教育ICTリサーチ ブログ

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書籍ご紹介:『第四の革命 情報圏(インフォスフィア)が現実をつくりかえる』

 ルチアーノ・フロリディ『第四の革命 情報圏(インフォスフィア)が現実をつくりかえる』を読みました。

第四の革命―情報圏(インフォスフィア)が現実をつくりかえる

第四の革命―情報圏(インフォスフィア)が現実をつくりかえる

 ICTが人間の生活にどんなインパクトをもたらすのか、について語っている本。タイトルの「第四の革命」は、アラン・チューリングによる革命であり、コンピュータに関わるもののことです。

  • 第一の革命
  • 第二の革命
    • ダーウィン革命:進化が新しい意味を得て、生物王国の中心から人間は追い出された。
  • 第三の革命
    • フロイト革命:我々がなすことの多くが無意識である。我々は、我々自身をよく知らない。

 第四の革命も、「我々がどのように自分たち自身を認識するのか」ということを考える機会を与えてくれています。コンピュータがただの計算機械ではなく、AIなどの発達を考えると、新しい革命だと考えることもできると思いました。

 また、この本では、「オンライフ経験(onlife experience)」という概念が提唱されています。

我々は、ICTが、新しい現実を作り上げ、我々の世界とそこに住まう我々の生活の、あらゆる側面の情報的解釈を加速させているのと同じくらい、我々の世界を変更しているのである。インターフェースが次第に見えなくなるにつれて、こちら側(アナログ、炭素ベース*1、オフライン)とあちら側(デジタル、シリコンベース*2、オンライン)の境界は、どんどん不鮮明になっていく。しかし、これには両者それぞれに利点がある。(略)デジタルオンラインの世界は、アナログオフラインの世界にあふれ出て、それと同化していく。こうした現象の最近の姿は、「ユビキタス・コンピューティング(Ubiquitous Computing)」「アンビエント・インテリジェンス(Ambient Intelligence:環境知能)」「IoT:(The Internet of Things:モノのインターネット)」「拡張ウェブ(Web-augmented things)」などとして、広く知られている。私はそれを、オンライフ経験(onlife experience)」と呼びたい。それは情報化時代の発展の次の段階でもあり、すぐにそうなっていくだろう。我々は、次第にオンライフを生きるようになっているのである。(p.56)

 デジタルオンラインの世界は、アナログオフラインの世界にあふれ出て、それと同化していく。そうした経験は、コミュニケーションの仕方などでも、すでに児童生徒でも体験できることのように思います。デジタルコミュニケーションとアナログコミュニケーションの関係、機能的な差異、相手に与える影響の差異。コミュニケーションスタイルも大きく変わります。既読スルーなどの問題や、対面しながらデジタルコミュニケーションを他者とすることに対する感覚など、変わりつつあるように思います(これは世代というよりも、一人ひとりの価値観や職場の文化なども大きいように思います)。

 オンライフ経験を、初等教育中等教育でどれくらいまでさせておくべきなのか。どういった文化のなかで、どういったデジタル環境(とアナログ環境)のなかで、どういうオンライフ経験をさせるべきなのか。そうしたことを考える機会になるように思いました。

ウェブ社会のゆくえ 〈多孔化〉した現実のなかで (NHKブックス)

ウェブ社会のゆくえ 〈多孔化〉した現実のなかで (NHKブックス)

The Onlife Manifesto: Being Human in a Hyperconnected Era

The Onlife Manifesto: Being Human in a Hyperconnected Era

(為田)

*1:ここで書かれている「炭素ベース」の計算機とは、つまり人間のことです。(為田)

*2:そして、ここで書かれている「シリコンベース」とは、いわゆるコンピュータです。(為田)