃっていました。プログラミング教育にかぎらず、さまざまな分野で堀田先生が紹介されたグラデーションは考えられるのではないかと思いました。

 No.6に続きます。
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(為田)