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教科におけるプログラミングの指導案共有サイト「プロアンズ」リリース

 株式会社ベネッセコーポレーションは、教科におけるプログラミングの指導案共有サイト「プロアンズ」をリリースしました。
 平成30年6月27日現在、小学校2年音楽、3年理科、4年と5年の算数と、4学年3教科4単元の指導案が提供されています。「Benesseのプログラミング教育情報」のページ(以下ブログと示します)に5年算数の指導案について説明されていましたので、プロアンズの指導計画などとと併せて見てみました。
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 ブログで取り上げられている単元は「正多角形と円周の長さ」です。
 新学習指導要領ではB図形(1)ア(ウ)「円と関連させて正多角形の基本的な性質を知ること」イ(ア)「図形を構成する要素及び図形間の関係に着目し、構成の仕方を考察したり、図形の性質を見いだし、その性質を筋道を立てて考え説明したりすること」に関する単元です。「円に関連させて」がミソです。
 新学習指導要領 第3節算数 第3「指導計画の作成と内容の取り扱い」2(3)で「数量や図形についての感覚を豊かにしたり、表やグラフを用いて表現する力を高めたりするなどのため、必要な場面においてコンピュータなどを適切に活用すること。また、第1章総則の第3の1の(3)のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には、児童の負担に配慮しつつ、例えば第2の各学年の内容の〔第5学年〕の「B図形」の(1)における正多角形の作図を行う学習に関連して、正確な繰り返し作業を行う必要があり、更に一部を変えることでいろいろな正多角形を同様に考えることができる場面などで取り扱うこと。」と例示された単元なので、プログラミング導入の好場面として話題です。
 同解説では「これは、正多角形の学習に関連して、児童の負担に配慮し、コンピュータを活用して正多角形の作図をするプログラミングを体験することができることを示している。」と取り上げられています。
 なお、文部科学省が示す「学習指導要領の改訂に伴う移行措置の概要」には「指導内容の移行がないなど教科書等の対応を要しない場合などは、積極的に新学習指導要領による取り組みができるようにする」とあり、本単元に関しては指導内容の移行はありません。

 単元の目標について、ブログでは「正多角形の特徴をもとにして作図する活動を通して、正多角形の特徴を理解すること」と設定しています。プロアンズでは「正多角形の作図の仕方をScratchでプログラミングする活動を通して、正多角形の構成要素や性質を再確認する」と設定されていて、よりプログラミングを意識した具体的な目標が示されています。どんな道具立てで、何ができるようになればよいのかを明らかにした目標設定は、学校の先生方に参考になると思います。
 プロアンズには、単元の目標以外にも「学習活動」「主な評価規準(新学習指導要領の3観点)」「児童観、教材観、指導観」「学習指導計画」が示されています。指導案(いわゆる細案)に記載する項目が網羅されていて、現場の先生方や大学の教職課程に関わる方々には馴染みがあります。すぐにでも学校現場で活用できる指導案を提供していこうという意気込みが感じられ、配慮が行き届いているという印象です。

 プロアンズで、特徴的だなと感じた点は他にもあります。
 例えば「指導観」を「自主的・主体的な学び」と「協働的な学び」の2観点で記述していることです。新学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び」が念頭にあることが明確で、これから校内研究等で指導案を作成する際には、この2観点で記述することをルールにする学校も出てくるのではと思います。実際に指導案を作ることを考えると、「協働的な学び」に関しては、子どもたちが学び合うための教師の仕掛けとそれに対する子どもたちの反応、期待される学びの結果を連動させて示すことになると思いますが、その部分だけを取り上げても、校内研究としてはずいぶんな深みが出そうな気がします。
 もう一つは「学習指導計画」です。プロアンズでは、正多角形の作図に関する第1次の取り扱い時数を6時間としています。現在インターネットで公開されている教科書会社6社分の年間指導計画を見たところ、この小単元は3時間扱いが4社(東京書籍、学校図書、啓林館、大日本図書)、4時間扱いが2社(教育出版、日本文教出版)でした。第2次の円周に関する小単元と第3次のまとめには大きな時数の違いは見られませんでした。
 小学校の高学年は外国語の導入もあって、各教科や特別の教科道徳、特別活動等の取り扱い時数に敏感になっているのではないと思います。夏休みの短縮等で授業時数の確保を目指す市町村もあるのが現状です。たとえ2~3時間とはいえ、全教科、全単元で増やすことはできません。プロアンズで提供される魅力的な授業を実現していくためには、いわゆるカリキュラムマネジメントは必須と思われます。各教科書会社もプログラミングへの対応を進めてくることでしょう。今年度を含めた2年間で新学習指導要領の完全実施に対応するためにも、プロアンズに代表されるような教科指導に関する積極的な提案を、先生方に広めていくことが必要だと感じました。

(佐藤)