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京都教育大学附属桃山小学校 教育実践研究発表会 レポート No.1(2018年2月23日)

 2018年2月23日に、京都教育大学附属桃山小学校の教育実践研究発表会に参加してきました。テーマは、「主体的に情報を活用しようとする子の育成 ~各教科の学びを深めるメディア・コミュニケーション科~」でした。
 メディア・コミュニケーション科は、京都教育大学桃山小学校で開発研究が行われている、情報教育を核とする新教科です。
 今回は、クリティカル・シンキングについて考えさせられた、全体会の様子をレポートします。
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 全体会では、京都教育大学附属桃山小学校の研究主任である長野健吉 先生のプレゼンテーションが行われました。長野先生は、最初に、BBCが実際に1957年のエイプリルフールに放送したという、不思議な映像を見せてくれました。
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 この映像では、スパゲッティが木に実り、それを収穫している様子が紹介されています。実際に放送した後も、「この木はどこに売っているのか?」と質問がBBCに寄せられたそうです。
 教室でもこの映像を見た多くの5年生が、このニュースを本物と信じたそうです。子どもたちは、スパゲティが小麦粉からできていることを知っています。なのに、スパゲティが木に実っているというニュースを信じてしまうというのです。

 長野先生は、シンキングツールのひとつである、クラゲチャートを使って、教室でそのことについて話し合いをしたそうです。クラゲの頭のところに「スパゲッティの木があると信じた」と書き、クラゲの足のところに、なぜ信じたのか理由を書いていきます。子どもたちは、「実際の映像があったから」「嘘だと思ってもテレビだったから」などの理由を書いていたそうです。

 この動画は60年も前の映像ですが、「メディアに思い込まされている」ことがあるのは、今でも一緒ではないかと長野先生は言います。例えば、洗剤のCMでは、“女性が洗濯をしていて、男性は開発者”です。薬のCMでは、“しんどいけれども通勤する姿”が描かれています。こうしたイメージがテレビの画面を通じて子どもたちに伝えられ、思い込まされているとも言えるかもしれません。現状は、今も変わらないのです。
 18歳で選挙権をもつようになる今の児童にとって、メディアやネットとの接し方は注意が必要です。SNSを通じて選挙についての情報が簡単に入手できる一方、それが偏った情報ではないか、ということも考える必要があります。これからの子どもたちは、クリティカル・シンキングができなくてはならない、と長野先生は言います。

 この「スパゲッティの木」の動画がもたらす問題意識は、長野先生が21世紀型情報活用能力として紹介した5つの力と密接に繋がっていると思いました。

  1. メディアを通して相手を意識する力
  2. メディアや情報を選ぶ力
  3. メディアを通して批判的に思考する力
  4. 目的に合わせてメディアを活用する力
  5. メディアを活用する際に責任をもって発信する力

 なかでも、1の「メディアを通して相手を意識する力」と3の「メディアを通して批判的に思考する力」に重点を置いているそうです。これはまさに、「スパゲッティの木」の動画を見たときに課題にのぼった、クリティカル・シンキング、そして、研究主題となっている「相手を意識して、主体的に情報を活用しようとする子の育成」に繋がっています。
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 この研究主題を深めるために、今年度のメディア・コミュニケーション科で設定していた3つの重点を長野先生は紹介してくれました。

  • メディア・コミュニケーション科 教科書 改訂(学習過程・批判的思考に重点をおいて)
  • メディア・コミュニケーション科の学びが各教科の学びにどう活きるか
  • ICTが教科の見方・考え方に働き、「深い学び」を実現できるか

 2つめと3つめについては、全体会の後の公開授業を参観するときの重要な観点となりました。

 No.2へ続きます。
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(為田)