教育ICTリサーチ ブログ

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戸田市立芦原小学校 研究発表会レポート No.1(2018年1月26日)

 2018年1月26日に、戸田市立芦原小学校にて平成28・29年度戸田市教育委員会研究委嘱 研究発表会(国語科)が開催されました。研究主題は「『自尊感情』を高め、互いを尊重し合う児童の育成 ~主体的に自分の思いや考えを伝え合う学習活動(国語科)~」で、公開授業・全体会・講話・シンポジウムというプログラムでの研究発表会でした。
 1年生、4年生、5年生の国語の授業を見学させていただきましたので、それぞれの学年でのICT活用を中心にレポートしたいと思います。

1年生「たぬきの糸車」

 1年生の授業では、「たぬきの糸車」の音読劇をするために、文章を読み深めていました。黒板には、「ふゆのあいだの おはなしづくりをして、おんどくげきを しよう」と書かれていて、模造紙で挿絵などが示されていました。また、板書だけでなく、モニターにはスライドが表示されていて、絵と吹き出しを使って、児童の興味を惹きつけると共に、イメージを共有していました。
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 文章だけでなく、黒板の挿絵やモニターのイラストを見ながら、子どもたちはワークシートに自分の意見を書き込んでいきます。そして、ワークシートに書いた意見をクラス内で発表しあって共有していきます。
 ここで、意見を言葉で発表してもらうだけでなく、ワークシートにどんなふうに書いたのかということを実物投影機やタブレットPCを使ってモニターに投影することもできます。どれくらいの数の意見を共有する方がいいのか、言葉で発表してもらうのと文字で読んでもらうのとどちらがいいのか、こういった点は先生の授業設計として非常におもしろいところだと感じました。
 また、ワークシートに書いた自分の意見を友達と対話していました。行い方の見通しをもたせるために、対話の仕方のモデル(教師と教師)をモニターに映し子どもたちに見せていました。先生は「その後の子どもの活動は円滑にできていたので、効果的であると感じています」とコメントしてくれました。

5年生「大造じいさんとガン」

 5年生の授業では、「大造じいさんとガン」の中から、物語の魅力を伝えるために“印象に残った表現”をクラス内で共有していました。非常におもしろかったのは、「円たくん」という丸型ホワイトボードを使ってワールドカフェ形式で意見を交流していたことです。ホワイトボードで丸型であることで、マス目などにとらわれず、自由に書きたくなるような気がします。だからこそ、子どもたちが自由に表現できた、という面もあったのではないかと思いました。また、こうした形だからこそ、たくさん書いている子もいたように思います。
 あとは、それぞれのテーブルで生まれる意見の交流を先生方がどのようにピックアップして教室全体で共有していくか、というところかと思いました。例えば、ある児童が「あかつきの空に光って」という箇所について、“「赤」でなくて「あかつき」がかっこいい”と書いていたのですが、ここで先生が「あかつき、の方がかっこいい?何でだろう?みんなどう思う?」とみんなに問う、ということができるかどうかが難しいところだと思いました。
 円たくんに書いてもらった内容をデジタルか何かで残したり、おもしろい書き込みは撮影して全体に共有したりということができれば、非常におもしろいと感じました。
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4年生「プラタナスの木」

 4年生の授業では、「プラタナスの木」を読んで心に残ったことや感じたことを交流し、友達との感じ方の違いについて考えていました。友達との対話をしながら、心に残ったところが同じかどうか、引用した文が同じかどうかなどを考えていく授業でした。
 ホワイトボードに縮小した教科書が貼ってあり、そこにそれぞれの児童の心に残っている箇所が貼られていました。見学に行ったのは授業時間の最後の方だったのですが、対話をしながら徐々にこうして共有のボードができあがっていく、ということで、学びのプロセスをクラス全体で共有できたのではないかと思いました。
 こうしてできあがったこのボードも、デジタルにして記録しておくと、“ポートフォリオ”となって、学校の財産となり、学習者の財産になるかもしれないと思います。デジタルにして、子どもたちが自分のタブレットで見られるようになる、というのも、授業として十分に実現可能だと思いました。
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 そうしてデジタルでポートフォリオとして残すことができるのだとすると、授業中には何をやり、個人のワークとしては何をやり、対話で振り返らせることを何にするか、という先生方の授業設計もまた変わっていくだろうと感じました。

まとめ

 どの授業も、「どんな力を身に付けさせたいのか」ということが明確にされていると感じました。その力を身に付けさせるために、ICTが必要であれば使うし、必要でないならば使わない。あくまで授業が主役であるということが本当に明確になっていたと思いました。
 今回見学させていただいた芦原小学校の授業では、子どもたちがたくさん書いているワークシートや円たくん、また共有した教科書のコピーなど、こうしたものがデジタルになり、みんなで共有できるようになると、来年度以降にも引き継ぐことや、戸田市全体で授業内容などを共有することもできるので、そうした面でも可能性がありそうだと感じました。

(為田)