教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

千代田区立九段中等教育学校 授業レポート(2017年12月5日・12月19日)

 2017年12月5日と19日の2日に渡って、千代田区立九段中等教育学校情報科の授業を見学させていただきました。須藤先生による4年生の情報科の授業で、Web制作のPBL(Project based learning)の授業で、「●●(仕事名)になるには」というテーマでグループで役割分担をしてWebサイトを作るという内容でした。今回、見学させていただいたのは、全4回のうちの2回目と4回目でした。
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 2回目(12月5日)は、1回目で考えた企画をもとに、グループ内で決めた役割ごとに作業を分担して、Web制作を進める回でした。
 4回目(12月19日)は、3回目までに仕上げたWebサイトをギャラリーウォーク形式で各グループで制作したWebサイトを自由に見て回り、いいねと思ったWebサイトのPCにコメント付きの付箋を貼ったり、全体のリフレクションをする回でした。

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ギャラリーウォークの様子

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左:企画書 中央:Webサイト 右:キュレーションサイト

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付箋が貼られた様子


個人の得意分野を活かした役割分担で、そのグループでできる再考のパフォーマンスを目指す

 今回の授業の最も特徴的だったのは、完全分業していることでした。グループ内で、以下4つの役割を分担し、4回目の授業までにWebサイトを仕上げるというミッションが課されます。

  • プロジェクトマネージャー
    • 企画書の作成
    • タスクマネジメント
    • フォルダ&データ管理
  • コーダー
    • HTMLのコーディング
  • ライター
    • 原稿(テキスト)の作成
    • キュレーションの作成
    • サイトマップの作成
  • デザイナー
    • コンテンツ制作
    • 配色設計

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コーダー

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ライター

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デザイナー

 役割によって、作業内容がまったく異なるので、いいパフォーマンスが出るように、グループ内で話し合いで役割を決めたとのことでした。自分たちで話し合って決めたことなので、自ずと責任感を持って取り組んでいる様子が伺えました。作業内容が異なることで、どう評価をしているのかが気になったので、授業後に須藤先生に質問をしました。この授業における評価の観点としては、グループ評価・個人評価・毎回のリフレクションの根拠の3つで見ているとのことでした。特に、個人評価では役割によって作業内容が異なるので、担当した仕事に対しての評価として見ているとのことでした。


先生→プロジェクトマネージャー→各個人へ伝達

 さらに特徴的だったのは、先生から直接説明や指導をするのは、プロジェクトマネージャーだけに割り切っていたことでした。もちろん授業冒頭や終わりで全体に振り返りや説明はしますが、グループの管理をプロジェクトマネージャーに課すことで、先生は全体を細かく見ることができ、補足の説明が必要だと思った際にもプロジェクトマネージャーだけ集めて説明すればいいので、作業自体は止めずにすみます。

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先生がプロマネに説明している様子

以下のようなことを、先生からプロジェクトマネージャーに説明

  • どういうことをするのか
  • 仕事の優先順位をつけること
  • コーダーに何を依頼するのか
  • ライターに何を依頼するのか

主体的・協働的な雰囲気になるように、授業設計&ツールを活用

 授業を見ていて感じたのは、ひとりひとりがやるべきことを明確に持ち、責任を持って取り組んでいるということです。また、お互いの作業・やるべきことに対して、グループ内だけでなく、クラス全体として協働する雰囲気があると感じました。クラスでコーディングが得意な生徒のところに、他のグループの生徒が教えてもらいに行ったりと、教室内を自由に行き来しているのが印象的でした。こういった雰囲気を持つには、各役割に対しての必要な知識とスキルと共に、協働することの意義を理解するマインドセットも必要だと思います。
 須藤先生に確認すると、まず前期の最初に「学び方」を学ぶ授業をしているようで、ノートテイキングや情報分類、整理、マインドマップ、協働することを学ぶようにしているとのことでした。そして、5月頃から情報リテラシーの学習として、法律・セキュリティ・ビジュアルプログラミング・小論文・2進数16進数・データ圧縮などを、情報分類・整理や協働が入るように授業設計されているとのことでした。

 例えば、教科書の内容をA4一枚にわかりやすくまとめるという授業をしているとのことでした。教科書に書かれている内容を理解し、その情報を分かりやすく伝えるためにどう情報を整理し表現したらいいかを考えたり、その発表の際に、同じA4一枚でもいろんなまとめ方があることを知り、他の生徒の作品からわかりやすい表現方法を学ぶことができるというのも、主体的で協働的な学習につながっていると思いました。

 また、毎授業終わりに、リフレクションを欠かさず実施されているとのことで、自己評価で自分の学びを振り返るだけでなく、相互評価として「ほめほめCARD」という他者をほめるカードを使って褒め合うことで、他者から承認されたい・評価されたいという想いも、主体的で協働的な学習につながっているように感じました。
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(前田)