教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

書籍ご紹介:『学習設計マニュアル 「おとな」になるためのインストラクショナルデザイン』

 鈴木克明・美馬のゆり 編著『学習設計マニュアル 「おとな」になるためのインストラクショナルデザイン』を読みました。読者が自分の学びをデザインできるようになることを目的とした本です。メインはこれから大学で学ぶ人、という感じだと思いますが、学校の中の「勉強」だけでなく、生涯を通じた「学び」について、自分で知っておく助けとなると思います。

学習設計マニュアル: 「おとな」になるためのインストラクショナルデザイン

学習設計マニュアル: 「おとな」になるためのインストラクショナルデザイン

  • 作者: 鈴木克明,美馬のゆり,竹岡篤永,室田真男,渡辺雄貴,市川尚,冨永敦子,高橋暁子,根本淳子
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2018/03/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 構成として、「第1部 自分の学びと向き合う」「第2部 学びの場をつくる」「第3部 学び方を工夫する」「第4部 これからの学びを考える」となっています。
 第1部のなかで、「第2章 学習スタイルを把握する」という章があります。

 学習スタイルは、「学ぶときに好んで用いる認識活動、学習活動の様式や方法」のことです。視覚型(Visual)、聴覚型(Auditory)、運動感覚型(Kinesthetic)、触覚型(Tactile)の4つに分かれたVAKTモデルが紹介されています。

  • 視覚型学習者(V)
    • ノートや図表などのように書かれた視覚情報に最も効果的になじむ傾向
    • ノートに書き表せないような内容の講義やプレゼンが苦手
    • ノートに書き表せる情報がない限り情報はないに等しいと考えてしまう
    • 筆記による伝達や記号操作などで高い能力がある
  • 聴覚型学習者(A)
    • 話を聞くことが最も効果的で自分になじむ
    • 講義を集中して聞いて、あとでノートを取ったり配布資料を見る手法を取る傾向がある
    • 書かれた情報については、聞き終わるまで意味が把握できないことがよくあるので、声に出して読むことを好む
    • よい話し手であることが多く、法律や政治学などの科目が得意な人が多いのも特徴
  • 運動感覚型学習者(K)
    • 身体全体を動かすことに最も効果的になじむ傾向がある
    • 模倣と練習の繰り返しによって学習するので、実行したり動いたり、体験しながら学ぶのがいちばん学びやすい
    • じっと座っているのが苦手
    • 学校教育では、苦手な方法で学ばなければならない状況が多い
  • 触覚型学習者(T)
    • 触覚をうまく使うことで、集中力を高められる傾向がある
    • 手をじっとしていることが苦手で、彫刻を触ってみたい、形や外観を手で確かめたいという強い欲求がある

 VAKT嗜好を診断するチェックリストがあったので、小学校5年生の息子に実際にやってもらいました。視覚型(V)が4点、聴覚型(A)が2点、運動感覚型(K)が1点、触覚型(T)が2点でした。親として見ていて、なるほどと思うスコアでした。
 このVAKT学習スタイルを学習にどう活かすかということも書かれています(p.16)。参考にしてみたいと思いました。視覚型学習者の児童/生徒に、聴覚型の学びの形を強制しても効果は上がらないと思います。それならば、別の学びの形を提案してあげるのも大切です。

  • 視覚型学習者(V)
    • 自分と他人のノートの差異を確認するために、友人のノートを借りる
    • 重要な部分にマーカーを引く
  • 聴覚型学習者(A)
    • 覚えたいことは声に出して読んで繰り返し復唱する
    • 授業を録音したりノートを読んで録音して繰り返し聞く
  • 運動感覚型学習者(K)
    • 単語などを記憶する場合、机や床に指で書いてみる
    • 実際に描いているように頭の中で書いてみる
  • 触覚型学習者(T)
    • デモやプレゼンを見る機会があったときは、セットアップの手伝いを申し出る。実際に手を触れる適当な機会を探す

 すべての人が固有の才能、能力、学習スタイル、経験を持っているので、自分の学習スタイルの特徴を把握することで、うまく学習を進めていく可能性が高まると言います。ICTを学びに導入するときに、学習スタイルの多様性に対応する、ということもひとつの目的だと言えるかもしれません。
 初等教育中等教育の段階では、主になるのは視覚型学習と聴覚型学習だと思いますが、これを自分の学習スタイルに合うように、ICTを選んで使えるようになるといいかもしれません。ノートを共有したり、授業を録画・録音したり、そうした使い方をする裏側に、学習スタイルの違いを考えるとおもしろそうだと感じました。

 学習スタイルについては、タンブリン・ウォード『大学生のための学習マニュアル:The Smart Study Guide』も参考書籍として挙げられていました。

大学生のための学習マニュアル

大学生のための学習マニュアル


(為田)