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富谷市立富谷小学校 授業レポート No.2(2018年2月9日)

 2018年2月9日に、富谷市立富谷小学校を訪問しました。3時間目に6年2組の理科の授業を見学させていただいたのですが、この授業はNo.1でレポートした「電気とわたしたちの暮らし」の単元内で行っている5時間のプログラミング教育の授業の次時にあたりました。
 6年生の理科を担当されている金洋太 先生は、最初に既習事項を振り返り、LEDで光をプログラムしたり、音をプログラムして出したり、モーターを動かしたりしてきたことを伝えます。そのうえで、これまでに使った機材を自由に持っていって、今回は既習事項を使ってオリジナル製品を作るということを子どもたちに伝えました。

 2人に1台のタブレットの他に、micro:bit、ケーブル、モーター、プロペラ、スピーカー、ワニ口クリップなど、さまざまな機材を子どもたちは自分のテーブルに持ち帰ります。
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 オリジナル製品を作るにあたり、最初に3分間、ペアで相談をする時間をとり、ワークシートを使ってどんな製品を作るか企画してもらいます。ワークシートには製品の説明書として、「製品名」「どんなときに利用できるか」「使い方(例:Aボタンを押したら~になる。)」「プログラミングで工夫したところ、知ってほしいところ」という欄があり、ここに書き込んでからプログラミングをスタートするという授業でした。
 ですが、実際には子どもたちは企画を作れないまま、プログラミング(制作)の方に入っていきました。時間の制約もあるので、しかたがないかと思います。ここは、「企画を作る」ことを大事にするか、「プログラミングをする」ことを大事にするかによって、授業設計・時間配分を変えるべきところだろうと感じました。
 プログラミング教育の効果などについては、企画書をきちんと書いて、それをプログラミングしてみて、実際に動かして、うまくいかなかったところを再度計画する、というPDCAデバッグを重視する方法もあります。たくさんの時間を使ってプログラミングを行えるのであれば、しっかり企画書を作るというのもいいかと思います。
 一方で、企画書を作る時間があまりとれないのであれば、「○○を解決しよう」というような解決すべき課題を先生が提示して、それを解決するための製品を考えるというふうにすることもできると思いました。そうすることで、企画を考えるという作業のうち、解決すべきことが事前に決まっていることになるので、時間を節約することができるように思います。
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 企画書を作る際に、どこからを子どもたちに任せるかによって、達成される学習目標も変わりますし、必要な時間も変わってくるかと思います。金先生がされたように、「自分で製品を企画してプログラムしてみましょう」とやることによって、“テクノロジーはどんな目的にでも使える”ということを伝えることもできると思いました。今回の授業では、製品開発と説明書作りが同時進行で行われ、最終的にはどのグループも製品とその説明書を作ることができていました。
 こうして、プログラミングを教える先生が、学年/学級ごとに「どういった学習目標を設定するのか」「その学習目標をどういった方法で習得させるのか」ということを考えていくことが重要であると思いました。
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 No.3に続きます。
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(為田)